出題校
千葉県の中高一貫校では、千葉県の共通問題を使用して、適性検査が実施されます。
各学校の問題は、次の表の通りです。
(共通=千葉県共通問題、独自=学校独自の問題)
1-1 |
1-2 |
2-1 |
2-2 |
|
|---|---|---|---|---|
| 千葉県立千葉中学校 | ||||
| 千葉県立東葛飾中学校 |
1-1 |
1-2 |
2-1 |
2-2 |
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|---|---|---|---|---|
| 千葉県立千葉中学校 | ||||
| 千葉県立東葛飾中学校 |
※1-1・1-2が「一次検査」、2-1・2-2が「二次検査」となります。
全体的な傾向
問題の構成や傾向について、前年度からの大きな変化はありませんでした。
・適性検査2-1
2問構成で、大問1は図形と速さ、円と規則性についての問題、大問2は植物の葉の付き方についての問題が出題されました。
・適性検査2-2
3問構成で、会話文の聞き取りと文章の読み取り、作文が出題されました。
一次検査と同様、試験時間に対して問題量が多いため、時間内に内容を十分に理解したうえで解答するのは難しいかもしれません。
しかし、大問全体の意味が十分につかめなくても、誘導に乗れば解答できる小問がふくまれていることが多いので、それを見つけ出し、得点できるように対策を講じる必要があります。
問題ごとの分析
適性検査 2-1(45分)
共通問題(算数分野)
〇テーマ
図形と速さ、円と規則性
〇内容
マンホールのふたの形の理由を考えたり、円周の長さと速さの比を用いた計算をしたりする。
また、円を重ねてできる図形の面積計算や領域の個数を考察する。
◆概要
(1)は円の性質と速さ、(2)は面積比と数パズル、(3)は領域分割の規則性を題材にした問題です。
(1)
マンホールのふたの形の理由や正方形の対角線の長さの推定、一輪車のタイヤの回転数と周回コース上での追いかけっこに関する計算問題です。
(1)②カ・キは、複数の要素(2人の進むきょりの差、コース1周の長さ、2人の速さの比)をふまえて計算する必要があります。
(2)
円を重ねてできるシンボルマークの面積計算や、「1つの円の中の数の和」が一定になるように、図形内の各領域に数字を当てはめる問題です。
(2)③は、試行錯誤しながら数字をしぼりこんでいく思考力が求められます。
(3)
平面を複数の円で分割してできる領域の個数を考える問題です。
(3)③ソは、3個の円が1点で交わるところが3か所ある点に注意し、図形を利用してくふうして計算する発展問題です。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
(1)②カ・キ
この問題は、はるさんが妹に2回追いつく場合の「2人の進むきょりの差」に気づいて、「コース1周の長さ」と「2人の進む速さ(きょり)の比」をもとに考えることがポイントです。
同じ位置からスタートしてちょうど2回追いつくとき、はるさんは妹よりも「コース2周分」多く走っていることになります。
次のようなステップで考えてみましょう。
ステップ1:まずコース1周の長さを求めます。
直線部分の長さと、直径15mの円周の長さを合計して、コース1周が何mになるかを計算します。
ステップ2:はるさんが100m進むときに妹が60m進むことから、「はるさんの進むきょり」、「妹の進むきょり」、「2人の進むきょりの差」の3つの比を求めます。
ステップ3:「2人の進むきょりの差」が「コース2周分」であることに注意し、ステップ2で求めた比を用いて、はるさんの進むきょりがコース何周分かを考えます。
共通問題(算数分野)
〇テーマ
植物の葉の付き方
〇内容
くきの周りの葉の付き方の規則性や、フィボナッチ分数について考える。
◆概要
(1)
①
植物Cの葉の付き方として正しい図を選ぶ問題です。
1~3枚目の付き方は図5で表されているため、それを参考に4枚目以降について考えます。
②
開度を表す分数の分子と分母が、実際の動きの何を表しているかを考える問題です。
植物A~Cで具体的な数値はわかっているため、そこから共通するルールを見つけ出すことがポイントです。
(2)
①
フィボナッチ分数の8番目の分数を答える問題です。
フィボナッチ分数のルールを読み取り、正確に計算できるかどうかがカギです。
②
異なる2つのフィボナッチ分数の20番目の分数の関係を考える問題です。
20番目となると、実際に計算して求める時間はありません。20番目という数字に注目するのではなく、そもそも分母の数、分子の数が、それぞれどういうルールで増えているのかという根本の性質に目を向ける必要があります。
(3)
途中から葉のできる向きが逆(時計回り)になる植物について考える問題です。
折り返しとなる葉を中心にして、行きと帰りで同じ場所に葉ができることがポイントです。同じ場所(ペア)になる数字の規則性を利用して、数式に表す力が問われます。
(4)
1枚目の葉と4、7枚目の葉をくきの中を通るように結んだ直線が、断面でどこを通るかを作図する問題です。
