教科「情報」をどう学ぶ? 第2回

中学校では、2021年に技術・家庭科の技術分野にてプログラミング教育が必修化され、高校では2022年度より全員必修の「情報Ⅰ」のほか、選択科目として「情報Ⅱ」を学習することとなりました。
学校でプログラミングのような実践的な「情報」について学ぶことがあたりまえとなった時代、子どもたちの「情報」を取り巻く学習事情はどのようなものとなっているのでしょうか。
Z会員へのアンケートとともに、考察していきます。

 

学校や学校外で 「情報」をどう学ぶ?

GIGAスクール構想のもと、コロナ下も相まって学校における「1人1台端末」が急速に実現されましたが、実際子どもたちはどのような環境で情報教育に接しているのでしょうか。
「情報」に関する授業を学校でどのように学習しているか、中高生に聞いてみました。

Q.授業ではどんな端末を使って学習していますか?

 

Q.学校の「情報」では、どのようなことを学んでいますか?

中学生

  • タイピングやプログラミング(中2・かみっち)
  • 画素や、マウスの使い方、表計算ソフトでドット絵を描いたこともある。総合でLINEなどのSNSの使い方についても学習している。(中2・ネコ)
  • メモリーの単位、画素数、解像度、ネット通信の仕組み(中3・@ねこかわいい!!)

 

高校生

  • 情報モラルについて。とても基礎的なプログラミング(マイクロビット)、URLについて。(高1・29565058)
  • コンピューター上での情報の扱い方(2進数や論理回路)。プログラミングやフローチャートの作成。社会でのメディアや個人情報の扱い(著作権や個人情報、プライバシーを保護する仕組み)。(高2・ねこは)
  • 教科書の内容を各自でパワポにまとめて授業でプレゼン。BASICでプログラミング。(高3・UXRCF)

 

学校で使う端末は、iPadを含むタブレット端末で学習しているという人が約45%と、パソコンで学習している人をやや上回りました。「その他」で見られた回答には、Chromebook、タブレットとノートパソコンが一体化した2in1パソコンなどが挙がっています。
一方、「まだ、情報の授業があまりない」という声も。学年・学校によって、その差があるという様子も伺い知れます。

Q.学校の授業以外で、「情報」を学んでいますか?

 

Q.「ある」人はどのような内容ですか?

「学んでいる」内容

  • 小4のころにテキストを購入して学習したことがある。(中2・N700S8000)
  • 小4か小5のころは、Z会の「プログラミングみらい講座 with KOOV®」小6からは、「Z会プログラミング中学技術活用力講座」。(中2・Palam)
  • 中学生のころ、プログラミング教室に通っていた。約2年間、主にプログラミング言語を学んだ。(高2・35606874)

 

学校の授業以外に、スクールや通信教育などでプログラミングを学んだことがあるかどうかを聞いてみたところ、「ある」と答えた人は約2割。
今の中高生は小学生のころにプログラミング教育が注目されるようになった世代です。学校での学習が始まる前に小学生のうちから通信教育・教室・書籍などで学んだという声が聞かれました。
積極的に習い事として「情報」に取り組んでいる人の数はそう多くはありませんが、興味関心のある人は相当のスキルを身につけていることも伺えました。
情報に関する知識・スキルは、中高生の段階ですでに個人によるばらつきが生まれています。

これからの時代に必要な「プログラミング的思考力」とは?

「プログラミング教育が重要」と言われるようになった背景の一つには、「問題解決能力」の重要性が叫ばれるようになったことも挙げられるでしょう。
現代の複雑な問題があふれる社会では、「正解がない問題」や、「答えが一つではない問題」が多く存在するようになりました。そのような時代にあって、さまざまなアプローチから問題にねばり強く取り組み、解決策を導き出す能力はより重視されるようになっているのです。
では、この「問題解決能力」と「プログラミング」にはどのような関係があるのでしょうか。

一般的に「プログラミング」というとパソコンに向かってプログラミング言語を使ってコードを打ち込むような姿を思い浮かべることが多いかと思います。ですが、これは「プログラミング言語を学ぶ」ことであって、世の中にあふれる「デジタルなものによって動くものを理解するためのリテラシー」を身につけているに過ぎません。
プログラミングを学ぶ最初の目的は、このリテラシーを身につけたうえで、「デジタルツールを主体的に活用する力」を自分のものとすることでもあります。

プログラミングを学ぶ目的の次の段階は、「プログラミング的思考力」を身につけることでしょう。中学生や高校生になると、数学などの教科でもそれまでの「具体」を元にした考え方から「具体を抽象化し考える」ことが求められるようになりますね。
プログラミングもまた、「物事を記号に置き換えて具体に適用し、そして実際に具体化されたものを検証し、改良点があればまた記号に抽象化したうえで、具体に戻す」という作業を繰り返します。
この「ものごとを抽象化して考えそれを具体に落とす」という具体と抽象を行き来して考える考え方が「プログラミング的思考力」となります。これが今求められる考え方の一つであり、さまざまな複雑な問題を解決するために必要な能力だとされているのです。

これからの時代、デジタルツールを使いこなすことは、デジタル社会を生きるうえで必須の能力であり、さらにデジタルを使ってこれまでになかったような創造性を発揮することが求められているのです。

 

次回は、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が出題されるようになったことをふまえ、Z会員の中高生の意見とともに「入試と情報」の関係について考えます。

 

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