【2024年度入試】京都大学 英語

高いレベルの読解力、思考力、表現力が必須。

長文読解は近年、和訳問題・内容説明問題を中心とする傾向にあったが、2024年度は大問Ⅰで空所補充問題が復活した。また自由英作文は大問Ⅳとしてではなく、大問Ⅱの長文読解に組み込まれた形での出題となった。これらはいずれも2019年度型の出題であった。京大の英語は毎年出題傾向の変化はあるものの、 高いレベルの読解力と、思考力・表現力が求められることに変わりはない。

*分量:減少 *難易度:変化なし(昨年度比)

 

■概要 (120分)
* 出題・解答の形式

  • Ⅰの長文読解は、和訳問題2題、空所補充問題1題が出題された。
  • Ⅱの長文読解は、和訳問題3題に加え、本文の内容に関する自由英作文が出題された。
  • Ⅲは例年通り、京大らしい和文英訳が出題された。

* 特記事項

  • 大問数は、ここ数年は長文読解2題、和文英訳1題、自由英作文1題の4題構成が続いていたが、2024年度はⅡの長文読解に自由英作文が組み込まれた3題構成となった。この構成は2019年度と同じである。
  • Ⅰの長文読解では、2019年度以前に出題されていた空所補充問題が復活した。
  • Ⅰ・Ⅱとも、2023年度に続いて内容説明問題は出題されなかった。

 

■各問の分析(難易度は京大受験生を母集団とする基準で判定しています)

大問Ⅰ:長文読解(“creativity” という言葉が表すもの)[標準]
約690語の論説文。(1)は、難語もなく構造的にもあまり複雑なところはなかった。第3文の適切な区切りを特定するには、dealing with のつながりを見抜くのがポイント。その他、自然な日本語として表現するためには、Its first known written occurrence の名詞表現を動詞的に訳したり、as far as words go の意味を汲み取って訳すといった工夫が求められた。
(2)は、creativity の類語とされるものを空所に当てはめる問題。選択肢に難しい語はなく、手がかりとなる空所前後の説明も複数の表現で言い換えられているので、丁寧に文脈を追えば解答できる。ウの説明にある pedestrian は、(3) の下線部 (b) にも登場しており、互いに参照して意味を推測することもできただろう。
(3) の第1文は、just as 〜 の後に主節が続き、exist as simultaneously の後に対照的な形容詞のセットが4つ並んでいる。この部分は知らない語があっても、対比された語から推測が可能である。第2文は constellation、connotation が難語。構造的にも、more than 〜 のかたまりや、in which 以下の関係詞節を自然な形で訳に組み込むのは難度が高かったと思われる。
大問Ⅱ:長文読解(マーケティングにおけるセグメンテーション)[標準]
約530語の論説文。(1)は第1文で、a segment を、to pursue という形容詞用法の不定詞と that we believe will most likely … という関係詞節が修飾しているという構造を見抜けたかどうかがポイント。
(2)は下線部全体が長い1文で、that marketers create と where people are placed … to do という2つの関係詞節が a construct を修飾しているという構造。where は制限用法だが、前から訳し下ろしてもよいだろう。based on a rough substitute … の a rough substitute は難しい表現だが、第3段落の最後の1文で We put people in boxes based on the shortcut characteristics that … とセグメンテーションを描写していることに気づくと、shortcut characteristics(近道となる特徴)に近い意味ということで内容をつかみやすかっただろう。
(3)は下線部の理由を英語で説明するというものだが、「本文にはない具体例を挙げながら」という指示があるので、実質的には自由英作文と言える。本文中には、第3段落にミニバンに乗っている Deborah の例があるので、これも参考にしながら「実際の人間がきちんとした小さな箱(=セグメント)には当てはまらない」理由としてふさわしい例を考えればよい。80語以上100語以内という語数制限で、ある程度中身のある具体例を求められているので、書き始める前に構成をきちんと組み立てておく必要があった。
(4)は、冒頭の Sounds about right, right? や Well, here’s the thing. という口語的な表現は見慣れないものだったかもしれないが、 Deborah の例から続く流れに沿った訳語を当てればよい。第4文の with great congnitive fluidity は専門的な表現で自然な日本語にするのが難しいが、文構造と単語の意味を正確に表現するようにしたい。
大問Ⅲ:和文英訳[標準]
「学ぶということ」に関する和文英訳問題で、京大の定番の出題形式であった。例年に比べて1文1文が長いため、日本文を適宜区切って英訳すると取り組みやすい。日本語特有の訳しにくい表現は例年ほど多くなかったが、「〜した分だけ…」「〜ときにこそ…」「今日の私は昨日の私よりも…」といった言い回しを、既知の構文に適切に当てはめられたかどうかが鍵となった。
その他、文章全体の主語の置き方や時制を判断する力、「それは同時に」「逆説的だが」といったつなぎ言葉を的確に用いる力も求められた。

