出題校
東京都立の中高一貫校では、東京都の共同作成問題と、学校独自の問題を組み合わせて、適性検査が実施されます。
各学校の問題は、次の表の通りです。
(共同=東京都共同作成問題、独自=学校独自の問題)
桜修館中等教育学校 | |||||
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大泉高等学校附属中学校 | |||||
小石川中等教育学校 | |||||
立川国際中等教育学校 | |||||
白鷗高等学校附属中学校 | |||||
富士高等学校附属中学校 | |||||
三鷹中等教育学校 | |||||
南多摩中等教育学校 | |||||
武蔵高等学校附属中学校 | |||||
両国高等学校附属中学校 |
桜修館中等教育学校 | |||||
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大泉高等学校附属中学校 | |||||
小石川中等教育学校 | |||||
立川国際中等教育学校 | |||||
白鷗高等学校附属中学校 | |||||
富士高等学校附属中学校 | |||||
三鷹中等教育学校 | |||||
南多摩中等教育学校 | |||||
武蔵高等学校附属中学校 | |||||
両国高等学校附属中学校 |
全体的な傾向
適性検査Ⅰは例年通り、読解問題と作文が出題されました。作文は2つの文章から読み取った内容と自分の考えを適切に関連づけて書くことが重要でした。
問題の構成や傾向について、前年度からの大きな変化はありませんでした。作文では、前年度と同様、これからの学校生活に関連させて書く必要がありました。
適性検査Ⅱは3問構成で、大問1は手順を考える問題、大問2は公共交通機関の利用の仕方についての問題、大問3はまさつに関する実験問題が出題されました。
問題の構成について、大問1と大問2は前年度からの大きな変化はありませんでしたが、大問3は前年度と比べて問題量が減少しました。
問題ごとの分析
適性検査Ⅰ(45分)
共同作成問題(国語分野)
〇出典:
【文章1】東直子『生きていくための呪文』による
【文章2】藤田真一『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』(一部改変)による
〇内容
2つの文章の読み取り。作文(400字以上440字以内)。
◆概要
問題1
設問の問いに対し、文章1・文章2の中からそれぞれ具体例を探して書く問題です。
2つの文章を的確に読み取り、過不足のない解答を作成しましょう。
問題2
文章2に引かれた傍線部に対応する箇所を、文章1の中からぬき出す問題です。
傍線部で述べられていることを理解し、文章1の内容も理解したうえで適切な言葉を探し出す必要があります。
問題3
文章1、文章2で読解した内容をふまえて、これからの学校生活で言葉をどのように使っていきたいかを、400~440字で作文する問題です。あたえられた条件に沿ったわかりやすい文章を書くことが重要です。
◆問題ピックアップ!
(※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します)
問題3
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかを、400字以上440字以内で書く問題です。
2つの文章の筆者の短歌・俳句に対する考え方のいずれかにふれるという条件がついています。
「どのように学んでいこうと思いますか」という問いであった前年に比べると、「言葉をどう使っていきたいか」に限定して書かなければならない点で少し難しかったかもしれません。
2つの文章から読み取った内容を関連づけて書くことが必要ですが、「今のあなた」の考えが求められているので、自分の考えを論理的に説明することが大切です。
適性検査Ⅱ(45分)
共同作成問題(算数分野)
〇テーマ:
手順を考える
〇内容
最短の時間で作業を終わらせることができる手順を答える。
◆概要
問題1
マグネットシートからマグネットを切り取るとき、合計時間が45分未満になるように、太郎さんと花子さんがそれぞれ行う作業の順番を考える問題です。
問題2
マグネットをつけかえて得点板のデジタル数字を変更するときの、最短時間とその手順を考える問題です。
どちらの問題もまずは条件を正しく読み取ることが大切です。そのうえで、どのような順番で作業を行えばかかる時間が短くなるかの見当をつけてから、それぞれのパターンを検証しましょう。
検証するパターンをしぼりこむことができれば、短い時間で答えにたどり着くことができます。
◆問題ピックアップ!
問題2
棒状のマグネットを使ってデジタル数字で表された「456」を、「987」に変えるのにかかる最短時間と、その手順を答える問題です。
かかる時間を短くするには、「2枚のボードを入れかえる」操作4をうまく使うことがポイントです。
操作4には3秒かかるので、入れかえる前と後を比べて、操作1~操作3の合計時間を3秒よりも多く減らすことができれば、操作4を行うことで時間を短くできます。
「4、5、6」のそれぞれの数字について、操作1~操作3で「7、8、9」に変えるのにかかる時間を調べることで、かかる時間を最も減らせるのは、どの数字とどの数字を入れかえるときかを考えましょう。
共同作成問題(社会分野)
〇テーマ:
交通手段の選び方
〇内容
公共交通機関の利用の仕方について、料金や時間、地域の特色などとの関連を考察する。
◆概要
問題1
地域ごとの交通手段の利用割合について、グラフからその特徴を読み取り、会話文等の資料を参考にしてその特徴があらわれる理由を考察する問題です。
提示された2つの地域のうち、自らが選んだものについて説明します。このような問題では、自分にとって特徴を説明しやすいものを選ぶようにしましょう。
問題2
「ふれあいタクシー」の取り組みについて、それが必要になった理由と取り組みの効果を説明する問題です。
どちらの問題も、参照する資料や記述する内容について、いくつかの条件が示されています。自分の解答が条件にそっているか、必ず確かめるようにしましょう。
◆問題ピックアップ!
