今おさえておきたい、中学入試のしくみ

今回は、合否決定や入試科目、倍率のことなど、中学入試の基本的なしくみをご紹介します。今後の学習方針を立てる際や中学受験に関する各種資料をご覧になる際の参考にしてください。

 

4年生のうちにおさえておきたい中学入試のしくみ

中学入試の入試科目は、国語・算数・理科・社会の4教科、または国語・算数の2教科がほとんどで、関西の男子難関校は国語・算数・理科の3教科のところもあります。
ただ、学校によっては、算数のみの1教科入試、4教科(国語・算数・理科・社会)か2教科(国語・算数)の好きな方が選べる入試、自己推薦書として客観的資料を提出してこれも評価の対象とする入試といった、特徴ある入試を取り入れている学校もあります。
もし、現段階での志望校が2教科入試を実施している場合、今のうちから「この2教科のみにしぼって勉強すればいい」と考えてしまうのは少し危険です。なぜなら、入試科目は年度によって変わることがあり、現在2教科入試の学校が数年後も同じであるとは限らないからです。また、早い段階で教科をしぼってしまうと、受験できる学校が制限されてしまい、併願校を選ぶ際に大きな制約になってしまいます。
中学年の間は、入学後のことも考え、広く知識を身につけていくためにも、苦手教科も含めて4教科とも着実に勉強していくよう心がけてください。

 

学校によりますが、合否は入試当日の学力試験の得点の総計で決まり、通知表の内容(内申点・報告書)などは参考程度という学校が多いです。学力試験のほかに、面接や実技が課されることもありますが、基本的には入試の総点で競りあうことになります。ただ、「国語・算数の配点が理科・社会の配点の倍に設定されている」「教科ごとに基準点を設けている」といった場合もあります。配点や、どのように合否判定をするかは、要項に記載があることが多いので、そこで確認できます。

得点による合否決定について、下の表を見ながら考えてみましょう。

たとえば、Aさん、Bさん、Cさんが、ある試験を受けたとします。ア)のように4教科の配点が同じ場合、3人とも同じ合計点となります。しかし、イ)のように国語・算数の配点が大きいと、同じ得点率でも、3人の合計点に差がつき、表の場合では1番のAさんと3番のCさんの点差は28点も開きます。また、ウ)のように基準点が設けられていたら、算数の成績が極端に悪いCさんはそれだけで不利になります。

学校のWebサイトで前年度入試の結果を発表する学校も多く、そのデータの中に「合格最低点」「合格平均点」を公開している場合もあります。これらは、高学年になって過去問を演習するときに、自分のその時点の得点と「合格最低点」などの差をみることで、合格まであと何点積み上げなければならないのかを確認する目安となります。

 

各中学の前年度入試の比較資料として、倍率を目にされることがあるかと思います。倍率には、「出願倍率」と「実質倍率」があります。前者は志願者(出願者)数を募集人員で割った値、後者は実際に試験を受けた受験者数を合格者数で割った値です。出願倍率には受験しなかった志願者が含まれますので、まずは実質倍率に注目しましょう。

なお受験しなかった志願者には、第一志望に合格して併願校を受けなかった方、また、同日同時間帯に複数校出願していて前日までの入試結果で別の学校を受けることにした方などが含まれます。

「出願倍率」や「実質倍率」は年度によって変動します。とくに大学合格実績が伸びた、校舎を新しくした、午後入試を設けるなど受験しやすい入試制度に変更した、といった学校は、急に人気が上がる傾向があります。過年度で見たときに大きく倍率が上下している学校には、そういった背景がある可能性をふまえて比較を進めるとよいでしょう。

志望校については、ご家庭で何を主眼にするのか話しあい、これから情報を集めていきましょう。志望校を決めるのは5年生の冬、受験校を決めるのは6年生の秋を目安にしてください。学校説明会に行ったり、学校行事を見学したりするなかで、考えが変わることもあるでしょう。入試の基本は4教科です。中学以降の学習のこともありますから、中学年の今は広く興味をもってしっかり勉強を進めていっていただきたいと思います。

次回の「受験サポート」は3月27日(木)更新予定です。

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