一見複雑そうな問題ですが、図8の拡大図と縮図の関係を理解できれば、上下方向のきょりの比がそのまま長さの比になるという法則に気づくことができます。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
(2)②
この問題では、フィボナッチ分数の20番目であるいとろを実際に計算するということは絶対にやめましょう。
他の問題を解く時間が無くなってしまいます。この問題を解くカギは、分数の性質を利用することです。
まず、それぞれのフィボナッチ分数をA、Bとし、「分子の数」と「分母の数」がどのように増えていくかを比較すると、以下のことがわかります。
・A、Bの分子の数は、どちらも1、1からはじまるので、3番目以降もずっと同じ数になる。
・A、Bの分母の数は、Bのほうが大きい数でスタートしているので、Bのほうが必ず大きい数になる。
分数には、「分子が同じなら、分母が小さいほどその分数の値が大きくなる」という性質があります。
そのためい>ろの関係が成り立つことがわかります。
また、ろは0より大きく、1未満の数であるため、ろ>ろ×ろです。
い>ろがわかっているので、い>ろ>ろ×ろです。
よってい>ろ×ろです。
次にいとろをたすと1より大きくなるかどうかを考えます。
それぞれのフィボナッチ分数を見てみると、どちらも1番目の分数がいちばん大きく、だんだん小さくなっていきます。
また、それぞれの1番目の分数である12と13をたしても1より大きくならないので、いとろをたしても1より大きくなることはないと判断できます。
正確な数がわからなくても、関係性さえつかめればよいのです。
適性検査 2-2(45分)
共通問題(国語分野)
〇放送音声
今井彰『プロジェクトⅩ リーダーたちの言葉』をもとに作成
〇内容
会話文の聞き取りをふまえた問題。
◆概要
(1)
会話文の内容を簡単にまとめた図を見て、図の中の空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
音声放送は一度だけで、問題を先に読んでおくことはできないため、聞き取りをしながら、重要なことを適切にメモに取っておくことが必要です。
(2)
会話中で説明されている2つの職業の共通点について説明した文章中の空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
(2)
はなさんとれいさんが、職業調べの発表会に向けて、調べた職業について話をしています。
はなさんは「消防士」について、れいさんは「医者」について語っています。この会話が放送内容です。
二人の会話をふまえて、「消防士」と「医者」の共通点について説明した文章中の空欄に当てはまる言葉を考えます。
会話文では別々の職業について別々に語っているわけですから、メモを見返してみても、直接使える言葉はおそらくないでしょう。
(1)の解答に使った言葉や、空欄の前に書かれている内容とは異なる、2つの職業の共通点を考える必要があります。
聞いた内容を思い返して「ああいうことか」とは多くの人がイメージできるでしょうが、その「ああいうこと」を言語化できる語い力が求められています。
共通問題(国語分野)
〇出典
文章【1】有吉玉青『手仕事の世界 伝承工芸職人紀行』より
文章【2】有吉玉青『手仕事の世界 伝承工芸職人紀行』より
〇内容
2つの文章の読み取り。
◆概要
(1)は、文章【1】中に出てくる「理想の型」についてまとめた文章の、空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
文章【1】全体についてまとめた文章ではないことに留意し、文章【1】中のどの部分に着目すべきかをまずしぼりこみましょう。
最初の2段落と最後の2段落を切り捨てられれば、かなり正解に近づくことができると思われます。
(2)は、文章【1】【2】について話し合っている会話文の中の空欄に当てはまる言葉を書く問題です。
会話文の内容は文章【1】【2】に登場する職人さんの共通点を、感想として語り合うというもので、文章【1】【2】中の言葉は当然使えません。
空欄前の記述がある程度のヒントにはなりますが、これも自分の言葉でまとめる語い力が求められています。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
(3)
文章【1】【2】に登場する職人さんのような考え方で取り組んだ体験を、文章【1】【2】をふまえて具体的に書く問題です。
3行で、という指定がありますから、字数にして60~90字といったところでしょうか。
(1)(2)に解答することを通じて、文章【1】【2】に登場する職人さんの考え方は、ある程度はつかめると思います。
ただし、そのような考え方で自分が取り組んだ体験、と言われて、ほとんどの小学6年生は相当とまどったでしょう。
「伝承工芸の職人さんのような体験なんてあるわけない」と思わずに、何かそれに通じるようなことが身近にないか、考えてみることが大切です。
