第68回 先輩に聞こう!Z会の教室出身個別講師の座談会 ~小学6年生のあなたへ~

執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
記事更新日:2022年08月19

【特別企画】先輩に聞こう!Z会の教室出身個別講師の座談会

Z会の教室による小学6年生の学びを助けるフリーマガジン「親子で始める、中学準備」。今回は特別企画としてZ会個別指導教室の現役大学生講師による対談をお届けします。登場する3名の講師の共通点は、「中学生時代にZ会進学教室に通って第一志望の都立高校に合格した」ということ。Z会進学教室の卒業生として実際に高校受験を経験した先輩だからこそ話せる、高校受験や大学受験の勉強のポイント、普段の指導で心がけていることなど、6年生の皆さんにも伝えたいことをたくさん聞きました。

W講師:公立中学校(Z会進学教室調布教室1期卒業生)→都立新宿高校→中央大学文学部社会学専攻3年。中高はテニス部、大学ではラクロス部で活動。朝5時半に起きて朝練に参加し、夜は中高生を教える日々。

B講師:公立中学校(Z会進学教室調布教室1期卒業生)→都立国立高校(Z会個別指導教室調布教室にも在籍)→国立看護大学校2年。高校ではハンドボール部のマネージャーを務めた。

N講師:公立中学校(Z会進学教室調布教室2期卒業生)→都立西高校→一橋大学法学部2年。国際関係に関心。

自身もZ会進学教室の卒業生だから、できる指導

――初めに自己紹介も兼ねて、個別講師として心がけていることを教えてください。

W講師:どの授業においても目的と意図を伝えるようにしています。今教えている生徒で中高一貫に通う中3の生徒がいるのですが、高校受験がないのでのんびりした雰囲気です。モチベーションを上げてもらうため、数学の授業で「公立の中学に通っている子はこの時期に中1の復習をしているから、塾では中1の復習をやっていこう」と予め伝えてから小テストに臨んでもらうようにしています。目的意識を持って勉強に取り組んでほしいと思っています。

B講師:私は一方的な授業にならないように心がけています。今担当している生徒でZ進と個別を併用している中3生がいますが、Z進と個別それぞれの目的を分けて通えるように授業の組み立てを意識しています。新しい単元の解説はZ進のプロの先生に教わった方が良いですが、個別ではわからないところを重点的に教えたり、本人に質問させたり、「ここはどうやって考えたの?」と聞いて生徒自身に考えてもらうように意識しています。

N講師:私はいつも丁寧な教え方を意識しています。集団の授業と比較すると、個別の方が一人ひとりの進度に合わせることができるのがメリットであり、本人の傾向に合わせつつ、どこまで本人が自分で答えを導きだす過程を引き出せるかが大事だと思うので、手助けをできるように、上手なヒントの出し方を考えています。

――今改めて高校受験を振り返って、どんなことが印象に残っていますか?

N講師:勉強面に関しては割と順調でしたが、自分でスケジュール管理や体調管理をすることが難しかったです。中学生だと受験がどうして大事なのかをよく理解できなかったり、受験が終わった後のビジョンも見えていない中でどうやって頑張るのかが難しかったです。「高校を受験して、合格しておしまい」ではなくて、その先が大事だとは教わっていても、体感として理解するのが難しかったように今振り返って思います。

W講師:確かに、当時はあまり先のことは考えられなかったかも。

N講師:部活と生徒会と習い事…やりたいことを全部やっていて、一気に予定が集まったときに「今日は全然勉強できなかった」と思うと、必要以上に自分を責めるというか、ネガティブに捉えてしまって…

B講師:そういうときってどうやって切り替えてた?

N講師:メリハリをつけることが大事だと思います。勉強とそれ以外の息抜きを両方取ることが大事。勉強だけをしていても後で疲れが来て、長期的には悪影響しかないので、疲れる前に息抜きをすることが大事だと思います。

B講師:私は圧倒的に内申点を上げることが大変でした。高校受験で勉強以上にしんどかったところです。

――高校受験での「内申対策」は、高校に入ってから役立った実感はありますか?

B講師:先生の言うことを聞かなきゃいけないんだなっていうのは感じましたね。中学のときは自分に必要ないと思うことを「何でやらないといけないんだろう」って思っていて、中2まではノート提出とかも自分に必要ないと思ってやらなかったんです。でも中3になってこのままではまずいと思ってやるようになって、何とか内申が上がって…その後高校に入って、先生の言っていることが理解できるようになった気がします。

W講師:「理解できるようになった」というのは?

