夏休みが終わると、6年生はいよいよ志望校合格に向けて、入試本番を見据えたより実戦的な学習が本格化します。特に重要なのが「過去問演習」です。
今回は「過去問への取り組み方」について、過去問を解く意味から、始める時期や何年分解くべきかの分量、おすすめの方法までくわしく解説します。
なぜ過去問演習に取り組むのか?—過去問演習の意味
過去問演習についてはさまざまな考え方があります。塾も「過去問演習はしっかりやりましょう」という意見から「過去問演習をやらずに他の方法での学校別対策をたくさんやった方がよい」という意見まで、対応は一様ではありません。
Z会にも毎年多くの保護者の方から「同じ問題は出題されないのに、過去問をやっても意味があるのか?」という質問が寄せられますが、Z会としては「過去問演習は非常に大切な学校別対策である」と考えています。
各学校が求める力(例えば「早く正確に解く力を重視する」、「記述力を重視する」など)というのは毎年コロコロと変わるわけではありません。入試ではその学校が求める力を測れる問題が出題されるので、その学校が求める力が変わらない限り、過去問と似た作りの問題が多く出題されることになります。
つまり、過去問演習というのは、各学校の出題傾向や受験生に求める力を身につけられる最大の学校別対策であり、過去問に取り組むことこそが合格への近道と考えることができるわけです。
過去問への取り組み方
〇解説がしっかりしている過去問題集を購入する。
第一志望校以外にも、受験予定の学校の過去問題集はすべて購入するようにしてください。解説が豊富で内容がしっかりしているものを選びましょう。また、購入の際は書店で実際に手にとってみて、お子さまが「使いやすい」と思えるものを選ぶようにしてください。中学校によっては説明会で実物の入試問題をもらえることがありますが、解説がついていないことも多く、この場合も解説がしっかりしている市販の過去問題集を購入するようにします。
〇9月から週に1年度分のペースで取り組む。
9月から週に1年度分のペースで、基本的には第一志望校の新しい年度の問題から取り組むことをおすすめしますが、最新年度のものは総仕上げとして一番最後に取り組んでもよいです。最難関中学を志望している場合は、いきなり第一志望校の難しい問題に取り組むのではなく、まずは併願校の過去問を1、2年分やってから、第一志望校の問題に取り組むとよいと思います。
〇過去問の日を決めて4教科まとめてでも、1日1教科でもOK。
過去問の取り組み方は自由です。学校がお休みの日は入試の時間割に合わせて取り組み、まとまった時間が取れない場合は1日1教科ずつ解いてみましょう。4教科同時進行ではなく国語と算数を先行させて取り組んでもかまいません。ただし、この場合はやり残した理科・社会を必ずあとで取り組むようにしましょう。
〇第一志望校は最低5年分(算数・国語は10年分)を2回繰り返す。
取り組む量については、第一志望校は最低5年分(算数・国語については10年分を)、2回繰り返す(2回転)が基本です。第二志望校以降は多くて3年分を1回やれば十分です。なお、第一志望校に関しては、2回転、あるいは解き直しを考え、あらかじめ解答用紙をコピーしておくようにしましょう。
過去問を取り組む上での注意事項
〇時間をしっかり測る。
実際の試験時間に合わせ、時間をしっかり計って取り組みます。最初は時間が足りないと思いますが、解けそうな問題がある場合は、最初のうちであれば少し延長しても大丈夫です。なお、とくに算数や理科の計算問題で時間内に少しも分からなかった・手をつけられなかった大問は、(1)(2)など小問番号の若い問題を中心に解説を確認して、復習を行いましょう。
慣れてきたら、時間内に解ききることを意識します。時間内に解ききるためには工夫が必要です。問題全体を眺めて、解けそうな問題から取り組むようにしてください。何年分か過去問に取り組むと学校によって何番の問題が解きやすいなどだんだん目星を付けられるようになってきます。とくに算数は、合格のために必ずしも満点を取る必要はないので、問題を取捨選択する眼を身につけておくことはとても大切です。
〇最初は解けないのが当たり前。
初回の取り組みでは解けないのが当たり前です。初回後は解説を参考にしっかりと復習を行い、2回目の取り組みで合格者の平均点をクリアすることを目標にして取り組んでいきましょう。最初から合格者の平均点を全教科超えてしまうようであれば、志望校のレベルアップを検討してみてもよいでしょう。
〇答案や自己採点結果を保護者の方や塾の先生に見てもらう。
自己採点では、意外と自分の答案のミスに気付かないものですので、自己採点した答案を自分以外の人に見てもらっても良いでしょう。答案に誤字脱字はないか、解答内容が設問に沿ったものになっているか(語尾は与えられた条件に沿っているか)などを、保護者の方や塾に通われている場合は塾の先生に、見てもらいましょう。
Z会の中学受験コースでは、毎月の提出課題で、
お子さまの答案を生かしながらより良い解法や答案の書き方を指導する添削を行います。
9月以降の学習での注意事項
「過去問演習」は9月以降の学習の最優先事項です。「ほかの学習で手一杯で過去問演習に取り組めない」というのは絶対に避けましょう。時間の余裕がない場合はきちんと優先順位をつけ、過去問演習を中心とした学校別対策に十分取り組めるよう調整します。どの部分の時間を削っていくかは親子いっしょに意見を出し合いながら考えてみましょう。
一方で過去問演習ばかりするというのも考えものです。普段の学習もしっかりとやってもらい、常に全体のバランスをとりつつ勉強を進めるようにしましょう。また、抜けている単元が見つかったら、すぐに復習をするようにしてください。
Z会の学校別対策
最難関校を目指すみなさんは、プラスαの勉強にも取り組みましょう。
Z会中学受験コースには、各学校の頻出分野を対策できる1講座から受講可能な「頻出分野別演習」、関東3校(筑駒、開成、桜蔭)・関西3校(灘、甲陽学院、神戸女学院)の「志望校別予想演習」を用意しています。
また、「最難関校プレミアム講座(筑駒・開成志望者向け)」では、9回分の算数・国語の予想演習などを行います。
他にも、筑駒・開成限定ですが、入試で差がつく問題の解説をした「厳選・過去問攻略映像」という映像授業を販売しています。筑駒・開成をはじめとした難関中学を受験予定の方はぜひご利用をご検討ください。
Z会の中学受験コース「専科」では、
Z会が各学校の過去問を分析して練り上げた予想問題や、
志望校の出題傾向を踏まえた頻出分野対策に取り組めます。
過去問演習を通して、その学校の傾向をつかむことで、実際の入試での得点力アップにつながります。9月以降は過去問演習を含めバランスよく学校別対策を進め、来たる入試本番に備えましょう。
※この記事は、2021年8月31日に中学受験コース学習アドバイザーにより執筆されました。
Z会の中学合格実績、
中学受験対応コース・講座のご紹介
公立一貫校受検をお考えの方に 公立中高一貫校適性検査5・6年生
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