「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

「STEAM教育」とは何か、など、「プログラミング教育」について様々なテーマをZ会プログラミング講座の責任者がやさしく解説します。

2021年09月01日更新

【2021年度】プログラミング必修化による小学校・中学校・高校の現状と未来

【2021年度】プログラミング必修化による小学校・中学校・高校の現状と未来

2020年度より小学校でプログラミング教育が必修化され「小学校でのプログラミング」に注目が集まっています。しかし、もう少し広い視野で「幼稚園から大学まで」を見ていかなければ「プログラミング教育の必修化」の大切なポイントを見誤るでしょう。幼稚園での話はここでは詳しく取り上げませんが、小学校・中学校・高等学校、そして大学への接続の中で「プログラミング教育」をどのようにとらえるべきなのかを解説します。

●2020年に必修化した小学校のプログラミング教育を振り返る

「プログラミング教育の必修化」といわれますが、どこで、どのように必修化されたかを確認しておきましょう。日本の小学校、中学校、高等学校で指導する内容は、文部科学省が「学習指導要領」で定めています。学習指導要領では、どのような教科・科目をおき、どのような内容を指導するのかが定められています。2020年度より小学校で施行されている学習指導要領に「プログラミング」という言葉が登場したのを皮切りに、中学校、高等学校の学習指導要領でも「プログラミング」という言葉の登場頻度が増えているのです。ここではまず、小学校の現状について振り返ります。

●プログラミング教育の必修化の目的を簡単におさらい

小学校でのプログラミング教育を語る際に「プログラミング的思考」という言葉は欠かせません。学習指導要領そのものには登場しないものの、文部科学省は「小学校でのプログラミング教育はプログラミング的思考を養うためのもの」という説明をしています。また、プログラミングという教科ができるのではなく、既存の教科に組み込まれる形で取り入れられました。

プログラミング的思考とは、「物事を抽象化し、その組み合わせから、思い通りの動きをさせるために必要な思考」と考えればよいでしょう。ちょっとむずかしい言葉ですが、料理のレシピをおこすことをイメージしてみてください。自分だけがわかっているものを言葉に置き換えて、感覚で使っている調味料などの量を具体的な数値にして、人にわかるように表現すること。このような力だとお考えください。これらに加え、論理的思考、創造力を育む、という説明がなされることもあります。

このように、小学校でのプログラミング教育はプログラマー育成のためのものではありません。しかしだからといって、プログラミング的思考を養うためだけのものではありません。

●「プログラミング的思考」が必要な理由

そもそも、なぜプログラミング的思考は必要なのでしょうか。ここで、学習指導要領に書いてあることを見直してみましょう。

「情報活用能力の育成を図るため……(中略)……児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動(を実施すること)」

「コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力」が、いわゆるプログラミング的思考です。この記載によれば、プログラミング的思考を身につけるのは「情報活用能力の育成を図るため」であり、「プログラミングを体験しながら」プログラミング的思考を身につける必要がある、ということです。つまりプログラミング教育の必修化のほんとうの目的は、情報活用能力を身につけることにあると言えます。

中学校や高等学校の学習指導要領にも情報活用能力という言葉は登場しますし、同じような文脈でプログラミング学習が取り上げられています。また、文科省は情報活用能力を言語活用能力と並ぶ能力として重視をしています。幼稚園の教育要領にすら、「視聴覚教材や、テレビ、コンピュータなどの情報機器を有効に活用する」ことが書かれます。この「情報活用能力」という言葉を、本当のキーワードとして覚えておいてください。

●教育現場の成果と今後の課題は?

そんな小学校でのプログラミング教育は2020年度より始まりましたが、初年度は先生方にとって試練の年でした。新しいことを始めなければならないのに、コロナ禍により学校は休校。思い通りの授業ができた先生方ばかりではなかったことでしょう。

そうした事情がなかったとしても、プログラミング教育は手探りの状態です。多くの先生方にとって、2020年度から施行の小学校指導要領で最大のテーマは、英語と道徳の教科化(正式な教科になること)だったといえます。ただでさえ先生方は多忙です。英語と道徳の準備に精一杯で、教科になるのではない、授業の中に取り入れられるプログラミング教育にまで手が回らないことも十分に考えられます。改定された教科書とその指導書を参考に、例にあるプログラミングの実習を行った先生も少なくないのではないでしょうか。

その一方で、意欲的に取り組んでおられる先生も多くいらっしゃいます。そうした先生方の実践事例は公開され、これから授業を行う先生方の参考になっています。プログラミングの授業が行えるかどうかは、先生方の慣れの問題もあるはずです。プログラミング教育のプロやICT支援員といった、先生方をサポートする方々が学校に派遣されたりもしています。少しずつではありますが、学校現場でのプログラミング教育は充実していくと考えてよいでしょう。

●保護者の方が不安に感じていること

しかしその一方で、「これでよいのか」と感じておられる保護者さまもいらっしゃることでしょう。中学校でも高校でもプログラミング教育が行われるのに、小学校では思ったほどに行われていない。多くの保護者にとっては未知の指導内容であり、教えてあげられる家庭ばかりではない。あるいは、保護者がプログラマーであったとしても、学校でどの程度のものが求められているのかわからない。そして、大学入試でもプログラミングが問われるようになるとの報道もある……。「プログラミング教育」というものの姿が見えないことが、一番の不安材料なのでしょう。

そして「家庭外でプログラミング教育を行っておくべきか」という問題。様々な考え方がありますが、「大学入試でも問われる可能性があるものに対応する力を身につける必要がある」という観点からいくと、学校だけではなく、家庭でも何らかの対策が必要ではないかと考えています。それでは何をするべきか? それは、別の機会でご紹介できればと思います。

【次のページでは、中学・高校での必修化の実態についてご説明いたします。】

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