出題校
千葉県の中高一貫校では、千葉県の共通問題を使用して、適性検査が実施されます。
各学校の問題は、次の表の通りです。
(共通=千葉県共通問題、独自=学校独自の問題)
令和5年度 出題情報 |
1-1 |
1-2 |
2-1 |
2-2 |
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千葉県立 千葉中学校 |
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千葉県立 東葛飾中学校 |
令和5年度 出題情報 | ||||
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千葉県立千葉中学校 | ||||
千葉県立東葛飾中学校 |
共同作成問題の全体的な傾向
問題の構成や傾向について、前年度からの大きな変化はありませんでした。
◆適性検査1-1、1-2、2-1
それぞれ2問構成で、資料の読み取りや実験結果の整理などが出題されました。
◆適性検査2-2
3問構成で、会話文の聞き取りと文章の読み取り、作文で例年通りの傾向でした。
試験時間に対して、問題量が多く難度も高いため、確実に得点できる問題を見極める力が必要です。
問題ごとの分析
適性検査1-1(45分)
共通問題(理科分野)
〇テーマ
食品の保存
〇内容
食品の保存方法や保存食の利用方法を根拠をもってとらえる。
◆概要
会話文や資料から食品の保存に関する情報を読み取り、食品を長期保存する方法や食品ロスを減らす取り組みについて考える問題です。
表やグラフなどの資料が多く会話文も長いため、どの問題に時間をかけられるかを素早く判断することが重要です。
また、問題の形式は、会話文に当てはまる言葉を答えるものが多いため、資料からわかることを自分の言葉で説明する力が必要になります。
10~15字のように文字数を指定されることも多いため、適切な言葉で答えるようにしましょう。
◆問題ピックアップ!
(差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します)
(5)
乾燥わかめを使ったみそしるについて、できあがったみそしるに入っているわかめの重さの求め方を説明する問題です。求め方を説明するときは、論理が飛躍しないように文章を書くことが大切です。
この問題では、「もどし率」や「かさ密度」の資料を参考に、小さじ2はい分の乾燥わかめが水分を吸収して1人あたり6グラムの重さになることを、順序だてて説明する必要があります。
資料からわかることを1つずつ整理し、わかめの重さを具体的な数値を使って説明することがポイントです。
普段の学習から、答えを求めるだけでなく、どのように求めたのかを説明する練習もしておくとよいでしょう。
共通問題(社会分野)
〇テーマ
「もの」や「仕組み」のデザイン
〇内容
「もの」をデザインするときの工夫や過程を資料をもとにして考える。「仕組み」をデザインし、課題を解決する方法を考える。
◆概要
デザインをテーマにした会話文や資料をもとに、課題をとらえ、解決をはかる過程を考える問題です。解答はどれも会話文や資料に当てはまる形で作成するため、前後の文のつながりなどを意識して解答をつくる必要があります。長文の記述はありませんが、自分の言葉で説明しなければならない問題が多いので、「書く」力が重要です。
難しく感じた問題も多いと思いますが、会話文や資料内にヒントとなる言葉がふくまれているので、問題文をていねいに読むことで解答をつくりやすくすることができます。
◆問題ピックアップ!
(8)
クイズ大会における運営の課題を資料から考え、解決のアイデアを考えて説明するという問題です。出された意見をもとに課題を考えることや、2つの課題に共通する解決のアイデアを考えるところに難しさを感じた人も多いと思います。まずは、「着眼点」「根本的な課題」を考えるために、出された2種類の意見から共通点を探すことが必要です。
また、この問題では、直前の会話文に「資料6をふまえて」と記述があるため、これをヒントに電子データでやりとりすることのメリットに気づき、(8)に生かす方向で考えると解答が作成しやすくなります。
このように、課題をとらえて解決に向けて筋道を立てて考える力は、学校生活や社会生活のさまざまな場面で必要となるため、適性検査で頻出のテーマとなっています。
適性検査1-2(45分)
共通問題(理科分野)
〇テーマ
地球
〇内容
身近なものを利用した実験から、地球の形や大きさ、自転について考える。
◆概要
地球についての知識を、身近なものを利用して調べてみるという問題です。(1)~(3)はそれぞれ独立しているため、わからない問題や時間がかかりそうな問題は飛ばして、わかるところから解いていくことができます。
(1)
地球が丸いことを北極星の見え方から考える問題です。北極星を見上げる角度が場所によってどのようにかわるかを図から読み取る必要があります。
(2)
地球が自転していることをふりこの動きを使って調べる問題です。会話文や図から、回転している台に取りつけたふりこがどのように動くかを理解することが重要になります。
(3)
地球の周りの長さ(円周)を求める問題です。実験の結果からわかることを整理し、丁寧に計算していく必要があります。
◆問題ピックアップ!
