【中学入試】入試情報の読み取り方

受験シーズンが近づいてきました。6年生のご家庭はもちろんですが、5年生までのご家庭でも入試情報を手に入れ、理解しておくことが大切です。
今回の記事では、入試情報の基本的な読み取り方についてご説明します。

 

入試情報のとらえ方

これまでも、志望校や併願校を選定・検討する際に、「募集人員」「倍率」「合格者数」といった入試動向に関する情報を目にされてきたことと思います。また「合格最低点」「合格者平均点」なども学校のWebサイトなどでご覧になったことがあるのではないでしょうか。
受験校を考えていくなかで、こういった「入試情報」は重要なデータとなります。学校によってはこれらのすべての情報を公開していないところもありますが、複数の学校の入試結果を2~3年度分見てみることでわかることはたくさんあります。また、志望校に向けた学習対策などにいかせる情報もあります。

まだ、こういった本格的な情報収集は不要とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、時間があるうちに見方に慣れておくためにも、ぜひ積極的にご覧になってみてください。

 

「入試情報」の見方

多くの学校では、昨年の入試結果などの入試情報をWebサイトに掲載しています。
また、これから願書の受付が始まると、日ごとの受付人数を公開する学校もあります。

ここでは、一般的な入試情報の項目の意味を、2025年度の灘中学校の結果を例に見ていきましょう。

募集人員 180
志願者数 743
受験者数 734
合格者数 252
倍率 4.13
実質倍率 2.91
国語 計200点 受験者平均 112.7


合格者平均 123.6

算数 計200点 受験者平均 115.2


合格者平均 146.3

理科 100点 受験者平均 73.9


合格者平均 81.0

総点 500点 受験者平均 301.7


合格者平均 350.9


合格者最高点 424


合格者最低点 324

 

志願者または応募者数は、その学校に出願した人数を表します。一方、受験者数は、実際に試験を受けた人数を表します。志願者数(応募者数)を募集人数(定員)で割った数は、出願倍率と呼ばれます。
2025年度の灘中学校の場合は、743÷180で(出願)倍率は4.13倍となります。

 

多くの学校では募集人数(定員)よりも多めに合格者を出します。これは過去のデータから、入学辞退者数を学校が予測して合格者数を設定しているためです。灘中学校の場合は、全国から力試し、腕試しで受験する方も多いため、2025年度の合格者からも69名の辞退者が出ています。
そして、受験者数を合格者数で割ると実質倍率(実倍率)が求められます。2025年度の灘中学校の場合は、734÷252で実質倍率は2.91倍となります。

 

多くの学校では、合格者の得点状況も公開しています。公開される内容は、合格最高点・合格者平均点・合格最低点・受験者平均点など、学校によってさまざまです。
受験生の得点状況や、合格ラインはどれくらいだったのかがわかると、6年生の秋以降、過去問題に取り組むときの目標のめやすとなります。

このほか、学校によっては予想以上の入学辞退者が出て定員に満たない場合、繰り上げ合格を実施することもあります。

 

「入試情報」は数年分を比較してみましょう!

最終的に受験する学校を決定していくときには、以上のような入試情報も考えに入れておきたいものです。できれば入試情報は、過去1年分だけではなく、数年分を比較してみましょう。Webサイトでは1年分しか掲載していない学校も多いですが、5年生までの保護者の皆さまは今からチェックしておけば2年分以上の結果が入手できますし、説明会などでは過年度の結果について説明がある場合も多いです。

次にご覧いただくのは、開成中学校の過去3年分(入試結果は2年分)のデータです。

開成中学校 入試状況(過去3年間)
年度 2023 2024 2025
出願者数 1289 1259 1234
受験者数 1193 1190 1146
合格者数 419 424 431
倍率 2.8 2.8 2.7
合格者最低点 237 216 202
開成中学校 2024年度入試結果
科目 国語 算数 理科 社会 合計
合格者平均点 60.2 58.3 60.2 52.5 231.1
全体平均点 51.9 48.6 55.1 48.1 203.8
満点 85 85 70 70 310
開成中学校 2025年度入試結果
科目 国語 算数 理科 社会 合計
合格者平均点 50.1 55.2 57.2 57.0 219.5
全体平均点 40.4 46.9 52.0 52.9 192.2
満点 85 85 70 70 310

複数年の入試データを見ていくと、開成中学校の場合は、
「実質倍率はだいたい2.5~3倍くらい」
「合格者最低点は年によって開きがあるが、60%~75%くらい」
など、今後の入試を予想できる発見があるはずです。

ただし、中学入試は、その前年の大学合格実績や新校舎建設や新コースの募集など、さまざまな要因で、年度ごとに学校の合格難易度が変動します。とくに、進学校の多くは人気面で拮抗しているところも珍しくなく、少しの要因で急に人気が高まったり、倍率が変わったりします。近年、設置が活発な附属校化・系属校化や、男子校・女子校の共学化に関する情報も、その学校の人気に大きく影響します。ですから、過年度の結果をおさえておくとともに、受験情報誌や情報サイトなどでそうした情報も意識して集めておくとよいでしょう。

入試データに振り回される必要はありませんが、ある程度の知識は必要です。入試結果などを、可能な範囲で調べておいて損はありません。気になる学校の入試結果は、ぜひ一度ご覧になってみてください。

次回の「受験サポート」は12月25日(木)更新予定です。

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