「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

「STEAM教育」とは何か、など、「プログラミング教育」について様々なテーマをZ会プログラミング講座の責任者がやさしく解説します。

2021年08月25日更新

小学生でプログラミング? 必修化で心配な保護者の方へ

小学生でプログラミング? 必修化で心配な保護者の方へ

2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育。いったいどういうことなのか、心配になっていらっしゃる保護者の方も多いのではないでしょうか。小学校では何を学ぶのか?何のためにプログラミングを学習するのか?プログラミング学習をしないとどうなるのか?など、必修化にともなうよくある疑問についてお答えします。

●勘違いだらけのプログラミング必修化

さて問題です。「プログラミング必修化」について、次の中から誤っているものをすべて選んでください。

・小学校では2020年度より「プログラミング」が必修教科となった。
・中学校では、2021年度から「技術」の中でプログラミングが必修となった。
・プログラミングを含んだ内容を扱う高校の教科「情報」は、これまで学ぶかどうかを学校の判断に任されていたが、2022年度より必修となった。
・プログラミングが必修となった背景には、IT大国となったインドに対抗すべく、日本人全員がプログラマーとして活躍できるような体制を整えることがある。
・プログラミングは国語・算数(数学)・英語・理科・社会以外の教科で扱われるため、高校入試や大学入試で問われることはない。

いかがでしょうか。どれも正しそうですが、これらはすべて誤りです。えっ、どういうことなのでしょうか。

まず、小学校でプログラミングは「教科」になっていません。中学校では2012年度よりプログラミングが必修です。また、高校の教科「情報」も20年ほど前から必修教科となっています。このように、少なくとも中学校・高等学校では、「プログラミング」を扱う体制そのものは以前より整えられているのです。
※ところが現実は……。実際のところはどうなのかは、今後ご紹介していきます。

そして、学校でプログラミング教育を行う目的は「プログラマーの養成」ではありません。プログラミングを含む情報技術が、私たちの社会でどのように使われているのか、どのような意味を持つのかを知ることを目的としています。そして、「情報」を扱う能力そのものはこれからの社会において絶対に必要であるとの考え方から、大学入試においても、教科「情報」の試験が設置されることになりました。

このように、プログラミング、そして「情報」を取り巻く環境はここ数年で大きく変わっています。今回は、小学校での「プログラミング教育必修化」について、もう少し深く紹介しましょう。

※関連記事:【2021年度】プログラミング必修化による小学校・中学校・高校の現状と未来

●小学校のプログラミングでは何を学ぶのか

小学校で「プログラミング教育」を行うと定めた学習指導要領が施行されたのは、2020年度のこと。2020年度が始まるまでは、学校でどのようなことが行われるのか、学校外で何をすればよいのか、さまざまな予測と意見が飛び交っていました。

そして2020年度が始まると、今度はコロナの影響で学校は休校となり、果たしてその予測が正しかったのかどうかがはっきりとしないまま2021年度を迎えています。そこで、ここで改めて、学校ではどのようなことが行われるのかを紹介します。

まず、プログラミングは独立した教科で行われるのではありません。学習指導要領には、
「各教科の指導にあたっては……(中略)……情報活用能力の育成を図るため……(中略)……児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動(を実施すること)」

とあります。つまり、特定の学年や特定の教科内で行われるのではなく、小学校での学習全般で「プログラミング」を行える場面があれば、プログラミングの学習を行うことが求められているのです。

ただし、「ここで扱うとよい」との例示があります。

〔第5学年・算数〕正多角形の作図を行う学習
〔第6学年・理科〕電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習

こうした例示を受け、教科書にはこの場面での指導例が掲載されているため、「少なくともこの場面では」プログラミング学習が行われることになるでしょう。また、この場面以外でも、意欲的な先生方の実践事例が多く公開されており、先生方の思いや学校の方針に応じて取り入れられています。もっとも、小学校で指導しなければならない内容は私たちが思っているよりも多く、プログラミングに時間を割くことがなかなかできないという現実もあるようです。

●プログラミング学習は何のため?

「わざわざ小学生の間からプログラミングなんてしなくても……」
このような声をよく耳にします。確かに、プログラミングを職業にしないのであれば、この段階から「プログラミング」を行う必要などないようにも感じます。

ここでキーワードとなるのが「プログラミング的思考」という言葉です。文部科学省が「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号をどのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、ということを論理的に考えていく力」と定義するこの力が、小学校のプログラミング学習で身につけるべきものなのです。

誤解を恐れずにもう少し端折るのであれば「抽象的に表現される『動き』を組み合わせ、思い通りの動きにするためにはどのようにするかを考えることができる力」といえるでしょう。この力は、プログラミングに限らず、多くの場面で必要になるものです。

そして、前節でも触れた通り、プログラミングの学習は「情報活用能力の育成を図るため」に行う、とされています。情報機器を使い、「情報」をどのように扱っているかを考える一環で、プログラミングの体験が行われる、それが小学校での「プログラミング学習」です。「プログラミング」という言葉の響きから、算数(数学)の力を伸ばすと考える人もいますが、そのように限られた、小さな目的のために行われるものではありません。

プログラミング学習をしないとどうなるの?

「いやいや、そんなこと言ったって、いま社会を引っ張っている人たちは小学校でプログラミングの学習なんてしていないのだから、これからだってする必要はないんじゃないの?」
そのような声も耳にします。もちろん、その考え方も否定はできません。プログラミングが小学校のカリキュラムになかったとしても、現に今、プログラミングをしている人、「情報」を活用している人がいるわけですから。しかし、だからといって「扱わなくてもよい」理由にはなりません。これまで以上に効率よく、こうした力を身につける必要があると考えているからこそ、小学校のカリキュラムに取り入れられたのです。

2018年に行われたPISAの「ICT活用調査」によれば、日本の学校におけるデジタル機器の使用時間はOECD加盟国中最下位とのこと。PISAがこのような調査をするということは、これからの学びにICT活用は欠かせないとの認識なのでしょう。その中で日本だけが、プログラミングを含めたICT機器を用いる学びに否定的なのは、本当によいことなのでしょうか。キャッチアップしていくべきではないのでしょうか。ここにきて、やっと重い腰を上げた、というのが実際でしょう。もう、「プログラミング学習をしないとどうなるの?」などと言っている段階ではないのです。

保護者の方へのお願い

「プログラミング」に限らず、ICT機器を使わせることに躊躇しないでください。また、できることであれば、タブレットではなく、パソコンを使わせることを考えてください。
タブレットは、新しいコンテンツを作るためのものというよりは、すでにあるコンテンツを消費するためのものであるという側面が強いものです。コンテンツを生み出す力を持つことは、これからの時代、人より一歩先んずるためには絶対に必要なことといえます。プログラミングはコンテンツを生み出す手段のひとつであり、ただコンテンツを使うにしても、よりよい使い手となるためには必要なものだと言えます。ぜひ、まずはICT機器を、そしてできることであればパソコンを「使ってみる」ことをさせてください。

まとめ

・「プログラミング教育」は小学校だけではなく、小中高で行われることになる。
・小学校段階では、プログラミングの「体験」。
・国際的にはICT機器を用いた教育はトレンド。「プログラミング学習をやる・やらない」の議論をしている段階ではない。
・まずはICT機器(特にパソコン)を使ってみること。

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【完】

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