「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

2021年01月20日更新

プログラミングは、自分の思いを形にする強力なツールになる

プログラミングは、自分の思いを形にする強力なツールになる

2022年に月面着陸を、2023年に月面探査をめざす民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のメンバーとして月面探査車を設計している田中さん。エンジニアとして働くかたわら、自ら会社を立ち上げ、xR(※)、ロボット、AIなどを用いた宇宙体験コンテンツの制作にも取り組まれています。ロボットとの出合いやプログラミングを学ぶ意義などについてうかがいました。

※VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といったすべての仮想空間技術の総称。

[プロフィール]

田中克明(たなか・かつあき)

株式会社amulapo代表取締役/株式会社ispace Robotics Engineer。早稲田大学創造理工学部卒業。同大学院先進理工学研究科修了。博士(工学)。学生時代は環境モニタリングのための不整地移動ロボットを研究。その経験と知見を生かし、現在は株式会社ispaceにて月面探査プログラム「HAKUTO-R」に使用する月面探査車の開発に従事。科学技術に対する理解促進のため、宇宙体験コンテンツを制作する株式会社amulapoを起業した。

ロボットに感じた「便利さ」を変える力

私がロボット開発に出合ったのは、大学に入学したとき。幼少期からドラえもんの道具がつくる世界が好きで、そんなワクワクする未来をつくってみたいという思いはもっていましたが、小中高時代はそれがどうすれば実現できるかがわからないままでした。そのときどきで「国語が苦手だから理系にいこう」「日本はものづくりに強みがあるというし、嫌いじゃないから工学部かな」などと自分に合いそうな選択をしてきました。そうして進んだ先にあったのが、ロボットという分野だったんです。

ロボットが一般的な機械と異なるのは、「モノを制御して動かす」ところ。この機能があるかどうかで、実現できる「便利さ」は格段に変わるんです。そこにロボットのおもしろさを感じ、ロボットを専門にしている先生の研究室へ入りました。砂地や森の中でも効率的に移動できる「不整地移動ロボット」の研究に没頭し、「放射線がたまりやすいと言われている森林の中の沼の放射線量を、ロボットを使って測定する」という課題を解決するべく博士後期課程まで進みました。

今、会社の経営や月面探査車の開発などを通して感じるのは、社会に多くある未知でわからないことについて、仕組みやシステムが悪いからとあきらめるのではなく、どうすれば良くなるのかを主体的に考え、解決に向けて進むのが大切だということです。そこに、博士号取得まで一つのことをとことん探究し、課題を発見してあらゆる角度から解決を図る経験から得た知識や技術、自信が役立っているように思います。

おもしろいと思ったことはとことん探究しよう

一方で、もっと早いうちから興味をもてる活動を見つけ、探究できる機会や環境があればよかったなという思いもあります。小学生時代、ダンボールを集めて秘密基地をつくったり、独自にカードゲームをつくって遊んだりと、やりたいことや自分がいいと思ったことは積極的にやっていました。ただ、実践的な課題を探究する出合いや機会はなく、ロボットをつくる機会を得たのも、パソコンを本格的にさわったのも、プログラミングを学んだのも、すべて大学に入ってから。宇宙との出合いもロボット研究を始めてからです。それぞれもっと早い段階で出合っていれば、今とは違う道もあっただろうと思います。

今は、インターネットの普及によりたくさんの情報を得られ、手を伸ばせば興味の対象にアプローチできる時代。お子さんが「おもしろい」と思えることに出合ったなら、とことん探究させてあげてほしいですね。調べたり、実際に手を動かして何かをつくったりしていくうちに、「もっと知りたい」「実現するにはこういう勉強をしないといけない」といったことがわかってきます。すると、学ぶことの意味がわかってきたり、学ぶ意欲がわきあがったりするはずです。

