さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)
こんにちは、動画配信サイトで過去の名作映画をちょくちょく見るようになった小田です。恐竜映画の新作を見るにあたって過去作の復習をしたりしていたのですが、その流れでオススメ欄に出てくる「タイトルは聞いたことがあるけど、そういえば見たことはない映画」を見てみるようになりました。流し見するつもりで見始めたりするのですが、途中から引き込まれてちゃんと見てしまったりもするので、さすが名作は違うなあ、と思ったりもしています。
さて今回は、足し算のパズルです。いくつかの数を選び、合計を決められた数にする問題です。選ぶ枚数が増えたり、数が大きくなったりするとけっこう難しくはなっていきますが、まずは気軽にチャレンジしてみてください。
それではさっそく行ってみましょう。
Stage67:数のセンスを身につけよう
例題
下の6枚のカードの中から3枚を選び、書かれている数の和が10になるようにしてください。
例題の答え
1と4と5
問題の意味は大丈夫でしょうか。「和」の意味がわかっていないようなら、「足した答えだよ」と伝えてあげてください。2つで10になるものもありますが、「3つで10」であることは確認しましょう。その他は、問題の意味でわかりづらいところはないと思いますので、あとは温かく見守ってあげてください。
お子さまが答えを出したら、まずは「選んだ3つの数を足すといくらになるか」を一緒に確認します。ちょうど10になっていれば正解です。10になっていなければ、具体的に(たとえば)「これだと12になるね」と伝えてあげましょう。10に近い数が作れていれば、「惜しいね」と励ましてあげるのもいいかもしれません。
紙の上で解いている場合、書いたり消したりが負担になっているようなら、実際に「数字を書いた紙」を用意してあげてください。数が大きくなったり枚数が増えたりすると、けっこう難しくなりますね。難しい問題に挑戦しているお子さまを、ぜひ応援してあげてください。
レベル1・2・3の問題に挑戦!
難度別に3段階の問題を掲載しています。ぜひ、親子で挑戦してみてくださいね。
解答を確認しよう!
さんすう力UPのポイント
Stage64で、数や計算のセンスとは「数や計算に対するイメージの豊かさ」だ、という話をしましたね。その“センス”を身につけるためには、「速く、正確に計算できるようになる」ためのトレーニングだけではなく、「じっくりといろいろな面から計算と向き合う」経験も必要です。今回の問題も、その計算と触れ合う時間を作り出すための問題です。
まずは、適当に(例題であれば)3つの数を足してみればいいでしょう。運が良ければ数回で答えが見つかったりしますが、それはそれでOKです。「10にするにはだいたいこれくらいの大きさの数を足しあわせればいい」という、なんとなくの感覚をつかむことも「センスを鍛える」ことの一部です。数が大きくなったり、使う数の個数が多くなったりしてくると、なかなか運だけで正解にたどりつくことができなくなってくるでしょう。しかし、何回か答えを外しているうちに、数を調整してみようと思うかもしれません。たとえば、「1と3と4」を選んだ場合、合計は8なので、「もう少し大きくしてみよう」となりそうです。具体的に「あと2大きくしたい」というところまでいくと、さらにいいですね。その際、3つの数を全部2ずつ増やしてみたりして「大きくなりすぎる」経験も、センスを育む糧となるでしょう。そういった経験は、速さや正確さを目的とするトレーニングだけでは得られません。あくまで目的は「数や計算のイメージを豊かにする」ことです。「こういうときはうまくいかない」と実感することも、その「数や計算のイメージ」の土台になっていくはずです。
この問題では、「まず2つの数の和を計算し、残りいくらかを考える」と、たしかに効率よく探していくことができるでしょう。たとえば、「1と3で4だから、10にするためにはあと6必要だな」と考えれば、その「6」が選択肢にないので、「1と3ではできない」とわかります。ただ、この問題は、そういった“解き方”を身につけるためのものではありません。いろいろと試行錯誤し、その中で数や計算のいろいろな面に触れることそのものが、この問題の狙いでした。その意味では、たとえ「うまい解き方」にたどりつくことができなかったとしても、自分なりに感じ取れるものがあったとしたら、それはとても意義のあることなのです。お子さまが遠回りをしている様子を見ると、もどかしさを感じる気持ちは重々承知していますが、それはそれとして、お子さまが数や計算の世界を探索している様子を、ぜひ温かく見守ってあげてください。
いかがでしょうか。
最近、家の近くに24時間営業のジムができたらしいです。近くとは言っても、最寄駅の近くではあり、普段の仕事は徒歩通勤で駅にはいかないため、仕事帰りに気軽に寄れる場所ではないのですが。まあ、休みの日に少し出かける、という感じでは行きやすいかもしれません。最近は体重が思ったように減らないため、筋トレをした方がいいのかなとは思いつつ、わざわざそのために出かけるのは面倒になって長続きしなさそう、とも思ったりします。悩ましいところですね。もう少し検討したいと思います。
それではまた来月!
文:小田 敏弘(おだ・としひろ)
数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。
公式サイト:http://kurotake.net/
主な著書
- 「算数のセンス」の具体的な中身を知りたい方はこちら
『できる子供は知っている 本当の算数力』(日本実業出版社)
- 試行錯誤しながら、計算や図形のセンスを鍛えたり、考える力を育んだりしたい方はこちら
『東大文の会式 東大脳さんすうドリル 基礎編』(幻冬舎)
『東大文の会式 東大脳さんすうドリル 計算編』(幻冬舎)
『東大文の会式 東大脳さんすうドリル 図形編』(幻冬舎)
『東大文の会式 東大脳さんすうドリル 論理・文章題編』(幻冬舎)
- 中学入試の問題の内容や、その本質が気になる方はこちら
『本当はすごい小学算数』(日本実業出版社)