小学6年生のレベルに引き付けてそのような考え方が適用できるものと言うと、スポーツや習い事の体験になるでしょうか。
共通問題(国語分野)
〇出典
佐藤卓『塑する思考』より
〇内容
3つの文章(大問3の文章と大問2【1】【2】の文章)の読み取り。
大問2・3をふまえての読解と作文(15~20行)。
◆概要
(1)
文章の内容をまとめた図を見て、図の中の空欄に当てはまる言葉を考える問題です。
文章の論理展開を的確につかむことが求められています。
(2)
文章中の1フレーズについて、大問2【1】の文章から同内容の言葉を探す問題です。
2つの文章に共通する考え方を読み取りましょう。
(3)
制服を作りかえる実行委員会の一員としての考えを書く作文問題です。
作文の内容は
「大問2・3の文章に共通する考え方をふまえて、制服を作りかえるうえで心がけていくことを書く」
「その心がけのもとでどのような取り組みをしたいのか具体的に説明する」
「取り組みの際に課題になると考えられることを具体的に書く」
「大問3をふまえて、その課題を解決するためにどうするかを説明する」
といった条件があたえられています。
15~20行と字数にゆとりはありますが、あらかじめ書くことを整理して、論理的にわかりやすい文章を書くことが求められている問題です。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
(3)
設定に沿って、15~20行の作文をする問題です。
自分の考えをただまとめるだけでなく、問題2・問題3の文章の考え方を取り入れて書くことに難しさがあります。
書き始める前に、それぞれの文章のどのような考え方に注目するのか、その考え方を自分の意見にどのように取り入れるのかということを考え、文章の構成を整理してから作文しましょう。
また、段落の構成と内容についても条件で指定されているので、それぞれの段落で書きたいことや文章の量のバランスなどもあらかじめ考えてから書き始められるとよいでしょう。
とくに伸ばしておきたい力
千葉県の二次検査では、「5つの力」をバランスよく伸ばすことが求められますが、とくに伸ばしておきたい力として、論理的思考力が挙げられます。
・適性検査問題2-1
【大問1】
教科基礎力、論理的思考力が必要な問題です。図形の基本的な知識が必要な問題はよく出題されるため、必ず身につけておきましょう。また、問題文の条件を整理して、順序立てながら考察する力をつけておきましょう。
【大問2】
論理的思考力・情報整理・運用力が必要な問題です。「植物の葉の付き方」という一見複雑な自然現象でも、条件に合わせて順序立てて考えられる力をつけておきましょう。
・適性検査問題2-2
【大問1】
情報整理・運用力、論理的思考力が必要な問題です。聞き取った内容や、資料から読み取ったことから重要なことを図やメモにまとめ、活用できるようにしましょう。
【大問2】
国語的な教科基礎力、論理的思考力が必要な問題です。読み取った資料について、文章の内容や筆者の主張を論理的にまとめられる力をつけておくことが重要です。
【大問3】
論理的思考力、表現力が必要な問題です。あたえられた条件に従って、自分の考えをだれが読んでもわかりやすい文章で書くことのできる表現力を伸ばしておきましょう。
おすすめの学習法
ルールやきまりを資料から読み取り、より複雑な条件でどうなるかを考える力を身につける必要があります。
難度がそれほど高くない問題もあるため、それらの問題で点を落とさないことが重要です。
過去の適性検査を複数年研究して、どの問題を解くべきかを見極め、時間配分について考える練習を積んでおきましょう。
問題ごとに、おすすめの学習法を紹介しますので、参考にしながら学習を進めていきましょう。
・適性検査問題2-1
【大問1】
読み取った条件をもとに試行錯誤しながら、答えにたどり着く練習をしておきましょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生6月号では、条件に従って答えを推理する問題に挑戦します。
【大問2】
きまりや仕組みに注目し、計算を工夫したり省略したりする練習をしましょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生8月号では、並べ方の順番や、同じ形のくり返しなど、問題の数や図から読み取れる規則を見つけ、その規則を使って、ほかのものがどうなっているかを推測する問題に挑戦します。
・適性検査問題2-2
【大問1】
聞き取った音声や資料をもとに重要なことをメモにまとめる練習をしておきましょう。矢印や図の使い方など自分なりのメモの取り方を決めておくと、短い時間でわかりやすいメモを作ることができます。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生9月号では、聞き取りの問題に取り組みます。
【大問2】
説明文や資料を読んで、内容や筆者の主張を図や文章に論理的にまとめる練習をしておきましょう。
【大問3】
読み取った内容や自分の意見の中で作文に必要なポイントをまとめ、全体の構成のメモをつくる練習をしましょう。
