うちの子にピッタリな中高一貫校は?

中学から高校への接続がスムーズ、高校受験がないので得意なことや好きなことに打ち込みやすいなど、中高一貫校のメリットはさまざま。6年間を過ごすことになるわけですから、慎重に学校を選びたいものです。
そこで今回は、学校選びの参考になるよう、国立、公立、私立それぞれの中高一貫校の特徴をご説明します。

中高一貫校にも3つの種類がある

受験(受検)が必要な中高一貫校には、どのようなものがあるのでしょうか。大きく分けても国立、公立、私立の3種類があり、それぞれ背景や環境が違いますので、「わが子をぜひ中高一貫校に入れたい」と思っても、お子さま本人の性格によって合う学校、合わない学校が出てくるかもしれません。
もちろん、最終的には、それぞれの学校との相性が大切になりますが、今回は、一つの検討基準として国立、公立、私立それぞれの中高一貫校に見られる特徴をご説明します

国立、公立、私立のどれが向いている?

教育大学や国立大学教育学部などの附属となっている国立中高一貫校。いちばんの特徴は、「大学による教育の研究や実習の場でもある」ということです。そのため、大学で研究されている実験的な教育が実践されたり、大学の教育学部に在籍する学生が実習生として授業を行ったりします。

「うちの子が実習に使われている」ととらえるのではなく、「一般的な公立中学校では決して経験できない、先進的な教育が受けられるのはメリットだ」と前向きにとらえたいものです。実際、大学との連携を意識して、母体校の大学教授が来校して授業をしたり、逆に生徒が大学へ出向き、実験や研究を目の当たりにできたりするなどの経験を元に、ふだんの学びにいっそう興味を抱く生徒も少なくありません。

校風は、自主性を尊重し、おおらかで規則が少ない学校が多いようです。好奇心が旺盛だったり、伸び伸びとした環境で個性を発揮できたり、また、自己管理をして自学自習に取り組んだりできる子どもが向いている、といえるかもしれません。

公立中学と同じで、学費が安いのも特徴です。

ちなみに、国立中学校は、中等教育6年間で一体の教育をする“中等教育学校”である数校を除き、厳密にはいわゆる“中高一貫校”ではありません。国立の中等教育学校(2025年2月現在は4校)以外は、中高一貫校という組織としてみなされておらず、一定の割合(学校によっては、ほぼ全員進学できる)が附属高校へ進学する“連絡進学”という制度をとっています。国立中学校を希望する場合には、高校への進学がどのようになっているかも調べておきたいところです。

公立の中高一貫校は、学費を抑えながら質の高い教育が受けられる点が魅力のひとつです。

国立中高一貫校と同じように、基本的には学習指導要領にそって授業が行われますが、教育の多様化の一環として一般的な公立中学校とは異なるカリキュラムが組まれていたり、授業時間や補習が多く確保されていたりなど、6年間を通じて特色ある学習指導がなされます。

公立中高一貫校の受検については、エリート校化を防ぐ目的で、適性検査、作文、面接、調査書で選抜をし、学力試験を行わないことになっており、合否は総合的に判断されます。加えて、各都道府県とも学校数が少ないため倍率が高い傾向にあります。かなりの高倍率の学校も多いことや、検査の日が都道府県ごとに同一のことが多いため、私立の中高一貫校の入試に比べて確実に合格することが難しくなっています。

また、公立中高一貫校は通学範囲が決められているなど、学校選びの際に私立にはない制限がかかることも留意しておかなければなりません。

私立の中高一貫校は、全国に校数が多く、バリエーション豊かなのが特徴です。選択肢が増えることで、お子さまと相性がいい学校が選べるかもしれません。男子校・女子校・共学校でも校風に違いが見られますし、また、キリスト教や仏教などの宗教を母体とする学校もあり、育成を目ざす人物像もさまざまです。学校のカラーが明確ですので、必然的に、入学してくる子どものカラーも似る傾向があり、同じ目的を持って励ましあいながら6年間を乗り切ることができるでしょう。ただし、バリエーションが豊富だからこそ、お子さまに合うかどうかの見きわめに、慎重になりたいところです。

授業編成は柔軟性があるので、たとえば、高校で習う学習の一部を中学段階に前倒しして、高校3年次の大半を大学受験の勉強にあてるなど、先取り教育をしている学校も多く見られます。また、オリジナル教材を使いながら、教科書にはない発展的な学習内容を積極的に取り入れている学校もあります。概して授業の時間数は多く、進度も速いのが特徴です。また、大学進学を目標にしつつ、それ以外の情操教育などに重点を置く学校もあり、中身の濃い6年間が過ごせそうです。

次回の「今月の受験サポート」は3月13日(木)更新予定です。

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