(2)⑤
実験からわかることにふれながら、実際に地球が自転していることを証明するための方法を考える問題です。
会話文と実験の内容から、回転している台を真上から観察すると、ふりこのふれる方向が回転しているように見えることが読み取れます。
この台の回転と地球の自転を結び付けて考えることがポイントです。
地球でどのような実験をして、どのような結果が得られれば自転していることの証拠になるか考えましょう。
共通問題(算数分野)
〇テーマ
文字と式、場合の数、規則性
〇内容
条件に合うように、班分けや見学ルートを考える。
◆概要
(1)~(3)の3問構成で、いずれの問題も誘導にしたがって解いていけばよいため、解法になやむことはあまりないかもしれません。
ただし、条件の読み取りでは情報量が多く、また、注意深く数え上げをおこなわなければ、ぬけもれがおきやすいため、得点しにくい問題もありました。
(1)
班の数を文字で表し、文字の関係を式で表す問題です。比較的取り組みやすい問題なので、ここで確実に得点しておきたいところです。
(2)
施設を見学するルートの数を数え上げる問題です。複雑な条件に合うものだけを過不足なく数え上げる必要があり、丁寧な取り組みが求められます。
(3)
時間内に何回乗り物に乗ることができるかを考える問題です。表にまとめられた情報の中で必要なものを見つけ出す必要があります。
◆問題ピックアップ!
(3)②
乗り物Aだけに乗り続ける場合と、乗り物BとCを交互に乗り続ける場合で、どちらが多く乗車できるかを理由を示しながら答える問題です。
この問題では、経過時間が規則的に増えていくことがポイントです。
規則を示す際には式で表したくなるところですが、この問題では規則が複雑なため表を用います。
経過時間を表で整理したうえで、どちらが多く乗車できるかを判断するには、表のどこを見ればよいかを示すことができればよいでしょう。
適性検査2-1(45分)
共通問題(算数分野)
〇テーマ
円の性質、作図
〇内容
車の内輪差を計算で求め、車体の通過範囲を作図する。
◆概要
(1)(2)
円の性質や三角形の性質を利用して、車の内輪差などを求める問題です。小数の計算が多く出てくるため、丁寧に計算することが求められます。
(3)
バスが90°左折するときの車体の通過範囲を作図する問題です。この問題の難しさは、タイヤの動きと車全体の動きを正しくイメージすることにあります。
◆問題ピックアップ!
(3)
ポイントは以下の通りです。
① 4つのタイヤと車体の四隅がそれぞれどのように動くかをイメージすること
② 「最小回転半径」はどこの長さかを理解すること
③ 4つのタイヤが通る円の中心がどこになるかを見つけること
特に、タイヤの動きだけでなく車体の動きをイメージすることが重要です。バスの全体の動きを大まかにとらえたあとで、タイヤや車体の四隅がどのように動くかを考えるとイメージしやすくなります。
共通問題(算数分野)
〇テーマ
図形の性質、重さのつり合い、倍数・約数
〇内容
かざりのつり合いを考えてモビールを作る。
◆概要
ヒンメリとよばれるフィンランドのかざりが題材となっています。
(1)
ヒンメリを作る際に、① どのように糸を通すか、② ストローは何本必要か、③ いくつまでなら輪の形にできるか、を考える問題です。③ では、理由を答えなければならないため、自分の考えをまとめ上げる力が求められます。
(2)
モビールについて、支点の位置とかざりの重さの関係を考えます。つり合いについての理解が必要な問題です。
(3)
ヒンメリをモビールのようにつるすときの設計図を答える問題です。条件に合うように設計しなければならないのですが、自由度が高いためかえってどこから手をつけてよいかをなやむことが多いでしょう。
◆問題ピックアップ!
(3)
まずヒンメリの種類と重さがどのような関係になっているかを表にまとめるところから始めるとよいでしょう。
表にまとめたあとで、例えば、36と60は12の倍数だから、支点の位置をずらせばつり合う、というようにつり合うかざりの組み合わせを見つけていきます。
棒の長さや切り分ける本数、支点を棒の中心からずらしたかしょの数の指定など、いくつもある条件に合うかどうかを判断するためにさまざまな視点での検証が必要です。
スムーズに答えを出すことが難しいため、試行錯誤しながら答えを導き出していきましょう。
適性検査2-2(45分)
共通問題(国語分野)
〇出典
放送音声 キム・スヒョン『私は私のままで生きることにした』、西研、佐藤幹夫『哲学は何の役に立つのか』より作成
〇内容
会話文の聞き取りをふまえた記述問題。
◆概要
(1)
会話文の中で引用されていた本の内容を簡単にまとめた図を見て、図の中の空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
聞き取りをしながら、重要なことを簡潔にメモしておくことが必要です。
(2)
会話の内容と(1)で考えたことをふまえて、「今後、行うとよいこと」について条件に従って書く問題です。
指定された語句を適切に使用し、論理的に説明する必要があります。
◆問題ピックアップ!
