「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

お子さまの情報機器との付き合い方や、STEAM教育・プログラミング教育の「今」がわかる読み物のご紹介など、気になるテーマを取り上げていきます。

2021年02月03日更新

[子どもと情報] 【第3回:確かな情報って?】

※前回(【第2回:だって楽しいんだもん!】はこちらから

●教えて、Wikipedia先生!

誤解を恐れずに言います。「Wikipediaは信じちゃダメ!」です。
……ちょっと言い過ぎました。「無条件で信じてはいけない」が正解です。

Wikipediaは便利です。私も何かといえばすぐにWikipediaで調べてしまいます。「へー」「そうなのか」「なるほどー!」の連続です。教材執筆の際にも、こうしたコラムの執筆の際にも、必ずと言っていいほどどこかでWikipediaを参照しています。しかし、それほどにWikipediaにお世話になっていても、無条件で信じてはいけない、と申し上げています。それはなぜでしょうか。

「正確性を担保するものがない」からです。

2020年8月に、Wikipediaに関するこのような記事が公開されました。

「Wikipediaがたった1人の管理者にめちゃくちゃな言語で編集されてしまう」
https://gigazine.net/news/20200827-scotland-wikipedia-writer/

スコットランド語版のWikipediaに投稿された記事の3分の1以上の記事をひとりで執筆していた管理者が、実はスコットランド語を話せず、英語とスコットランド語をごちゃまぜにした言葉で記事を作成していたことが問題になっているというもの。少なくとも、通常の書籍ではありえません。

内容についても、必ずしも正確とは言えない記事が少なからずあります。参考にしたとしても、参考文献として記載するのは好ましいものではありません。基本的にWikipediaでは掲載前のチェックがないことから、無条件に信用してよい情報ではないといえるでしょう。

 

●何ならいいの?

ことは何もWikipediaに限りません。ネット上にあるすべての情報に対して言えることでしょう。YouTubeもインスタグラムも、もちろんGoogleの検索結果も、すべてに対して言えることです。

それでは、何を信じればよいのでしょうか。

「裏付けを取ること」に尽きるでしょう。
たとえば先ほど例に出したWikipediaでも、その情報の出どころがページの末尾に記載されています(ときにはWikipediaを『参考文献を探すための場』として使うことすらあります)。引用元が信用できるところであれば、少なくともその情報は信用してもよいと言えます。肝心な部分に引用元が書いてなければ、その情報は必ずしも信用できるものではないのかもしれないと考えられます。

「いやいや、ネット上の情報は信用できないってさっきから言っているじゃないか。信用していい情報かどうか、堂々巡りになっていない?」

引用元は、なにもインターネット上にある記事ばかりとは限りません。書籍かもしれない。あるいは、インターネット上の記事でも、政府が公開している情報であったり、査読(内容に問題がないかどうかを他の専門家が読む作業)を経た論文が掲載されているサイトの論文などであれば、信用してよいと考えられます。論文であれば、必ず参考文献が記載されています。その論文の正確性に疑いがあるのであれば、そうした参考文献にあたることもできます。「裏付けが取れる」ことが正確性を担保することにつながるのです。

●お子さまにこそ知ってもらいたい

ここまでの議論は、われわれ大人に向けたものでした。しかしこうした考え方は、お子さまにこそ知っていただきたいものです。

「ウソの情報」というと仰々しく聞こえますが、子どもの間だけで広がる都市伝説のようなものは昔からありました。ノストラダムスの大予言なども、そのひとつと言えるでしょう。そのようなものまで否定するつもりはありません。しかし、学習に関する調べ物で、ウソの情報にしかあたらなかったら――。子どもたちにも、「正しい情報の手に入れ方」を知ってもらいたいと思うのは当然のことですし、教えておくべきものでしょう。

相手がお子さまであっても基本は同じです。
「ほかのサイトや本などで、その情報が正しいことを確認できますか?」
「信用していいサイトや本ですか?」

お子さまの場合でも、信用してよいサイトの考え方は同じです。政府機関であったり、新聞社や出版社のサイトであれば、基本的には信じてよいと考えられます。そうしたサイトにある情報から引用されたものであったり、そうしたサイトにある情報できちんとした引用元を示しているものであれば、まず間違いはないでしょう。

●人間は見たいものを見ようとする

ただし、注意が必要です。人間は得てして、自分が見たいものしか見ようとしません。
何のことかって?

例えば、なにか大きな買い物をしようとする際、口コミサイトを見ることがあります。そこに悪いことが書いてあっても、これは例外だと思い、他の口コミサイトを見る際にも悪いことを書いた書き込みを無視して見てしまう、といったことはないでしょうか。先のノストラダムスの大予言もそうです。「この本にもこの本にも、ノストラダムスの大予言のことが書いてある。だから世界は滅びるんだ!」。そう思った小学生は少なくないはずです。

情報の裏付けを取る際にも同じことが考えられます。
自分が知りたい情報だけを集めて、そうでないものはあえて見ないことにする。訓練された人であっても、そのような姿勢をとってしまうことがあります。「自分が期待しているものとは違う結論を出している情報」にも気を配る必要があることは、覚えておくべきでしょう。

人間のこうした、いわば習性があるからこそ、顔が見えないのをよいことに過激な、ときに事実誤認した情報を書き込んでしまうという事例もあとをたちません。あるいは、故意に誤った情報を投稿してしまうことすらあります。そう、インターネット上では、情報を読む際にも注意が必要ですし、書き込む際にも注意が必要なのです。

そこで次回、最終回は、「ネット上に情報を書くこと」について考えます。

【第4回:ネットに匿名性はない】へつづく

 

資料請求

Z会プログラミングシリーズに興味をお持ちいただきました方は、資料請求(無料)をお願いいたします。

保護者の方向け「プログラミング学習とはどんなものか」がわかる特典冊子を無料プレゼント中! 

以下のボタンをクリックし、資料請求フォームよりお問い合わせをお願いいたします。

関連記事