「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

2021年03月24日更新

STEAM教育は、学びに対する “ワクワク”を生み出す手段

STEAM教育は、学びに対する “ワクワク”を生み出す手段

「Z会プログラミング講座 みらい with ソニー・グローバルエデュケーション」の教材には、次世代的な教育方針「STEAM教育」のエッセンスが盛り込まれています。STEAM教育とはどのような教育なのか、また、プログラミングを学ぶことの意義などについて、STEAMの知識・技術を使って楽しく学ぶ学習プログラムの開発・提供に取り組む中島さち子さんにうかがいました。

[プロフィール]

中島さち子(なかじま・さちこ)

ジャズピアニスト、作曲家、数学家、STEAM教育家。幼少期からピアノ、作曲に親しみ、14歳ごろからは数学や読書に没頭。高校2年次に国際数学オリンピックにて金メダルを獲得。東京大学理学部数学科卒業後は音楽の道へ。現在は、演奏・作曲・数学研究のほか、横断的・実践的・創造的でplayfulなプログラムの開発・提供に注力。内閣府STEM Girls Ambassador、経済産業省『未来の教室&EdTech』研究会研究員、米日財団日米リーダーシッププログラムフェローなど多方面で活躍中。

アイディアを形にするのがSTEAM的学び

「STEAM教育」は、一般的に、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の領域の知識を統合的に学ぶことと言われていますが、その概念や考え方は社会状況やそのときどきの教育観などに応じて変化し続けており、明確な定義があるものではありません。

もともとは、1990年代〜2000年代のアメリカで「新しい技術などを横断的に用いて、アイディアを形にする力をもった人材がこれからの時代もっと必要で、それは人々の幸せにも繋がる。そのためにSTEMの領域に関する知見を習得し変化に対応でき、創造の喜びや自信をもてる人材を育てよう」と、STEM分野の教育に力を入れ始めたことが発端です。その後、Art(Arts)の分野の重要性も言われるようになりました。

この動きと同じくして、学び方にも変化が生まれました。「知識を一方的に教え、受け取り、正しく教えられたとおりに思考・操作ができること」だけでなく「自ら問いを立て、関連する知を自分で調べ、議論し、まとめること」も超え、一歩先の「自ら問いを立て、STEAMの知を使って解決する・議論の上で生まれたアイディアを試作し、個人やチームで協働して形にする」という学び方が、世界の主流になってきています。もともと欧米などでは、学びの中でディスカッションが盛んに行われていましたが、その学び方を一段深め、「議論して生まれたアイディアをSTEAMの知恵を使って形にする」段階にまで、今は向かっているといえます。

一方、日本でも各地で優れた学術的探究が生まれていますが、よりプロジェクト型で実生活と結びついたような(「知る」と共に「創る」がしっかり入った、循環的な)探究、STEAM的な考え方はまだ全般的には少ない印象です。

STEAMを用いた学びにより「知る」と「創る」が循環する

STEAM教育が海外で主流の学び方になった背景には、「21世紀における3つの変化」があります。その3つとは、
①イノベーションと呼ばれるような、モノやサービス、仕組みのほとんどは、1つの専門性からではなく複数の専門性の掛け合わせから生み出されていること
②インターネットと各種テクノロジーにより、だれもがつくり手や発信者になれる「創造性の民主化」が起こっていること
さらに
③「正しさ」に明確な正解がなく、何をつくるにしても、試行錯誤を経てより良いものに近づけていくことが求められる時代になっていること
です。これらの変化に対応していくために、STEAM教育が重視されるようになったという側面があります。

ただ、それ以上に、STEAM教育が浸透した要因、そして、私自身が日本でもSTEAM教育が広く浸透してほしいと考えている理由は、STEAM教育が、学びの本質である「ワクワクする感覚」を生み出せる方法だからです。ワクワクして、やる気にならないと、学びは深まりません。STEAM教育は、アイディアを形にする試行錯誤をとおして「自分が未来に価値を生み出せるかも」「自分自身、表現したい・つくりたいものが見えてきた!」などのワクワクを生み出します。また、その過程では、教科知識や専門知識を習得する(=知る)ことと、複数の知識に横串を刺し、創造的・論理的に思考し、未知の課題やその解決策を見出す(=創る)こととが循環します。そこに、STEAMを用いた学びの意義があると考えます。

プログラミングは「つくる」をとおして学ぶ格好の材料

2020年度から小学校でプログラミング教育が始まりましたが、プログラミングを学ぶことの意義は、「つくる」ことをとおして学べること、また、逆にコンピュータさんに「教える」ことをとおして学べることにあると思います。MIT(マサチューセッツ工科大学)のシーモア・パパート氏は、こうした点に着目してプログラミングを教育に取り入れました。これまでの小学校の授業では、先生から一方通行で教わることが多かったと思いますが、プログラミングを行うことは、すなわち子どもたち自身がコンピュータさんに何かこういうことをしてね、と教えるということ。でも、教えるって難しい。なかなかうまくいかなかったり、とりあえずうまくいっても、より良い方法があったんじゃないかと試行錯誤したりする場面に必ず出くわします。その過程でより深い学びを得ることができるというところは、大人の方々にも共感いただけるのではないでしょうか。

また、うまくいかなかったときに「何がうまくいかなかったんだろう?」と振り返り、いろいろと試してみることを、プログラミングの世界では「デバッギング(debugging)」と言いますが、デバッギングを繰り返すことでだんだんと構造が見えてきて、同時に感覚(直観)も磨かれてきます。これは、人生そのものにも通ずることで、なかなかうまくいかないときに問題のありかを探し、試行錯誤してやり直す練習にもなると思います。

