「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

2021年03月24日更新

プログラミング的思考は 21世紀を生きるための基本スキル

プログラミング的思考は 21世紀を生きるための基本スキル

【(株)ソニー・グローバルエデュケーション 代表取締役社長 礒津 政明様 インタビュー】
プログラミングを学び、その考え方やスキルを身につけることの重要性が高まっています。その理由や背景について、「Z会プログラミング講座 みらい with ソニー・グローバルエデュケーション」で使用するロボット・プログラミング学習キット「KOOV(R)」を開発した株式会社ソニー・グローバルエデュケーション 代表取締役社長 礒津政明さんにうかがいました。

[プロフィール]

礒津政明(いそづ・まさあき)

1998年東京工業大学卒業。2000年同大学院修了、ソニー株式会社入社。ソフトウェア、ネットワーク、ウェブ関連の研究開発に従事。2015年株式会社ソニー・グローバルエデュケーションを設立、現職に就く。2016年5月文科省「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」委員に就任し、「プログラミング的思考」を提唱する。教育者向けイベント、教育シンポジウム・学会、AI・ブロックチェーン技術イベントでの講演多数。

プログラミングの考え方があれば変化に柔軟に対応できる

変化のスピードが非常に速く、だれも予想のつかない世の中になっている今、私たちは何をするにしてもできるだけ柔軟に考えることが必要になってきています。

例えば、事前に計画を立て、それを確実に実行することは、これまでのビジネスの場においても、20世紀の教育においても、非常に重視されてきました。ところが、21世紀に入ってからの変化によってこれだけ不確実な世の中になったことで、事前に計画を立てることの意味は薄れ、おおまかな方向性を決めて動きながら、状況に応じて考え方や方向性をどんどん変化させていくことが必要になってきているのです。

プログラミングとは、ソフトウェアをつくる行為のことですが、ソフトウェアは「ソフト」の名のとおり柔軟なもので、つくっている途中、そして形になったあとも、より良くするために柔軟に変更を加えていきます。いわば、「最初からうまくいかないのは当たり前。どんどん改善することで、最終的に良くなればいい」という考えのもとでつくるもの。この考え方は、変化への柔軟な対応が求められる社会を生きる上で大事な要素の一つで、だからこそ今、プログラミング教育が重視されるようになってきているのだと認識しています。

デジタルの時代に新しいものをつくり出すために

2020年度から小学校で始まったプログラミング教育は、プログラミングの考え方を各教科に取り入れ、学ぶというものですが、私はもっと広い意味でプログラミング教育をとらえています。具体的には、プログラミング教育は、新しいものをつくり出すための教育であると考えています。

例えば、昔であれば、木を切りかなづちを打って新しいものをつくっていましたが、今は、現代的なものはすべてデジタルでできています。デジタルのものをつくるには、必然的にプログラミングの考え方やスキルが必要で、コンピュータやAIがまだできない、「ゴールとそこに向かうための戦略を描き、手順を考えること」や、「そのプロセスを実行するためのプログラムを書くこと」などは、人間がプログラミングの考え方やスキルをもって取り組む必要があります。

そうして、プログラミングによってものをつくれるようになれば、身近な課題をコンピュータによって解決することも可能になります。さらには、スティーブ・ジョブズがiPhoneを世に送り出したように、誰も想像がつかなかったけれど将来のスタンダードになるようなものをつくり出すチャンスをつかめる可能性だってあります。

これらのことから、これからの時代においてプログラミングは、これまで学習の基本とされていた「読み、書き、そろばん」に並ぶスキルと言えるでしょう。むしろ、読み、書き、そろばんを包含したスキルと表現するのが正しいかもしれません。コンピュータが解釈できる言語を使うという点で国語や英語のような言語的な考え方も求められますし、コンピュータへの命令を論理立てて考え適切な手順で指示する、という算数・数学で培われる論理的思考力も求められるからです。

プログラミングを学ぶことで見える世界

プログラミングを学ぶ中で子どもたちにとくに培ってほしいのは、「プログラミングによって、モノをつくれるんだ」という感覚です。普段、子どもたちがスマートフォンやタブレットのアプリやゲームで遊んでいるとき、それらを「自分でもつくれる」と思うことはそうあるものではないと思います。でもプログラミングを学んでいると、「もしかして、自分でもつくれるかも?」と気づく。その瞬間から、アプリやゲームに対して、一気にクリエイティブな見方ができるようになってくると思うんです。

私自身、7〜8歳のころに父親から使っていないパソコンを譲り受け、プログラムを書いて画面上のものを動かすことを始めたのですが、同じ頃に遊んでいたファミコンのゲーム中に気づいたんです。「あれ? もしかしてゲームも、自分でプログラムを書けばつくれるんじゃないかな?」と。

