形をとらえる力を身につけよう:同じ形をかく

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)


こんにちは、最近洗濯用洗剤の種類を変えた小田です。今までジェルボールタイプのものを使っていたのですが、詰め替え用の大袋だと、最後の方が少し湿気てきてベタつくんですよね。ちゃんと容器に詰め替えて密閉すればいいのはわかっているんですが、面倒なのは仕方ありません。そういうわけで、液体タイプに乗り換えました。しかしあれですね、液体にしてみると、「あれだけ水を入れるのに、洗剤ってこれだけでいいんだ」という気持ちになりますね。それだけ強力ということなのでしょう。科学の力ってすごいですね。

さて今回は、図形の問題です。お手本と同じ形をかくだけではありますが、上下や左右を入れ替えてかこうとすると、結構難しいですね。その難しさも実感してもらいつつ、それを乗り越えるために何が大切なのかをお伝えできればいいなと思います。

それではさっそく行ってみましょう。
 

 

Stage77:形をとらえる力を身につけよう

右の四角に、左と同じ模様をかいてください。ただし、なるべくフリーハンドで(定規などを使わずに)かいてみてください。正確でなくても構いません。

まずは問題の意味の確認ですね。例題のような「そのままかく」問題は大丈夫でしょう。「解いてみよう」では「左右を逆にしてかく」「上下を逆にしてかく」問題が出てきますが、そちらは少し説明が必要な場合もあるかもしれません。図1が元の絵だとすれば、それぞれ図2が「左右逆」、図3が「上下逆」にしたものです。特に、「上下逆」は図4ではないことを確認してあげてください。図4のように180度回転させるのではなく、図3のように“裏返し”にするイメージです(ただし、もちろん裏返した紙を透かしてそのまま写すのはNGです)。「フリーハンド」についても、ピンときていないようなら説明してあげてください。「定規を使ってはいけない」というのは、消しゴムや鉛筆を定規がわりに使っていいということではありません。

やるべきことを理解できたようであれば、あとはいつも通り温かく見守ってあげてください。もっとこうしたほうが上手くかけるのに、と言いたくなるタイミングもあると思いますが、いったんお子様に任せてあげましょう。

基本的には、うまくかけていなくても、お子様が自分なりに頑張ってかいていれば、それでOKです。


難度別に3段階の問題を掲載しています。ぜひ、親子で挑戦してみてくださいね。


▲画像クリックで拡大します(PDFファイル)


解答はこちら 


図形を言葉でとらえる

5月号(Stage74)で、「ものの形を感覚的にとらえるのは難しい」という話をしましたね。特に、まだまだ経験を積んでいない“子供”には、“大人”とは違ったように見えていることも少なくありません。今回の形も、「四角形の中に4本の線が引かれ、中央部にできたエリアが黒く塗られている」ととらえるとそれなりにかきやすくはなるのですが、人によっては、図5のように「白や黒の三角形・四角形が枠の中に並べられている」ととらえたりもします。実際にお子様がそういうふうに図形をかいていったとしても、別に間違ってはいないので、「この子にはそういうふうに見えているんだな」と温かく見守ってあげてほしいところです。

さて、そのStage74では、「感覚的にとらえる力(つまり“センス”)を身につける」ために、図形と触れ合う機会を増やすことが大事、とお伝えしました。一方で、「感覚的にとらえる」のが難しいのであれば、「感覚に頼らずに図形をとらえる技術を身につける」という方法もありますね。もちろん、それも算数の学習の大事な要素のひとつです。今回の問題で言うと、「図形の細部を言葉にして捉えていく」ということです。例えば、図の赤い線に注目してみましょう。この線は、枠の四角形の「右上の頂点から、左の辺の真ん中に向かって引かれて」います。そのままかく問題であれば、「右上から左の真ん中」と言いながら図に書き込めば、正しい位置に線を引けますね。左右を逆にするときは、「左上から右の真ん中」とすればいいですし、上下を逆にするときは「右下から左の真ん中」とすればいいでしょう。

頂点に記号をうっていくのも有効ですね。上の図ではアルファベットにしていますが、まだ慣れていなければ○や□で構いません。外枠の頂点だけでなく、かくべき線の端にもうっていっていいでしょう。そうすると、「どこからどこに線を引けばいいか」がさらにとらえやすくなります。「FはAとBのちょうど真ん中」「GはCとDのうち少しC寄り」のように考えて、「DからF、FからGに線を引く」と、スムーズに図をかいていくことができますね。

算数における図形の学習の目標は、あくまで「図形の特徴や性質を理解する」ことです。感覚的に大まかなイメージをとらえることと、技術的に細部を正確にとらえることは、ともにその“目標”に向かうための重要なアプローチです。そもそも、「感覚的には正確にとらえるのが難しいものを、計算や論理で正確に捕まえること」も、算数の重要な役割のひとつです。“センス”に臆することなく、「図形」を理解するためのいろいろな手段も身につけていってほしいと思います。

 


いかがでしょうか。

暑くて寝苦しい夜が増えてきましたね。うまく寝られないと、翌日日中は暑さもあってさらに疲れるので大変です。睡眠の質を上げるべく、寝る直前にはなるべく物を食べないようにしたいのですが、夜遅くまで授業をやっていたりするとなかなか難しかったりもします。せめて消化にいいものにしようと、いろいろメニューを考えてはみているところです。ついでに、体重も減ってくれるといいですよね。

それではまた来月!

 

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書


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