やってみる力を育てよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 

 こんにちは、久しぶりにスーツを着たら、お腹周りが苦しかった小田です。このコーナーでも何度か「痩せる」宣言をしてきた気がしますが、今年度こそは少なくともお腹周りをもう少しすっきりさせていきたいと思います。まずは腹筋を鍛えるところあたりからでしょうか。内臓を支える筋肉を鍛えるのも大事、という話も聞いた気がしますしね。ちょっと頑張ってみようと思います。

さて、今回は計算のパズルです。年度初めなので、例年通り「試行錯誤する」という話です。ぜひ気軽に手を動かしてみてください。
それでは早速行ってみましょう。

 

Stage49:やってみる力を育てよう

数字の書かれたマス目をぬり、ぬったマスに書かれた数の合計が17になるようにしてください。

まずは、お子さんが問題の意味を理解しているかを確認してあげましょう。理解しづらそうであれば、まずは適当に好きなだけぬるよう伝えます。実際にいくつかぬったら、「ぬったところに書かれている数を全部たすといくらになる?」と聞いてみます。答えが返ってきたら、「それが17になるようにするんだよ」と伝えればいいでしょう。“17”は1つ作れば大丈夫です(いくつも作る必要はありません)。ぬる色は何色でも構いませんが、色鉛筆を使う場合は、書いたり消したりできないことに注意しましょう。

お子さんが答えを出せたら、ぬったところに書かれた数を全部たすといくつになるか、一緒に確認してあげてください。17になっていれば正解です。なっていなければ、「〇〇になっているよ」と伝えてあげてください。ぬる場所は、左から順でなくても構いません。右からぬっていたり、飛び飛びにぬっていたりしても、(ぬる個数が正しければ)もちろん正解です。

 

Level 1

数字の書かれたマス目をぬり、ぬったマスに書かれた数の合計がそれぞれ決められた数になるようにしてください。

 

Level 2

数字の書かれたマス目をぬり、ぬったマスに書かれた数の合計がそれぞれ決められた数になるようにしてください。

 

Level 3

数字の書かれたマス目をぬり、ぬったマスに書かれた数の合計がそれぞれ決められた数になるようにしてください。

 

Level 1

 

Level 2

 

Level 3

 

新年度ということで、今回が初めましての方もいらっしゃるでしょう。このコーナーは、私がふだん子どもたちに解いてもらっている問題を紹介するコーナーです。その問題を通して何を学んでほしいか、その問題を解く子どもたちのどういうところに注目してほしいか、そういったことを踏まえて算数を学んでいく上で大事なことは何か、などをお伝えしていこうと思います。

ということで、早速今回ご紹介した問題についてですが、私は例年このコーナーでは年度の最初に「試行錯誤することが大事」というお話をすることにしています。算数というと、“考える”ことが大事だ、というイメージを持っている人も多いかもしれません。それはもちろん、ある程度は正しいことなのでしょう。しかし子どもたちに「考えなさい」と言っても、なかなか算数の学習は進まないのが現実です。“考える”ためにはさまざまな“材料”が必要であるにもかかわらず、その準備ができている子どもはそれほど多くないからです。考える準備が整っていない子に「考えなさい」と言っても、オトナが期待するようには、うまく“考える”ことができません。その状態で、あまりに「考えなさい」と言われ続けると、「自分には“考える”ことは無理だ」と諦めてしまうことにもつながってしまいます。

算数を学び始めた初期の段階では、あまり“考える”ことを意識しないほうがいいでしょう。それよりも、まずは「やってみる」ことを意識することが大事です。「算数の世界」を自由に探検して、“材料”になるものをいろいろ探してみるのです。やってみることで、たとえ正解にはたどりつかなくても、何かしら見えてくるものがあるでしょう。うまくいった経験だけでなく、うまくいかなかった経験も含めて、“考える”ための“材料”になるのです。

今回の問題も、まずは“やってみる”ということに慣れてほしい、というのが狙いです。やってみる経験を積むためには、何をやればいいか、が具体的にわかっている必要があるでしょう。今回の問題であれば、まずは「マス目をぬってみる」ことがそれにあたります。あとは、ぬったマスに書かれている数をたせばいいですね。もちろん、レベルが上がると数も大きくなるので、計算の負担は増えていくでしょう。しかし、「何をやればいいかわからない」という状態にはならずにすむはずです。自分にできることの範囲でまずはやってみて、その中で新しいものを獲得していく経験を積んでほしいと思います。

 


いかがでしょうか。

最近、夜寝る前に次の日の食事のメニューを決めるようにしてみました。食べる直前に「何を食べようかな」と考えようとすると、結局面倒になって丼やパスタになったり、外食になったりしてしまいますしね。一方で、三食きちんと食べるようになったので、体重にはそこまで変動はないのですが、多少はバランスの取れた食事になっているといいな、と思います。そういうわけで、今年度も健康にほんの少しだけ気を遣いながら頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それではまた来月!

 

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書


 
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