そこから、ゲームの見方が180度変わりました。ドットやキャラクターはどんな仕組みで動いているのか? ファミコンにはどういうマイコンやCPUが入っていて、メモリはどのくらいなのか? など、気になってしょうがなくなるんです。そうして調べたり考えたりしていると、仕組みが徐々にイメージできるようになってきました。さらに、「自分だったらこんなゲームをつくるのにな」「なんでこうしないんだろう?」などと能動的にゲームを見るようになり、発想の幅も広がってくるんです。

この、「スキルや知識を手に入れることで一気に視野が広がり、物事を能動的に見るようになる経験」を、プログラミング学習をとおして、小さなころからしてほしいと思います。

ブロックを使ったプログラミング学習キット「KOOV(R)」

とはいえ、プログラミングになじみのない小学生がいきなり画面上でプログラミングを学ぶのは難しいもの。そこで、子どもたちが触りやすく、使いやすい教材をと私たちが開発したのが、ロボット・プログラミング学習キット「KOOV(R)」です。

KOOV(R)は、7色・7種類のブロックで自由に形をつくり、プログラミングによって動きを与え、動かす教材です。開発にあたって重視したのは、「アイデアを形にできる」ことと、「好きな形をつくれる」こと。画面上ではなく、ブロックというモノがあることで、目で見て、触れるものを形づくり、動かす楽しさが生まれますし、好きな形をつくれるようにすることで、子どもたちは自らのアイデアに沿って自由な形をつくり、それが、その子にとってのゴールとなるという、多様性の確保も意識しています。

ブロックは、シンプルな形状で、7種類のみですが、かなり多様なものがつくれます。現に、KOOV(R)のWebサイトにある、子どもたちがつくったロボットの写真や動画の投稿ページには、過去数年間で、日本や中国、アメリカから十数万体のロボットが登録されています。

ブロックの色にもこだわり、男の子も女の子も楽しめる7色を採用しています。ロボットの教材というと、どうしても角ばっていて、男の子には受けるけれど女の子の興味は引きづらいような色合い・デザインのものが多いですが、そうではなく、ジェンダーニュートラルな教材をめざしました。さらに、ブロックを半透明にしたことで、重ね合わせるとさらに多種多様な色を表現することができます。これも、多様なものをつくることにつながると思っています。

また、ブロックというモノを用意したもう一つの理由として、皆で協働して大きなものをつくることができる、という点があります。今、世の中においても、教育においても、コラボレーションの重要性が非常に高まっています。もちろん、画面上のプログラミングでも友だちと協働することはできますが、小さな子ども同士だとなかなか難しいもの。ブロックというモノがあることで、そのハードルを下げることができると考えました。

シンプルなブロックだからこそ気軽にトライ&エラーができる

シンプルにつくれるということは、やり直しがきくということでもあります。例えば、1,000パーツものブロックを一生懸命組み合わせてつくったものをもう一度つくり直すとなると、その気になりづらいですが、KOOV(R)を扱う子どもたちを見ていると、まずは50パーツくらいでぱっとつくって、違和感があれば気軽にやり直すんです。大人だと「せっかくつくったんだから、この部分だけは生かそう」などと考えがちですが、子どもたちは、バラバラバラ〜と全部バラしてしまう(笑)。そうやって気軽にトライ&エラーできるのも、KOOV(R)の良さですね。

先述したとおり、今、ビジネスの世界においても、事前に計画を立ててもそのとおりにならないのはよくある話。大きな方向性を決めた上で、さまざまな方向への転換を視野に入れて道筋を立て、状況に応じて柔軟に考えを変えていくことが必要です。

KOOV(R)では、小さな世界ではありますが、それをブロックの組み立てをとおして実践できます。一つひとつのパーツをつくり、最後に組み合わせる段になって、「ちょっとイマイチだな」と思えば、使えるパーツだけ残してほかはバラしてしまうことも簡単にできる。そういった試行錯誤のしやすさと、先ほど申し上げた、ブロックがあることによるコラボレーションのしやすさが、大きな特長だと思います。

実際、グループ対抗の大会を実施したりもしていますが、3人でチームをつくると、アイデアを考える人、ブロックを組み立てる人、プログラムを書く人、など、それぞれの得意に応じて分担したり、仲間の苦手なところをサポートしあったりと、子どもたちなりに自然に役割分担と協働ができています。