さらに、プログラミングだと、「自分のアイディアを形にする」ということも実現しやすいですよね。図画工作にも似ています。図画工作は五感を使い、プログラミングは画面の中で完結するという違いはあるものの、「アイディアを形にする」という楽しさは近いものがあるように思います。

実は、私自身は当初はプログラミングにあまりおもしろさを感じていませんでした。ところが、2018年から2年間、ニューヨーク大学Tisch School of the ArtsのInteractive Telecommunications Program にてメディアアートを学んだ際に、すごく夢中になったんです。つくりたい作品が出てきて、実現するにはプログラミングが必要で、その方法を徹底的に考える中でおもしろくなりました。

いくつもの作品を作りましたが、最初のショーに出した作品の一つは「音色を色にする」というものでした。カラフルなアルゼンチンの書道家と一緒に音楽ライブ演奏をしたときの楽しさが忘れられず、音楽に合わせて音の筆が自動的に美しい絵を描いてくれたらいいなというのが最初の動機でした。その中で聴こえない方にも音楽を楽しんでほしい!という想いも深まり、音色を色にすることへ関心が高まりました。何かを触ったり動かしたりして生まれた音色の情報からフーリエ変換を通じて周波数を割り出し、そのバランスをRGB(デジタルの色の三原色)に翻訳して色をつくり出すんです。例えば、高い「シャンシャンシャン」という音だとピンク色に変換され、低い「ビシャーン」というノイズっぽい音だと白っぽく変換されるなど…。音を耳で聞くだけでなく、視覚でも味わう作品をつくるべく、物理的な世界と、頭脳であるコンピュータをいかにしてプログラムし、連動させるかを考えるのはすごくおもしろい経験でした。このように、人はつくりたいものがあればどんどん知識を得ようとするし、試行錯誤を経てモノをつくることから得られる学びも大きいと思います。

たくさんの例を見て思うままにつくってみよう

五感を使う、という点でいうと、「Z会プログラミング講座 みらい with ソニー・グローバルエデュケーション」で使用するKOOV(R)のようなロボットプログラミングは、物理的な世界でモノが動き、それをプログラミングでコントロールする、という点で五感を使うし、愛着もわきやすい教材だと思います。色がきれいなのも魅力ですね。画面上だけでなく、やっぱり実際のリアルにふれる世界につながるのはとても大事だと思います。

人は、学習するときに脳だけでなく身体のさまざまな感覚を少しずつ使って学習していると思います。手触りから学ぶ、匂いから学ぶ、視覚から学ぶ…など。とくに小学生においては、五感をダイナミックに使って学ぶことが、将来経験するであろう、チームで多様な人々と協働することや、さまざまな分野をつなげて何かをつくり出すことに生かせるのではないかと思います。

KOOV(R)のサイトで作品をシェアしたり、ほかの子どもたちの作品を見たりできるのもいいですね。私が提供しているSTEAM教育プログラムに参加した子どもたちや、自分の子どもを見ていると、作品の例が1つ2つと限定的に示されるのではなく、たくさんあればあるほど、それらが刺激となって「じゃあ、自分はこうしてみよう」と着想を得られるようです。

保護者は介入しすぎず子どもの自由に任せる

お子さんがプログラミングを学ぶ際には、保護者の方は手取り足取り教えるのではなく、学ぶところからつくるところまで、できるだけお子さんに任せるとよいと思います。私自身もまだまだ模索中です。私の子どもの場合、画面でのプログラミングやロボットプログラミングにおいて、あるところでマニュアル的に教わったときはまったくおもしろいと思えなかったそうです。よくわからないまま、ただ模写のように進めるだけで学びにもあまりならないと。

ところが、ある言語において、ほかの子どもたちの作品がずらり!と並んでいるとき、最初は遊びながら感動して「こんなの絶対自分ではつくれない、すごい!」と言っていたのに、徐々に徐々に勝手に変化があったんです。誰も何も教えていないのですが、いろいろな作品とそのコードを見ていくうちに、だんだんとからくりがわかってきたようで、オリジナルのアイディアでゲームをつくるようになりました。お子さんそれぞれの性格にもよると思いますが、自由ななかでほかの人の作品からアイディアをもらいながら自分なりの作品を自分のペースでゆっくりつくる、というのは、プログラミングを楽しむ方法の1つになるし、保護者の方がお子さんを見守る上でのヒントにもなると思います。

あとは、保護者の方も一緒に楽しむことです。親子で1つずつ作品をつくってみると、互いに刺激になりますし、お子さんがどんなところで難しさを感じているのかなども知ることができると思います。

プログラミング教材はお子さまに合う物を見つけて

今、プログラミング教材は、KOOV(R)をはじめ多種多様なものが出ています。プログラミングの言語1つをとっても、絵を描けばそれがオブジェクトになり、そこに重力や関係性をつけるなど直感的に操作できるものから、プログラミング言語を直接書くものまで、幅広く出ています。お子さんに応じて、とっつきやすいものや「おもしろそう」「かわいい!」などと関心をもてるものを見つけて取り組んでみてほしいですね。

もしお子さまがすぐには夢中にならなかったとしても、保護者の方は焦らなくてよいと思います。本人が興味をもつものに出合う機会は探りつつ、時を待つのもいいと思いますよ。その間に、ぜひ保護者の方々も、こうした新しいSTEAMの学びにアンテナをはり、少しでも興味がわいたときは、焦らずゆっくり試行錯誤し、たくさん失敗しながらぜひご自身なりのやり方・ペース・表現で楽しんでみてください!

 

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