【Z会が解説】2025年共通テストで新設の「情報Ⅰ」 その学びの本質とは?

令和7年度共通テスト(2025年1月実施)より、試験科目として新設された「情報Ⅰ」
多くの国公立大学で必須科目として課されることから、注目を集めています。

本記事においては、そもそも「情報Ⅰ」とはどのような科目であるか解説します。
chatGPTなどの生成系AIの登場と急速な発展をはじめ、情報技術の進化はとどまることを知りません。この高度情報化社会をより良く生きるための力を身につける科目が「情報Ⅰ」です。
何を学び、どのような力を身につけることができるかを知り、ぜひ前向きに「情報Ⅰ」の学習に取り組んでください。

 

「プログラミングを学ぶ」だけではない?
卒業後も大事な知識・スキルを学ぶ「情報Ⅰ」

2022年度より高等学校で施行された新しい学習指導要領で、「社会と情報」「情報の科学」を統合して新たに必修科目として設定されたのが「情報Ⅰ」です。
小学校でプログラミング教育が必修化されたことで、「プログラミングをやる科目」という印象も広がっている「情報Ⅰ」ですが、それだけを学ぶわけではありません。

「情報Ⅰ」では「情報活用能力」を養成することを目標としています。
文部科学省では、この「情報活用能力」は大きく3つの要素から成り立つものとして設定しています。

  1. 情報活用の実践力
    課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力
  2. 情報の科学的な理解
    情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解
  3. 情報社会に参画する態度
    社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度
    *【情報編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説より

 

つまり、プログラミングを含む「コンピューターサイエンス」を学習するだけでなく、データの分析・解析やそれを活用しての説明・提案を行う「データサイエンス」「情報デザイン」も学習し、それを扱う「情報リテラシー」も身につける教科が「情報」であり、「情報Ⅰ」ではその基本的な部分を学習します。
これらは従来であれば、大学の教養課程で学んだことや、社会に出てから身につけるような内容も含まれます。
高度情報化社会とされる現代をより良く生きるためには、「情報活用能力」は一部の人だけが身につければよいものではなく、多くの人が身につけたい能力です。
そのため、高校生全員が履修する「情報Ⅰ」で基本的な「情報活用能力」を育成するようになりました。

 

高校生が「社会人なみのプレゼン」も授業実戦!実践的な「情報Ⅰ」の授業

では、実際の授業ではどのようにその力を身につけていくのでしょうか。

例えば「自分たちの高校の魅力を中学生にPRしよう」というテーマの授業を考えてみます。
一見、「情報Ⅰ」の授業とは関わりの薄いような題材に思えますが、情報活用能力を育む要素が含まれています。

  • PRの対象、中学生とはどのような対象か。
    →情報の受け取り手を考える。
  • 自身の高校の持つ魅力は何か。それは情報の受け取り手にとっても魅力的か。
    →グループでのアイデアの出し方、グループディスカッション方法を学ぶ。
  • 魅力を相手に伝えるために、どのように見せるか。
    →情報の可視化の方法を学ぶ。
  • PR手段は何が適切か。情報を発信する上で、気をつけなければいけないことは何か。
    →情報手段の特性や、情報リテラシーを学ぶ。

その他にも、なぜPRする必要があるのか課題背景を考えたり、PRをして何を達成したいのかを考えたりするなど、学習を深める要素は他にも考えられます。
また、「高校」を「地域」に変更し、官公庁のデータを用いつつ学習を進めるなどし、データの活用方法についても学ぶなどの授業も考えられます。

相手のことを考え、伝わるように情報を発信する」という活動は、情報の授業だけでなく、多くの人が日常的に行っていることです。
社会人が業務の中で行うプレゼンテーションはまさにこれですし、テレビやYouTubeなどの動画番組も、視聴者のことを考え、情報を発信しています。

「情報Ⅰ」の授業で学習することは、実社会との結びつきが強いものであることがわかります。

 

急激に普及するChatGPTなどの生成系AI
便利で「安全」な情報社会へ向け、「思考」「姿勢」も身につける

冒頭でも触れたとおり、生成AI(ChatGPTや画像生成AIなど)の登場と急激な普及が大きなニュースとなっています。
とても便利である反面、生成AIの発信する情報が必ずしも正しいものではなく、仕組みや背景、詳しい機能などを理解せず利用し、その情報を鵜呑みにすると、誤った知識や情報を広めてしまうこともあります。
また、個人情報などの秘匿性の高い情報を入力してしまい、それが漏洩してしまったり、著作権を侵害してしまうなどのトラブルも実際に発生しています。

「情報Ⅰ」の授業では、個人情報や知的財産の保護と活用について扱います。また、情報モラルや情報社会で生きる倫理観の育成もします。
表計算ソフトの活用方法や、情報の可視化方法、プログラミングなどのスキル面の学習もしますが、情報を扱う「思考」「姿勢」も育む科目であることは重要なポイントです。

情報社会の進化とともに、技術も今後一層発展していくことでしょう。
それらを過剰に恐れることなく、より良く活用できるようにするためには、扱う知識やスキルだけでなく、扱う「思考」「姿勢」も欠かせません。
技術の進化は著しく、知識やスキルはすぐに時代遅れになっても、「思考」「姿勢」は普遍的なものです。
授業中以上に、日常生活では様々な情報に触れます。授業で学んだことを、日常生活でも実践することで、「思考」「姿勢」は磨かれます。
学習内容を実生活と結びつけながら学習しましょう。

 

共通テスト対策だけではもったいない!「情報Ⅰ」を活かして未来を拓く

これまで説明したとおり、「情報Ⅰ」の授業では、実社会・実生活において欠かせない「情報活用能力」を身につけることができます。

共通テストの試験科目として話題になったことで、そちらに注目が集まっていますが、「情報Ⅰ」で学ぶことは総合型選抜や学校推薦型選抜の口頭試問やディスカッションにおいても有効です。
共通テストの試験科目だから対策する、だけではなく、先々まで有効な力を身につけることができるものとして取り組むことが望ましいと言えるでしょう。

「情報Ⅰ」で学ぶことを、授業や高校の枠の中にとどまらせることなく、日常生活にも学習したことを取り入れてみてください。
授業で身につけた「情報活用能力」を日常でも活用することで、その力はさらに磨かれ、未来を拓く力として活きるはずです。


 

 

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