世界的なIT企業が集まるアメリカ・サンフランシスコ近郊で2年間、小学生の息子さんたちと暮らした柴田さん。
現地での経験から、上のお子さんは帰国後もプログラミングに熱中しています。
柴田さんが見た現地のプログラミング教育の特徴や、プログラミングを学ぶことで伸びる力についてうかがいました。
※本記事は、2022年03月04日に「Z会 STEAM・プログラミング教育情報サイト」上で掲載した記事を一部修正の上、再掲しています。
[プロフィール]
柴田さくら(しばた・さくら)ソニーグループ株式会社/外国語学部卒業後、ソニー株式会社(当時)入社。
海外マーケティングや商品企画に従事したのち、現在はブランドマネジメント室にてソニーグループのブランド体系の整備や各事業会社のロゴの運用管理などを担当。
2018年より2年間、休職して夫のアメリカ赴任に子どもたち2人とともに帯同し、現地のプログラミング教育を間近で見聞きした。※2022年3月時点
プログラミングの基礎知識は、世界共通
長男が小3から小5、次男が小1から小3の2年間、夫のアメリカ赴任に帯同してIT企業が多く集うサンフランシスコ近郊のベイエリアに住みました。
世界的なテックカンパニーが集まるエリアだったからか、現地の小学校には、保護者が積極的にプログラミングを学ばせ、本人のスキルも高く、ミドルスクール(中学校に該当)で習うPythonを先取りして学んでいるお子さんが多く見受けられました。
アメリカの中でも特殊な環境だったのかもしれませんが、長男はその中で刺激を受け、帰国し中学生になった今、海外でソフトウェア開発の仕事をすることに興味をもち、独学でPythonを勉強しています。
アメリカへの引っ越しから現在までの長男の様子を見ていて気づいたことが2つあります。
1つは、プログラミングの知識はどこの国に行っても使えるものだということ、もう1つは、アメリカと日本でプログラミングの教え方が異なるということです。
1つめについて、長男は英語が十分にできないまま現地の小学校に入り、実際に英語が壁になりましたが、それでも友達と一緒に取り組めたことがありました。それが、サッカーとプログラミングだったんです。
プログラミングは、日本にいたときに学童保育での習いごととして本人が積極的に取り組み、渡米前の時点でScratchの基本的なところは理解できていました。
そのおかげで、渡米後の学校のプログラミングの授業は困らずにできました。
2人ペアになってモーター付きブロックを動かすプログラムをつくり、プレゼンテーションするといったペアワークもあったそうですが、プログラミングの話なら多少英語がわからなくても進めやすかったと言っていました。
そのときに、プログラミング言語によって違いがあるとはいえ、基礎はある程度同じで、どこの国に行っても使えるものなのだなと感じました。
「学んだ技術を使って自由につくってみよう」が現地のプログラミング教育
2つめについては、帰国後、日本の学校でもプログラミングの授業を受けた長男に聞いた話からです。
長男が感じたアメリカと日本のプログラミングの授業の違いとして、日本では皆同じように決められた作業をして、同じものを完成させるスタイルの授業が比較的多いのに対し、アメリカでは基礎的な技術を教わったあとは、「じゃあその技術を使って好きなものをつくってみて」と進む、ということでした。
長男にとっては、できあがってくるものが人によって異なることや、自分がやってみたいことをどんどんやれて没頭できること、自分が納得したらそこがゴールになるというアメリカの授業の進め方はとても楽しいものだったようです。
実際、クラスメイトと一緒に取り組んだり、人によって異なるアウトプットを見聞きしたりしたことで、長男のプログラミングスキルも上がりましたし、何より、人の意見を聞いて良いと思ったアイデアを取り入れるといった、コミュニケーション力が伸びたと私から見て感じました。
プログラミングの結果、何かしら形としてできあがって達成感を得られるので、子どもたちはワクワクしながら取り組み、コミュニケーションも活性化するのだと思います。
また、Webサイトの画面の動きをはじめ、いろいろな物事の仕組みに興味を持つようになり、「どういう仕組みで動いているのだろう?」と考えるようにもなったそうです。
情報を整理し、わかりやすく伝える力もプログラミングで鍛えられる
私自身、企業で働いてきて、小学生のうちから鍛えておけばよかったと思う力に、ロジカルに物事を考えて整理する力と、課題解決力があります。
情報があふれている現代において、いかにして大量の情報を整理しわかりやすく説明するかは、どんな仕事をするにしても重要なスキルだと感じます。
自分の子どもたちにも、ぜひこのスキルを身につけてほしいと思います。
課題解決力も同じで、例えば、職場のコミュニケーションがうまくいっていないとか、業務改革をしたいなど、大小を問わずさまざまな問題や課題を解決したいとなったときに、課題のありかに気づき、抽出・整理して、どのような形であれば解決できるかというシナリオを描けることもすごく大切なことだと思います。
そしてどちらも、プログラミングに取り組む際に必要な力なのですよね。
プログラミングは「情報を整理し、順序立てて考える」「ステップを意識して進める」「うまくできなかったときに原因を追究する」といったことを繰り返すので、プログラミング学習を続けることで、このような力が身についてくるのではないでしょうか。
失敗を恐れず、つくったものを人に見せる経験を
小学生の段階であれば、まずは失敗を恐れずにつくったものをどんどん周りの人にアウトプットしていくことから取り組めると、楽しみながら情報を整理する力がついていくのではないかと思っています。
ちなみに、アウトプットする意義について長男に意見を聞くと、「クリエイティビティが広がる」と返ってきました。
「自分以外の人の反応を見聞きすることで、自分1人では思いつかなかったことを思いつくなど、新しい発想を得られる」と。
それこそ、たとえばインターネット上で多くの方に見てもらう機会をもち、「いいね!」がつくことを励みにするのもいいと思います。
そして、保護者の方も、お子さんがつくったものに対して「すごいね」と共感したり、一緒に遊んで楽しむ時間を持てたりすると、お子さんのモチベーションもさらに上がるのではないかと思います。
私も子どもがゲームをつくったときには一緒にプレイしていました。
保護者と共感し合う時間や、保護者からの「こういうことができるようになったね!」という声かけは、子どもにとってとてもうれしいことだと思います。
保護者も楽しみながら、子どものモチベーションを上げていきたいですね。
柴田さんにQ&A!
Q1. 今後、社会に出ていく子どもたちが、培っておくといいと思うスキルはありますか?
A1. 考えを的確に人に伝えるというスキル
考えを的確に人に伝えるというスキルを、日本語でもほかの言語でもいいので、1つの言語でしっかりと磨いておくことだと思います。
特定の言語で人にわかりやすく伝えることができるという土台があってこそ、あとから習得しようとする別の言語でも適切なコミュニケーションができるようになると思います。
Q2. もし今小学生だったとしたら、プログラミングを学んで挑戦してみたいことはありますか?
A2. プログラミング学習を通してものごとを整理したり、グルーピングしたりするスキルを身につけたかった
何かをつくり出す、というよりは、先述したとおり、プログラミング学習を通してものごとを整理したり、グルーピングしたりするスキルを身につけたかったという思いがあります。
小学生のうちから物事を順序立てて考えたり、整理して考えたりするくせをつけられていれば、中学、高校、大学でその力をもっと伸ばすことができる気がします。
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