(2)
聞き取った内容と(1)で考えたことをもとに作文します。条件は2つの指定語句を使うことと、3行以内で書くことです。
問題を先に読んでおくことはできないため、音声を聞き取りながら、どれだけ重要なことをメモできるかがポイントであるといえるでしょう。
会話文全てをメモすることはできませんので、会話の中心の話題が何なのかを考えながら、重要なことを簡潔にメモしていくことが必要です。
共通問題(国語分野)
〇出典
文章1 有川浩「自分が楽しいから、好きだからではなく」(宮本恵理子編著『大人はどうして働くの?』所収)より
文章2 河野哲也『問う方法・考える方法』より
〇内容
2つの文章の読み取り。
◆概要
(1)
2つの文章について整理した図を見て、空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
一番長いものでも12字以内、残りは3字以内と比較的短い言葉ですので、字数もヒントにしながら、それぞれの文章から関わりがありそうな言葉をさがし、まとめましょう。
(2)
(1)の図をもとに作成された発表の原稿を読んで、空欄に当てはまる言葉や文章を書く問題です。
問い①では条件に従って1行程度の文章を2つ、問い②では5字以内の言葉を書きます。
どちらも前後の文脈を考えながら、それぞれの文章の内容や(1)をふまえて自分の言葉でまとめる必要があります。
◆問題ピックアップ!
(2)問い①
1つめの文章でしょうかいされていた具体例のうち1つを選び、発表原稿の空欄に当てはまる内容を書く問題です。
それぞれの具体例が文章の中でどのようなことを説明するために示されているのかを考え、どの例について書くか選びましょう。
また、解答を書くときにはまず文脈をふまえて空欄にどのような内容が入るかを考えてから書くとよいでしょう。
そうすることで、具体例について書かれていることのうち、必要なことだけをまとめることができます。
共通問題(国語分野)
〇テーマ
「義務感」についての文章
〇出典
文章1 武田双雲『丁寧道』より
〇内容
文章の読み取り。作文(15~20行)。
◆概要
(1)
文章の内容について整理した図を見て、空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
5字以上7字以内という字数も参考に、適切な言葉を考えましょう。
(2)と(3)は、例年通りこれまでの大問で読んだ文章や考えたことをふまえて解く必要がある問題です。
(2)
大問2の文章と大問3の文章を読み比べたあとで気がついたことについて話し合っている場面の会話文を読んで、空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
6~10字で文章中の言葉を使って書くものが2か所、自分の言葉で漢字2字で書くものが1か所と字数は多くありませんが、それぞれの発言の意図を考えながら適切な言葉を考えることが重要です。
(3)
自分の学級でお世話になった人に「感謝の気持ちを伝える活動」を行うことになり、その実行委員会として活動するという設定の作文問題です。
作文の内容は「感謝の気持ちを伝える活動」の活動内容やその理由についてですが、条件として大問2・大問3で読んだ文章の考え方を適切に取り入れることが求められています。
15~20行と字数にゆとりはありますが、あらかじめ書くことを整理して、論理的にわかりやすい文章を書くことが求められている問題です。
◆問題ピックアップ!
