図形のセンスを身につけよう:形を作る

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)


こんにちは、最近CO2濃度センサーを買った小田です。文字通り「空気が悪く」なることで不調をきたすとよくないな、ということで、なんとなく買ってみました。実際に測定してみると、概ね問題はない感じだったのですが、たまに瞬間的に二酸化炭素濃度が跳ね上がるタイミングがあります。なんだろうと思ってよくよく考えてみると、料理するために火を使った時間帯でした。まああたり前ですね。とくに問題なくてよかったです。

さて今回は、形を作る問題です。正方形と正三角形を使って、いろいろな形を作ってみましょう。難しい場合は、実際に印刷して切り取ったりしたものを並べていってもかまいません。

それではさっそく行ってみましょう。
 

 

Stage74:図形のセンスを身につけよう

(A)と(B)のパネルを使って、(C)の形を作ってください。

問題の意味はいいですね。正方形(A)と正三角形(B)を使って、決められた形を作る問題です。まずはお子さまのやりたいようにやらせてあげましょう。それぞれのパネルは、もちろん、何枚使ってもかまいませんし、回転させて使ってもかまいません。最初のうちは、定規はむしろ使わずにやってほしいので、保護者のほうから定規を使うよう勧める必要はありません(お子さまが自分で使い始めた場合は、特に止めなくても大丈夫です)。

しばらく見守ってあげて、どうも大きさや形がうまく捉えられていないな、と感じた場合は、形を印刷して切り取るなど、実際に並べられるものを用意してあげるのがいいでしょう。自分できれいに切り取るのが難しそうでしたら、そこは手伝ってあげてください。

お子さまが答えを書いた際、だいたいあっていれば正解でかまいません。「無理に詰め込んでいて(もしくは無理に伸ばしすぎて)、そもそも枚数が違う」というようなことでない限り、正解にしてあげてください。枚数が多かったり少なかったりした場合は、「こんなに入らないよ」「これは大きすぎるよ」などと伝えてあげましょう。何度かそういう状況が続くようであれば、やはり紙を切り取って実際に並べてみるよううながしてあげてください。


難度別に3段階の問題を掲載しています。ぜひ、親子で挑戦してみてくださいね。


▲画像クリックで拡大します(PDFファイル)


解答はこちら 


図形のセンスを磨くためには、まず図形を見る経験が大事

今回の主役は、正方形と正三角形ですね。これらの形は、様々な図形の中で最もシンプルで基本的な形と言っても過言ではありません。そんな正方形と正三角形を使って形を作れと言われたら、それほど難しくないはずだと思ってしまう人もいるでしょう。しかし、実際にやり始めてみると、とくにLevel2あたりの「少し向きを変えて使う」問題あたりから、なんだか少し難しく感じるかもしれません。

正方形や正三角形のような身近な図形であっても、私たちは意外とその形を正確に把握しているわけではありません。そういった形をなんとなく「見る」機会は多くても、細部の特徴まで意識して観察する経験はそう多くないからです。これは“図形”に限った話ではありませんね。ふだんの生活の中で見慣れたものであっても、その形を正確に描くよう言われると、細かい部分は意外とあやふやだったりしませんか。もちろん、それ自体は悪いことではありません。視覚から得られる情報量は、そもそもとても多いです。それらを細部まで残らず認識してしまうと、脳の負担も大きいでしょう。情報をフィルタリングすることは、人間のもつ自然な機能のひとつです。

算数で図形を扱う際、「センス」が必要だと思われる原因は、このあたりにあるのでしょう。形そのものはよく知っているはずなのに、問題がなかなか解けない、という経験を積んでしまうわけですね。そうすると、「何か特別な才能」が必要なのではないか、と思ってしまうわけです。

そもそも、図形のセンスとは何でしょうか。「センス」は、言い換えると「感覚」という意味ですね。つまり、図形のセンスとは「図形の特徴を感覚的に正確に把握する力」と言えるでしょう。それは特別な才能ではなく、ある程度は算数の学習を通して磨いていけるものなのです。その第一歩は、やはり図形をよく見るトレーニングでしょう。少し形を傾けたときに、辺や頂点の位置関係がどうなっているかなど、丁寧に観察していく経験が大事です。冒頭でもお伝えしたように、慣れないうちは、実際に「正方形」や「正三角形」の紙などを用意して、自分の手で動かしてみましょう。そうやって観察したものを、次に自分で「再現」していくことも大事です。ヒントのところでお伝えしましたが、なるべく定規を使わず、フリーハンドで書いてみるのがいいでしょう。定規を使ってしまうと、「今書いている線」だけに注意がいってしまいます。しかし、やってほしいことは「それぞれのパーツ(点や線)の位置関係を見る」ということです。定規を手放し、周りの要素とのバランスを考えながらかくことも、効果的なトレーニングのひとつなのです(もちろん、お子さま自身が定規を使いたがる場合は、無理に禁止しなくても大丈夫です)。

今回の問題をお子さまにやってもらう際、意外と苦戦することも多いでしょう。しかし、だからと言って「うちの子は図形のセンスがないんだ」と思い込む必要はありません。形がうまく書けなかったとしても、あくまでそれは「今はそう見えているんだ」ということにすぎません。図形を観察し、特徴をとらえ、それを意識して再現する練習を積む中で、まさに「図形のセンス」を磨いていく様子を、ぜひ温かく見守っていただければと思います。

 


いかがでしょうか。

今年もお皿をもらうために、パンを買ってシールを集めていました。先日、無事ノルマの「2枚分」を集め切ったところです。食パンをあまり食べない生活スタイルのため、基本的には菓子パンでポイントを集めているのですが、効率よく集められるもの、と考えると、選択肢が限られてしまいますね。昨年まではなるべく早く集め切ろうとして、毎日同じような食事になりがちでしたが、今年は少しのんびり集めてみました。いい感じに集め終わったので、ちょうどよかったのかな、と思います。

それではまた来月!

 

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書


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