問題2
4つの資料と会話文から読み取ったことを根拠にして、説明する必要があります。町の人口減少や、高齢者の割合の高さに着目できるかどうかがポイントです。
参照する資料の数が多いと感じるかもしれませんが、1つ1つの資料は複雑ではありません。それぞれの資料からわかることを整理してから解答を作成するようにしましょう。
また、この問題では図や表だけでなく、会話文の中にも解答を作成するために必要な内容が書かれています。資料を読み取る問題では、情報の見落としがないように注意することが必要です。
共同作成問題(理科分野)
〇テーマ:
まさつ
〇内容
みぞのある/なしやその方向、素材によって異なる実験結果から、もののすべりにくさについて考察する。
◆概要
問題1
プラスチックの板へのみぞのつけ方をかえる実験を通して、ペットボトルのキャップがすべりにくくなるような工夫について考える問題です。
実験で使用したプラスチックの板のうち、どれがペットボトルのキャップと共通したとくちょうを持っているのかを説明する必要があります。
問題2
早くすべり下りるそりについて考えるために、プラスチックの板の素材をかえる実験を通して、すべりやすさがどのように変化するかを考える問題です。
会話文や実験結果からわかることを整理し、問われていることを正確に説明する力が必要です。
◆問題ピックアップ!
問題2
問題文に「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件は何であるかを示して」とあるように、2つの実験が意味することと、そのちがいを読み取りましょう。
実験2からは、板の素材と重さの条件のちがいによるすべりやすさのちがいがわかります。実験3からは、3種類の板をいろいろな順で積み重ねたときの、すべりやすさのちがいがわかります。
実験3で素材と重さの条件がどうなるかに注目するとよいでしょう。
とくに伸ばしておきたい力
東京都立では、「5つの力」をバランスよく伸ばすことが求められますが、より伸ばしておきたい力として、情報整理・運用力、論理的思考力、表現力が挙げられます。
・適性検査Ⅰ
論理的思考力・表現力が必要とされる問題です。指定された字数の中で、あたえられた文章から読み取った内容をわかりやすく伝える力と、自分の考えを伝えられる表現力を伸ばしておきましょう。
・適性検査Ⅱ
【大問1】
論理的思考力が重要になってきます。問題の条件から、かかる時間が短くなるような手順を予想して、効率的に正解にたどり着きましょう。
【大問2】
情報整理・運用力が必要な問題です。資料を読み取る際には、共通点や変化、特徴的な値に着目できるようにしましょう。
【大問3】
情報整理・運用力や表現力が必要な問題です。実験の結果を正しく読み取り、考察できることを整理して、過不足のないように説明できる力を身につけておきましょう。
おすすめの学習法
教科知識をそのまま問う問題は出題されません。適性検査型の出題に慣れ、解き方を身につけておく必要があります。そのためには、適性検査型の問題にたくさん取り組んでおくことが大切です。
また、適性検査Ⅰだけでなく、適性検査Ⅱでも文章で説明することが求められます。そのため、簡潔に文章でまとめる練習、他者に伝える練習もしっかりしておくとよいでしょう。
問題ごとに、おすすめの学習法をしょうかいしますので、参考にしながら学習を進めていきましょう。
・適性検査Ⅰ
読み取った内容や自分の意見の中で作文に必要なポイントをまとめ、全体の構成のメモをつくる練習をしましょう。
そのメモをもとに指定の字数に合わせて作文することで、だれが読んでも論理的にわかりやすい文章を作ることができます。
Z会の公立中高一貫校作文講座9月号では、二つの課題文をふまえて作文を書くことを学びます。
・適性検査Ⅱ
【大問1】
問題に書かれている条件を理解し、最適な手順の見当をさっとつけるためのセンスをみがきましょう。Z会の公立中高一貫校適性検査講座5年生1月号では、どのような順番で作業を行えば、料理にかかる時間を最も短くできるかを考える問題に挑戦します。
【大問2】
複数の資料を読み取り、読み取った情報をもとに問われている内容について説明するという問題形式に慣れておく必要があります。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生7月号では、同じ問題形式で練習ができます。時間を計り、スピード感をもって解く練習もできるとよいでしょう。
【大問3】
さまざまな実験・観察問題に取り組み、結果から考察する力を高めましょう。
また、身のまわりのものや現象が題材となることも多いので、普段の生活で疑問に思ったことは、積極的に調べてみるとよいでしょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座5年生12月号、6年生8月号では、身のまわりの現象がどういうしくみで起こるのか、実験を通して考える問題に挑戦します。
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