執筆者:Z会進学教室 町田教室スタッフ
記事更新日:2023年04月07日
「学力だけが全てじゃない!?」高校の選び方
「やっと中学入学が見えてきたと思ったら、もう高校のこと!?そんな先の事なんてまだ考えられない…。」と思われる保護者の方もいらっしゃると思います。しかし中学校の3年間は、日に換算するとたった1095日。あっという間なのです。
学校生活に慣れたと思えば部活が始まり、息つく暇もなく中間テスト、期末テスト。体育祭や文化祭は小学生の頃よりも自主性の高いイベントになっているので、こちらも準備と時間がかかる。やっと慣れたと思ったら2年生の3学期。さて内申と進学先はどうしよう…。と大体こんな感じで怒涛のように過ぎていきます。考えるだけでも悲鳴をあげそうになりますが、目まぐるしい中学校生活の中で自分に合った高校を探していかなければなりません。
今回は高校選びの中で『見落としがちだけど実は大事な高校選びのポイント』をお伝えします。
通学時間+保護者の方が考えるべき時間計算も
まずは通学時間についてです。基本的には片道1時間~1時間半以内が限度かと思います。片道1時間半でも往復にすれば3時間もの時間を通学に充てることになります。大人の通勤時間としても中々厳しいですね。加えて部活の朝練や放課後の活動によって、より家を出るのは早くなり、帰宅は遅くなります。よく塾や学校から「高校見学の際に通学経路を見ておいで」と言われることがありますが、高校見学の1日だけ通ってみるのと、通勤帰宅ラッシュの時間帯に3年間通い続けるのとではかなり事情が変わってきます。
ここまでは他の入試情報サイトでもよく書かれていますが、今回お伝えしたいポイントは「子どもの通学時間に伴う保護者への影響」です。特に朝のお弁当準備ですね。公立高校には購買や学食のある学校もありますが、ほとんどはお弁当持参です。さらに育ち盛りのため、朝ごはんを食べて登校しても朝練後にはお腹が空き、3時間目辺りでまたお腹が空く……なんてことは日常茶飯事。個人差はありますが成長期の胃袋を満足させるため、今まで見たことないような量のお弁当が必要になります。(現に筆者の弟はお弁当の他に通称「爆弾おにぎり」という拳サイズのおにぎりを2〜3個持って行っていましたし、高校の同級生は2リットルタッパーをお弁当箱にしていました。)
子どもたちは自分の身支度の事だけを考えればよいですが、保護者の方はそのお弁当を準備するために毎朝何時に起きなければならないのかという計算もしなくてはいけません。ご飯の量が増えれば冷ます時間も多く必要になりますし、調理の時間も増えます。中には毎朝5時前に起きてお弁当を準備する保護者もいます。その方は部活の試合の際は朝3時か4時に起きることもあったそうです。部活等の課外活動によりますが、家族でどこまでフォローできるのか話し合うことが大切ですね。
また、電車通学の場合には安全性も気になるポイントです。公共交通機関での犯罪率は絶対的に低いとは言い切れません。特に迷惑防止条例違反などは学生の被害率が低くはないので、心配ですよね。(筆者にも経験があります。)乗車時間が長いほど犯罪に巻き込まれる確率も高くなるので、使用路線の安全性も確認したいところです。
校風や生徒の雰囲気など 情報収集は塾を活用しよう
次に注目したいのは「お子様本人と学校の相性」です。お子様に合った学力の学校だからといって、学校自体がその子に合うとは限りません。お子様を安心して任せることができるのか、学校の校風や校長先生の方針や考え方などは必ず見ておきたいところです。とはいえ、学校見学などでは集められる情報に限りがあるかと思います。実際に通っている生徒さんや保護者の方にお話しを聞けるのが最適ではありますが、なかなか難しいですよね。そのような場合にはZ会をはじめとした塾を有効活用してください。塾には各校に関する情報が長年集められていますので、校風や生徒の雰囲気、自分の子がその学校に合っているかどうか聞くことができます。校長先生については本サイトでも様々な学校の校長先生の記事があります。説明会のように一方向の話ではなくインタビュー形式の記事になっていますので、説明会では聞けないような話もあります。ぜひご活用ください。
ここまで通学時間や学校の相性について述べてきましたが、大前提として考えていただきたいのは『本人の意思』です。受験は家族と塾学校と本人のチームプレーと言われることがありますが、それはあくまで卒業するまでの間の話です。受験が終わり進学が決まった後、3年間通い続けるのは受験した本人1人なのでお子様自身が行きたいと思う高校選びと受験が大前提です。
過去に私が部活動指導で見ていた生徒で、受験校に本人の意思が反映されず、保護者の方が選んだ私立の特進コースを受験し合格した生徒がいました。その子との会話で忘れられない瞬間は「合格おめでとう」と声をかけた際に「ありがとう。でもそれはパパとママに言って。」と言われた時です。こんな悲しい受験はあるものかと感じた胸の痛みは忘れることができません。少し心配しながら卒業していく姿を見送りましたが、進学後の環境に心身がついて行くことができずに身体を壊してしまったと聞きました。その子が進学した学校は有名国私立大への進学率も良く環境もよかったのですが、本人には合わない学校でした。何よりもその子自身が納得できる受験ではなかったのです。
どんなに良い学校でも本人の目に魅力的に写るかどうかが一番大切です。自分で「この学校に行きたい!」と思う気持ちが、大変な受験勉強を乗り越える動力源になります。
自分(自分の子)にとって『いい学校』とはどんなところなのか 1095日たくさん話し合って
前述の経験から、高校選びに迷っている生徒には「心身共に安全で健康に過ごせる学校が第一だよ」と伝えるようにしています。子どもたちには「そんなの当たり前じゃん!」と笑われてしまいますが、心も体も成長過程である彼らにとって、高校進学を皮切りにいくつかの大きな環境の変化が起きます。新しい環境の中で息苦しさの限界を感じた時に、この言葉を思い出してくれるといいなと思いながら話をしています。
高校受験はお子様の人生において大きな試練の1つになります。その大きな試練の中で最初に訪れるのが高校選びです。保護者の方もお子様ご自身も「いい学校を選びたい」「高校選びで失敗したくない」という気持ちもよく分かります。その焦りや不安の中で忘れないでいただきたいのは「では、自分(自分の子)にとって『いい学校』とはどんなところなのか。」ということです。通学の条件なのか校風なのか、はたまた進学率なのか…。『いい学校』の条件は人それぞれですし、親子で条件が違うこともあります。受験において大切な学校選び。記事の最初に『たった1095日』と書きましたが、されど1095日です。どうか親子ご家族でたくさん話し合ってください。お子様と保護者の方が納得できる高校選びのために今回の記事がお力になりましたら、とても嬉しく思います。
この記事の著者
町田教室教務スタッフ
2016年から2年間地元中学校の生徒指導補助員として学校教育現場に携わる。2018年よりZ会祖師谷教室、2022年より町田教室の教務スタッフとして勤務。受付対応・電話対応や教材の準備、面談の日程組みなど教室運営全般に携わり、生徒一人ひとりが安心して授業を受けられるよう、先生方が授業・生徒指導でベストパフォーマンスを尽くせるよう、快適な教室環境づくりに貢献。縁の下で教室を支える傍ら、プライベートでは中学の部活指導に携わるなど365日教育現場に身を置く。