実際に手を動かすことってすごく大事で、例えばアメリカの教育を見ると、小学生が「エンジンを分解してみよう/組み立ててみよう」といったことに取り組むケースがあります。そうして実際に分解や組み立てをしてみると、「自分もこういうものをつくってみたい」という意欲が出てくる。だからこそ、「つくれるようになるには算数や数学を勉強しなきゃ」ということも知ることができる。実践の場があるからこそ、いま学んでいることの意味や、これから何を学ぶ必要があるのかということを実感できるように思います。今注目されているSTEAM教育も、こういった学ぶ好奇心や意欲、モチベーションをもとに学ぶ仕組みとしてすごく有効なものだと思います。

私自身、大学入学直後にプログラムを書く実習のような授業を受けたのが楽しくて、夏休みに大学にかけあって学内の施設を開けてもらい、仲間とサッカーをするロボットをつくってプログラムを書き、動かして競い合うということを自主的にやったりしました。ロボットをつくるとなると、一つひとつの部品の構造や使い方を学ぶ必要があります。実際に勉強を進めていくと、徐々に実践的に使える知識や技術がバラバラと増えてきて、そのうち、「体系的に知りたい」と思うようになるんです。そこで教科書を使って学ぶと、知識が一気に体系化される。そうやって実践と体系的な学習を繰り返すことで、知識と技術が自分のものになっていくのだと思います。

これからは、だれもがプログラミングを行う時代になる

プログラミングはあくまで手段ですが、自分の思いを発信したり、何かをつくったりするときには強力なツールとなるもの。昔は英語ができることはアドバンテージでしたが、今や英語ができることは当たり前になり、できないことがディスアドバンテージな社会になっているように、今後は、誰もがプログラミングができるようになり、できない人が生きにくい社会になっていくと思います。

すでにアカデミックの世界では、一見プログラミングが関係なさそうに見える生物系や化学系の実験メインの研究をされている方でも、プログラムを書いて実験を行い、それを元に論文を出す人が増えています。今後は、さまざまな場でグループで何かをつくるときなどに「じゃあ、ここをプログラムでお願いします」と言われて「いや、私プログラミングはできないんです」と返すと、「え??」という反応が返ってくるようになるのではないかと感じています。

子どもたちには、ぜひ今からプログラミングを学んでほしいです。そしてある程度学んだら、仲間やグループで何かに挑戦したり、プログラムしてつくったものを外に発信したりしてほしいですね。そうすることで、試行錯誤する力や、考える力、課題を解決する力など、将来の活動の基盤となる力を実践的に身につけることができます。実践型の学習をすると、自分の取り組みがどう形になるのか、また、社会でどのように使われるのかを必然的に意識することになり、必要な能力や知識を肌で感じられます。同時に、最後までやりきる力やチームワーク力、コミュニケーション力も培うことができると思います。

 

田中さんにQ&A!

Q1.
もし今小学生だったとしたら、プログラミングを学んで挑戦してみたいことはありますか?

A1.
自分のパートナーとなる、ペット型ロボットをつくってみたいですね。例えば、秘書のように「昔こんなことがあったんだけど、そのときの写真出せる?」と尋ねると写真を見せてくれたり、映し出された写真に対して「これって◯◯さんだっけ?」と尋ねると、「そうですよ」と答えてくれたり。自分が苦手とすることを補完してくれたり、一緒に成長してくれたりするパートナーロボットです。

プログラミングを学ぶ中で一緒に成長していき、自分を最も理解してくれる存在として、将来にわたって仕事や生活におけるパートナーになるとうれしいですね。

Q2.
もし今小学生だったとしたら、当時抱いていた「ドラえもんの道具がつくる世界をつくりたい」という憧れにどのようにアプローチしていきますか?

A2.
まずは、「ドラえもんをつくるには?」とインターネットで調べると思います。当時はインターネットにアクセスする手段が身近になかったので、それすらできなかったんですよね。

それで、おそらくインターネット上には情報があまりないと思うので、次は誰かに「どうすればいい?」と聞いてみると思います。すると、誰かから「日本のWebサイトにはあまり載っていないから、英語のWebサイトを調べるといいよ」と言われるでしょう。

それを聞いて「英語って必要なんだ!」と思って英語の勉強をしながら英語の論文を調べる。というふうに、情報収集と知識のインプットを進めていくと思います。

 

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