(3)
設定に沿って、15~20行の作文をする問題です。
自分の考えをただまとめるだけでなく、大問2・大問3の文章の考え方を取り入れて書くことに難しさがあります。
書き始める前に、それぞれの文章のどのような考え方に注目するのか、その考え方を自分の意見にどのように取り入れるのかということを考え、文章の構成を整理してから作文しましょう。
また、段落の構成と内容についても条件で指定されているので、それぞれの段落で書きたいことや文章の量のバランスなどもあらかじめ考えてから書き始められるとよいでしょう。
とくに伸ばしておきたい力
千葉県の共通問題では、幅広い分野からの出題に対応できるように「5つの力」をバランスよく伸ばすことが求められます。
◆適性検査1-1
【大問1】
情報整理・運用力、論理的思考力が必要です。
答えるために必要な情報を素早く見つけ整理する力をつけておくことが重要です。また、手順や方法を論理的に説明できる力を伸ばしておきましょう。
【大問2】
課題解決力が特に必要です。
目的を達成するためにどのような解決策が考えられるかという視点で、問題を解けるように練習しておきましょう。身近な社会問題に関心を持ち、自分なりの解決策を考えてみるとよい習慣になります。
◆適性検査1-2
【大問1】
教科基礎力、情報整理・運用力が必要です。
理科の基礎的な知識はしっかりと身につけ、それらを応用できるようにしておきましょう。また計算力を伸ばしておくと、限られた時間の中でより多くの問題に取り組むことができます。
【大問2】
論理的思考力が必要な問題です。
特に場合の数の問題を攻略するためには、順序立てて考える力を身につけておくことが重要です。
◆適性検査2-1
【大問1】
教科基礎力が必要な問題です。
図形の性質への理解を深めたり、小数などの計算力をつけたりするなど基礎的な力を伸ばしておくことが大切です。
【大問2】
論理的思考力が必要な問題です。
さらに、あたりをつけて試し、条件に合わないときはやり直すことをくり返す必要があるため、根気強くやり直す力が必要です。
◆適性検査2-2
【大問1】
情報整理・運用力、論理的思考力が必要な問題です。
聞き取った内容や、資料から読み取ったことから重要なことを図やメモにまとめ、活用できるようにしましょう。
【大問2】
国語的な教科基礎力、論理的思考力が必要な問題です。
読み取った資料について、文章の内容や筆者の主張を論理的にまとめられる力をつけておくことが重要です。
【大問3】
論理的思考力、表現力が必要な問題です。
あたえられた条件に従って、だれが読んでもわかりやすい文章で自分の考えを書ける表現力を伸ばしておきましょう。
おすすめの学習法
比較的解きやすい問題がある一方、答えを出すためにはかなりの時間を要する問題も出題されています。
過去の適性検査を複数年研究して、どの問題を解くべきかを見極め、時間配分について考える練習を積んでおきましょう。
問題ごとに、おすすめの学習法をしょうかいしますので、参考にしながら学習を進めていきましょう。
◆適性検査1-1
【大問1】
あたえられた資料から必要な情報を素早く見つけ出し、自分の言葉で説明する練習をしましょう。また、求め方や考え方を論理的に説明する練習もしておきましょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生11月号では、問題文で示されている条件を整理し、筋道を立てて考える問題に挑戦します。どのように考えて答えを求めたのかを説明する問題にも取り組みます。
【大問2】
資料や意見をもとに、課題をつかみ、解決策を考える練習をする必要があります。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生10月号では、さまざまな種類の資料をもとに、社会の課題やその解決策を検討する問題に取り組むことができます。
◆適性検査1-2
【大問1】
会話文や資料の内容を正確に読み取るために、理科の基礎的な知識はしっかりと身につけておきましょう。今回は、ふりこの性質について理解していることを前提とした問題が出題されています。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生4、5月号では、生き物や天体など適性検査でよく問われる分野の問題に取り組み、知識を応用する力を身につけていきます。
【大問2】
規則を読み取り、表や式などにまとめる練習をしておくとよいでしょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生12月号では、規則的に並んだ鍵盤の数の求め方を答える問題にちょうせんします。
◆適性検査2-1
【大問1】
図形を頭の中でイメージすることが必要です。イメージする力を養うためには、身近な図形を観察することや、実際に図をかいて構造を理解することが大切です。
【大問2】
図形の性質や倍数・約数といった知識を組み合わせて考える必要があります。知識の引き出しを増やしておくことと、知識をどのように活用できるかを知っておくことが大切です。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座5年生11月号では、図形の性質を活用する問題に取り組みます。
◆適性検査2-2
【大問1】
聞き取った音声や資料をもとに重要なことをメモにまとめる練習をしておきましょう。
矢印や図の使い方など自分なりのメモの取り方を決めておくと、短い時間でわかりやすいメモを作ることができます。
【大問2】
説明文や資料を読んで、内容や筆者の主張を図や文章に論理的にまとめる練習をしておきましょう。
自分なりにまとめておくと、空欄に言葉を入れる問題だけでなく、作文の問題などにも役立ちます。
【大問3】
読み取った内容や自分の意見の中で作文に必要なポイントをまとめ、全体の構成のメモをつくる練習をしましょう。
段落ごとのつながりなども意識しながら、書くことを整理しておくことが大切です。
そのメモをもとに指定の字数に合わせて作文することで、だれが読んでも論理的にわかりやすい文章を作ることができます。
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