B講師:自分には合わないと思っても、まずは素直に取り入れてみることでうまくいくこともあるのかなって。あと、先生に嫌われなくなった(笑)。困ったときに先生に相談しにいくとちゃんと親身に相談してもらえるようになったので、そういう姿勢は大事だなと思います。

W講師:今となってはすごく恥ずかしいことなんですけど、特に学校で必死に勉強していないフリをしていました(笑)。そんなに頑張ってないように見せたくて。「頑張ってるじゃん」「真面目だね」って友達に言われるのが嫌で、周りに隠しながらコソコソ勉強していました。

B講師:周りが勉強してないと、勉強する子がなぜか浮いちゃうというのは中学生ではあるよね。

W講師:部活の仲良かった子たちは私立の単願推薦で決める子が多くて、その中自分一人だけ都立一般で行こうとしていたので、自分だけ勉強している雰囲気を出すことに気が引けてしまって。めっちゃやってるのに友達には「勉強やってない」って言って。余計に変な取り越し苦労をしていた記憶があります。その点、中3になってZ会の教室に来れたのは良かったです。この中だったら自分は頑張っていない方だし、勉強を頑張っていても変な目で見られないというのには心が救われました。

――周りが勉強していないのが普通という中で、自分の目標が揺らぐことはありませんでしたか?

W講師:若干揺れたりはしましたが、行きたい高校という目標がちゃんと明確だったので、持ちこたえられたし、塾の友達と比べて自分はまだ勉強できてないなと実感できたのも大きいです。実際、高校に入ると自分より努力できる人がたくさんいることに気づけて、上には上がいるということも痛感して、中学とは違う刺激を受けることができました。

「ただ頑張る」だけでは大学受験は乗り切れない

――「上には上がいる」ということに関連して、志望校を決める際に「無理して背伸びしてギリギリで難関校に入る」のと「ある程度自分が上位にいられるようにランクを下げる」のと、どちらが正解なんでしょうか。

B講師:もちろん人それぞれだとは思いますが、自分の能力より明らかにレベルの高いところに入ると、高い刺激を受ける反面、別次元すぎてどう頑張ればいいかわからなくなってしまったり、授業についていけなくなってしまったりもするので、必ずしも「高いところに行けばいい」というわけでもないと思います。

N講師:「少しランクを落としてその中で上位を維持する方が結果的に学力を高められる」と聞いたことがあります。でも、それが本当か私にはわからなくて…私は中学と高校で環境が変わって、単に学力が高いというだけではなく、色んな問題に興味・関心を持っている、意識の高い人たちと関われて世界が広がった実感があります。受験結果だけで言えばランクを落とした方が良いのかもしれませんが、その先の活動を考えると、レベルの高い学校に行くと学べることも多いと思います。

――高校受験と大学受験を両方終えた今、両者の違いについて感じることなどを教えてください。

N講師:大学入試は高校入試よりも「学部」「入試方式」が多すぎて、どこの何を受けていいか全くわからないところに最初は戸惑いました。似たような名前の学部がたくさんある中でそれぞれどんなことが学べるのかを調べて、自分の得意科目・不得意科目に合う入試方式かどうかも調べて…私の場合は、まず自分で調べて、それを学校の先生に持って行って相談しました。

B講師:私の場合は逆に範囲が狭くて。看護を学べる、自宅から通える大学で探すとほとんどなかったんです。高校と違って大学受験は全国の学校が対象になって、自宅から通うのか、一人暮らしや寮生活をするのかなど、入学後の生活や学費に限らずお金の面までを考える必要があるのが大変でした。

N講師:どういうきっかけで「看護」に決めたのですか?

B講師:高校の部活(運動部のマネージャー)で応急手当講座というのを受けて、そこで興味を持って知り合いの看護師さんに話を聞いて、決めました。それが高2のときです。翌年の文理選択を決める頃で、元々文系に進もうと思っていたので理系への転向は大変でした。自分が得意なのは文系だけどやりたいことが理系なので、すごく悩みました。

W講師:ただがむしゃらにやるだけだと目標とするところに届かないということが、大学受験のときに高校受験との違いとして一番痛感しました。高校受験だと1日○時間勉強しよう、というノリで成績も伸びるし、乗り切れてしまったのですが、大学入試では科目も増えるし、高校3年間でかなりの進度なので、自分に何が足りてないのかとか、効率を考えて逆算して計画を立てないと目標には届かなかったという反省があります。

――ただ頑張るだけではなく、計画性も必要だということですね。

W講師:だからこそ個別の講師として教えているときには、生徒に「目的と意図」を伝えて、ただがむしゃらにやるだけではなく「なんでこういう勉強をしているんだろう」と考えてもらうことを、自分の反省も込めて指導しています。

B講師:確かに、高校受験は中3の春くらいから始めて、夏に頑張って、冬に詰め込んで何とかなっていましたが、大学受験は高3になって「ヤバい、勉強しなきゃ」と思っても追いつかないです。高校受験のときと同じ気持ちで臨むと高1、高2の復習が追い付かなくて高3の内容も入らなくて…

――でも、3人の通っていた都立高校は特に部活も行事も盛んな、とても忙しい高校生活だったと思うのですが、高1からの大学受験対策はどのようにしていたのですか?