 

■合否の分かれ目
Ⅰの長文読解は、京大としては標準的な難易度・出題構成であったため、あまり時間をかけすぎることなく、見慣れない形式の問題を含み設問数が多いⅡにかける時間を捻出することが鍵となった。2019年度以前の過去問についても演習を積んでいた受験生は、空所補充問題にも驚かずに対応できただろう。Ⅱの長文読解はマーケティングに関する文章で、受験生にはあまり馴染みのないテーマだったかもしれない。本文全体の内容を理解した上で、下線部和訳では一部の訳しにくい表現を文脈に沿った自然な日本語で表現できたかどうか、自由英作文では本文の内容をふまえた理由と適切な具体例を考えることができたかどうかがポイントであった。80~100語で具体例を交えながら下線部の理由を説明するには、高度な表現力が必須である。

 

■京大英語の要求
要求① 単語力、文法・構文力
京大入試においては、まず相応の「単語力」が前提となる。純粋な語彙の量だけでなく、複数の語義やイディオムなど、1つ1つの語彙に対する深い理解が求められ、日々の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行い、日本語と英語のどちらからでも適訳を思い浮かべられるようにしよう。「文法・構文力」も同様に必須である。これも自分に合った問題集・参考書を見つけ、早めに苦手分野をなくしておくこと。また、知識の定着だけでなく、実際に読解問題に取り組む中で構文を見抜く練習や英作文に組み込む練習も並行して行いたい。
要求② 精読力
まずは、1文ずつ英文の文構造を把握しながら正確に読む「精読力」の養成から始めよう。難関大の入試を見据えた長文読解の問題集・参考書に取り組むことが望ましい。しばらくは時間がかかっても構わないので、問題に取り組んだ後に解答を確認するだけではなく、英文中でよく理解できなかった語句・表現は辞書を引いて意味や用法をきちんと確認するようにしよう。
要求③ 表現力
近年の京大入試は出題傾向の変化が大きいが、日本語・英語両方における的確な表現力が求められることは一貫している。京大の長文読解に対応するには、文脈をふまえて正確に和訳する力と、設問の解答となる該当箇所を見つけ、適切な長さでまとめる力の両方が必要だ。和文英訳では定番の出題が続いており、日本語の難しい表現を英訳しやすい形に読み換えた上で英語に変換する練習を重ねることが大切である。自由英作文は数年前の出題が復活するなど傾向が安定していないが、どのような形式が出題されても、与えられた条件・状況を把握し、自分の意見や考え、その裏にある理由や意図が相手に確実に伝わるように的確に書く訓練をしておく必要がある。

 

■京大英語攻略のために
基礎力の完成
要求①の基礎的な部分を満たすことを目指そう。単語にしろ、文法・構文にしろ、覚えては忘れ、忘れては覚えていく地道な努力が不可欠である。また辞書を引きながら長文読解問題や英作文問題に取り組み、精読力と文法・構文を実戦で活用する力を同時に高めていこう。
レベルUP
制限時間内での解答を意識しつつ京大レベルの問題に取り組もう。読解問題では、わからない単語が出てきてもすぐに辞書で確認することはせずに、英文全体の論理展開から意味を推測する練習にも取り組むとよい。和文英訳については、日本語独特の表現を含む問題に取り組み、意味内容を大きく変えることなく英訳しやすい日本語に読み換える練習を重ねよう。自由英作文は出題変化があっても対応できるよう、さまざまな形式・語数の問題演習を積んでおきたい。
京大レベルの演習と精度の向上
最後に、京大レベルの演習に精力的に取り組み、第三者の添削を受けるようにしよう。自分が意図したことが相手に伝わらないと得点にはつながらないので、常に第三者の視点を意識することが大切である。

 

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