KOOV(R)を入り口に課題解決へのトライを

冒頭に申し上げたとおり、プログラミングの考え方は「うまくいかなくて当たり前」で、最初は0点だったとしても、そこから徐々に100点に近いところにもっていくために何度もやり直して、最終的に良くなればいい、というものです。今の子どもたちは、必要以上に失敗を恐れる傾向にあると感じていますが、「うまくいかなくても、改善を重ねて最終的に良くなればいい、帳尻が合えばいい」という考えを、プログラミングをとおして小さなころから培うことができれば、トライ&エラーが求められるこれからの世の中を生きる上で非常に有益だと思います。

ぜひ、KOOV(R)を使って、この考え方や、「モノをつくれる」という感覚を得てください。そして、次のステップとして、KOOV(R)をさらに使いこなしてより高度なものをつくったり、KOOV(R)を使わずにコンピュータの画面上でのプログラミングを追究したりと、プログラミングの考え方やスキルを発展させてほしいですね。いずれの場合も、次の段階では、何かしら課題を設定しそれを解決する手段として、あるいは、やりたいことを実現するためのツールとして、KOOV(R)やプログラミングを使うようになれるとより良いと思います。

コンピュータやAIにはまだできない、「ゴールや戦略を描くこと」「プロセスを実行するためのプログラミングを書くこと」は人間が取り組むべきこと。プログラミングをとおして、モノをつくり、課題を解決していく力を、ぜひ今の子どもたちには身につけてもらいたいと思っています。

ここからは、プログラミング学習について保護者の方がよく抱く疑問に答えていただきました。

Q1.
プログラミングを学ぶにあたって、パソコンに慣れておいたほうがいいですか?

A1.
基本的な操作はできたほうがよいでしょう

プログラミングを学ぶ前に、デジタルのものに関するリテラシー、例えば、キーボードやスマートフォンでの文字入力、マウスの操作、わからないことは検索エンジンを使って調べ、検索結果から自分で判断することなどができるようになっておくことは大事です。こういったコンピュータの使い方を、海外、とくにアメリカなどでは保護者がしっかりと教えている印象があります。日本では、GIGAスクール構想によってようやく子どもたちが1人1台パソコンを持てる可能性が出てきたところ。環境が整っていない現状では、ある程度は保護者の方が教える必要があるのかなと思います。

 

Q2.
子どもが小さなころからコンピュータやプログラミングになじみがある状態にするには、保護者はどのような働きかけをするとよいでしょうか?

A2.
興味を持つかは本人次第。ただ、きっかけをつくることは大事

コンピュータやプログラミングにふれる機会を保護者の方がつくることは非常に大事なことだと思います。

例えば、私には娘が2人いますが、自分と同じように小さなころからコンピュータを使ってほしかったので、小学2年生になったら本人専用のMacを買ってあげると決め、実際に買ってあげました。決して安くはない買い物でだいぶ奮発しましたが、そこから当たり前のようにパソコンを使ってくれるようになり、下の子はプログラミングが好きになってくれて、今もそれなりにやっています。

子どもの興味がどこに向かうかは本人にしかわからないものですが、保護者の方が機会をつくることは大事だと思います。

 

Q3.
保護者の自分が、プログラミングになじみがありません。教えられるでしょうか?

A3.
子どもと一緒に学んだり、子どもから教わったりするくらいの姿勢でいましょう

保護者が子どもに教えるというよりも、子どもから教えてもらうくらいの姿勢でいるのが大事かもしれません。例えば、まずは簡単なものを子どもに学んでもらって、「それってどうやるの?」と尋ねて教えてもらうのはどうでしょうか? 大人に教えるとなると、子どもは優越感を覚えて一生懸命教えてくれますし、さらに学ぼうとすると思います。

実際、子どものデジタルに関する知識やスキルの習得スピードは圧倒的なものがあります。子どもの能力を小さく見過ぎず、一緒に学んでいくといいのではないでしょうか。

 

Q4.小学校のプログラミング教育は、地域や学校によって内容がまちまちなように思います。どういう心構えでいるとよいでしょうか?

A4.
公教育のカリキュラムは、全国で同じものを実施することを考えてつくられるので、どうしても最大公約数的な内容になりますし、プログラミング教育のような新しい教育は、先生個人の考え方やスキルに左右される面もあります。また、変化のスピードに学習指導要領の中身が追いついていない面もあります。

したがって、もはや今は、学校や塾任せにせず、保護者の方が責任を持って子どもの教育にかかわっていかなければならない時代になっているのではないでしょうか。保護者の方が主体的に、子どもたちが学ぶ手段や教育へのお金のかけ方について情報のアンテナをはり、知識を仕入れ、選んでいくことが大事かなと思います。

 

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