N講師:私が勉強する気になった一つの要因はコロナによる休校でした。何もすることがなくなってしまって、そこでやっとちゃんとした勉強時間を確保できたからギリギリ間に合った気がします。それでも結構取り戻すのが大変だったので、今振り返ると高1、高2のときにもっと勉強しておけばよかったと思います。学校の先生には「1日5分でもいいから、その日に習った教科の復習をしなさい」と口うるさく言われていて、基礎レベルだけでも解けたら全然違うので、今自分の生徒にも私が高校の先生に言われたことと同じことを伝えています(笑)。

「高校受験のときに正しいやり方で頑張ったら、その先も頑張れる」

――皆さんはZ会進学教室の卒業生ですが、今個別指導教室の講師をしていて、Z進時代の経験が役立っていることはありますか?

B講師:教材についてのレベル感はちゃんとわかっているので、生徒に合ったものが提供できていると思います。

W講師:自分が使っていたから「この辺がこのくらい取れていれば大丈夫」ということが具体的にイメージしやすいよね。

B講師:私は高校生のときに個別指導教室にも通っていたので、自分が教えてもらっていた先生の「これは良かった」という教材や教え方はそのまま自分の指導にも取り入れていますし、「ここはもっとこうしてもらいたかったな」ということも改めて振り返って考えたりもします。

N講師:実際に生徒目線で「良かった」というのは、例えばどんなことですか?

B講師:問題の解説だけじゃなくて「こうやって勉強したらいいよ」という方法が提示できると良いのかな。模試の解き直し、と一言で言っても、私の教わった先生はそれをどうやってやればいいのかということを込みで解説してくれる先生だったので、「これをやってね」だけでなく「これをこういう風にやったらやりやすいから」というのを、本人の傾向も込みでやり方を教えることが大切だと思います。

N講師:私はZ進に通っていて、集団の塾なのに先生に色々無茶をお願いしていました。「ここを受けたいからどうしたらいいか」と相談に行くと「じゃあこれをやってみよう」と一人ひとりの目標に向けての具体的な方法や「いつまでに」という計画を考えてくださったのが印象的です。Z進の先生方の一人ひとりに向き合うという姿勢を、今私も講師として忘れないようにしたいです。

W講師:自分がもしZ進に通っていなくて今ここで講師をやっていたとしたら、生徒に膨大な宿題を出したり、受験だけでしか使えない小手先のテクニックを教えてしまっていたかなと思います。Z進では受験のためだけの知識を詰め込んだり、過程を説明せず公式を教えたりすることがないので、自分が今講師として教えるときにも、「三平方の定理ってこうだから覚えてね」ではなく、なんで三平方が成り立つのか、から教えるように意識しています。基本や本質から教えることができているのは自分が実際にそれをZ進で教わったからだと思います。

N講師:私は英語の今泉先生に言われたことが印象に残っています。「高校受験のときに正しいやり方で頑張ったら、その先も頑張れる」と言われて、なんでかと聞いたら「努力の仕方が分かっているから、たとえ困難があっても必ず立ち直れるよ」ということで、それで私は大学受験も頑張らなくちゃと思えて、その言葉に助けられたなと思います。

B講師:今泉先生は「これ暗記してね」だけではない授業をしてくださったので、自分が個別講師として授業をするときにもそこは意識しています。

親身の個別面談

――最後に、高校受験に向けて頑張る小中学生へメッセージをお願いします。

N講師:夏~秋はまだ試験日から遠くて受験が近づいているという実感がわきにくいと思います。だからこそ、自分で高校についてしっかり調べて、webサイトやパンフレットを見るだけでもいいので、そこで高校に入って何をしたいのかという目標を決めると頑張れるのではと思います。

B講師:夏休みは私自身も「まだ大丈夫だろう」と思っていた時期ですが、受験に向けてまとまった勉強ができるのは長期休みが主で、この次は直前の冬休みになってしまうので、高校のことを調べたり実際に行ってみたりして自分のモチベーションを上げつつ、毎日○時間勉強する、と決めて勉強していくと志望校に合格できると思うので頑張ってください!

W講師:もちろん勉強も大事だし、やっていかなきゃいけない時期ですが、勉強以外の部活や趣味だったりもあきらめないで、最後までやってほしいと思います。今が自分のやりたいことに全力を注げる最後の時期だと思いますし、勉強だけをやろうと思っても先ほどの話にあったようにずっと集中力を維持するのは大変なので、好きなことも勉強もどちらも全力でやってほしいです!

この記事の著者

鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。

 

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