展開図を組み立てよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)


こんにちは、今年は断捨離していこうと決めた小田です。部屋を片付ける、というのは、何度か目標に立てたこともありますが、なんだかんだであまり片付いていなかったりします。しかし、年を重ねるにつれ、自分が管理できるものの総量の上限がだんだん減っているのも感じるので、そろそろ本気を出そうかな、とも思うところです。本当に大事なものをきちんと選びつつ、身の回りを整理していく一年にしていきたいと思います。

さて今回は、立体を組み立てる問題です。立体をイメージするのはなかなか難しいかもしれませんが、その場合は、ぜひ実際に組み立ててみてください。

それでは早速行ってみましょう。

 

Stage71:展開図を組み立てよう

図1を組み立てると、図2のような立体になります。
組み立てたときに、(ア)の面と向かい合う面は、どの面でしょう。

まずは問題の意味の確認からですね。組み立ててできる立体は立方体(サイコロの形)ですが、お子さまが見慣れないようなら、まずは実物を見せてあげてください(サイコロなどで構いません)。「向かい合う面」の意味がわからない場合も、実物で確認するといいでしょう。一応、図ではグレーの色をつけた面同士のことですが、「上と下」だけでなく「右と左」や「手前と奥」の面でも構いません。その辺りも含めて、実物で確認するのがいいですね。

最初のうちは、頭の中で考えてもらいましょう。苦戦するようなら、まず「向かい合う面」は「隣に来ない面」だ、というヒントはあげても構いません。その上で、「どこがどことくっつきそうか」を考えてもらいましょう。それでも難しいようなら、冒頭でお伝えしたように、印刷したものを切り取るなどして、実際に組み立ててみてください。

 

難度別に3段階の問題を掲載しています。ぜひ、親子で挑戦してみてくださいね。


▲画像クリックで拡大します(PDFファイル)
 

解答はこちら 
 

図形の学習の中でも、とくに立体図形に苦手意識をもつ人は多いでしょう。立体図形を学んでいく上で、一番大事なことは、「そもそも立体を扱うことは、とても難しいことである」という意識をまずもつことです。つまり、問題がなかなか上手く解けなかったとしても、「自分は立体図形が苦手だ」と思い込む必要は全くない、ということです。テストや問題集の問題は、紙(平面)に書かれていることが多いですね。それを解いていくためには、まずその状態から「立体」をイメージする必要があるわけです。しかし、その「平面から立体をイメージする能力」は、ある程度から先は単なる“特殊能力”であって、「算数の学習に必要な能力」ではありません。たとえば、算数の問題では(今回の問題もそうですが)「立方体」は図3のようにかかれることが多いですね。

しかし、よくよく考えると、実際の立方体を見たときに、どの方向から見てもこの図のように見えることはありません。手前の面が「正方形」に見えるようにするためには、その面の“真正面”から見ないといけないわけですが(図4の矢印の方向)、その方向から見ると他の面は見えないはずですね。つまり、図3の書き方は、本来見えないはずの“横や上の面”をわざと書き込んでいる、ということです。図3を見て「立方体が書かれている」と認識できるのは、あくまで「そういう書き方のルール」を知っていて、実際のイメージは「記憶の中の“立方体”」を呼び出しているだけ、ということなのです。

Stage62Stage65でもお伝えしたとおり、算数における図形の学習の目標は、「図形の特徴についての理解を深めること」「図形を扱う技術を身につけること」です。これは、立体図形でも同じです。決して、「平面に書かれた図のみから立体をイメージする」という“特殊能力”を身につけることがゴールではありません。さまざまな立体の特徴を理解したり、それらを扱う技術を身につけたりすることによって、自分の中にいろいろな立体のイメージを作っていくことが重要なのです。

立体図形であっても、平面図形と同じく「実際の形と触れ合う機会を増やす」ことや「細部を言語化して捉える練習をする」ことが大事です。冒頭から繰り返しお伝えしているように、今回の問題も、まずは実際に組み立ててみるところから始めましょう。慣れてきたら、それぞれの面や頂点に注目して、ひとつずつ「どの面(点)がどの面(点)とくっつきそうか」などを考えていくのがいいですね。その過程で、立方体についての理解を深めていってほしい、というのが、今回の問題の狙いです。

 


いかがでしょうか。

今年のテーマは「断捨離」と言った早々ではありますが、年始にはカバンを新しく買いました。普段使いのカバンが古くなったから買い替えた、ということではあるのですが、ずっと使ってきたものにも愛着はあり、処分するのがためらわれる気はしています。まあ「大事なもの」は残す、ということなので、それはそれでいいのではないでしょうか。

それではまた来月!

 

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書


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