あめとあめ

出たばかりの新刊から保護者にも懐かしい名作まで、児童文学研究者の宮川健郎先生が、テーマに沿って子どもの本を3冊紹介していきます。 
今月のテーマは【あめとあめ】です。

 

『あめ Rain or Candy?』中面画像
『あめ Rain or Candy?』より

 

「あれっ、まあちゃん!」 
「その、ふくらんだ ほっぺ なんだか あやしいなあ」 
 まあちゃんの くちのなかで おとがします。 
 コロ、カラッ、コロ······ 
「だしなさい!」

 

ばら ばら ばらっ ばら ばらっ 
ばらっ 
ぼつんっ 
ぼつん ばらっ 
とん ととん ぼつんっ 
ばら ばら ばらっ 
かさの たいこだあ!

 


 

『あめ Rain or Candy?』書影

『あめ Rain or Candy?』
作・二宮由紀子、絵・高畠純 
理論社、2023年 
左ページのクマと、右ページのブタたちは、同じことばで表される別の状況を生きつづける。でも、最後の最後は左ページだけになって、クマもブタたちも、いっしょに描かれる。そのページの日本語と英語は、「さいこうだね Amazing!」だ。

 

『みどりいろのたね』書影

『みどりいろのたね』
たかどの ほうこ作、太田大八絵 
福音館書店、1988年 
飴だまと種たちは、暗い土のなかで、けんかをはじめる。種のひとりが「けっ、つまんないやつ!」というと、飴だまがいい返す。――「つまる やつか つまらん やつか いちど ぼくを なめてみるが いい!」なまけものの、まあちゃんが、ちっとも水をやらないものだから、のどがかわいて、おなかもすいている種たちは、とうとうメロンあめをなめてみる。――「おいしいっ!」やがて、ふしぎなことが起こる。

 

『どしゃぶり』書影

『どしゃぶり』
おーなり由子 ぶん、はた こうしろう え 
講談社、2018年 
雨は、ひどいどしゃぶりになる。――「そらから じめんから いろんな おとが する。いっぱい おとが ある。あめが うたってるんだ!/ぼくのところに あめのこえが ふってくる。」

 

宮川先生プロフィール写真

宮川 健郎 (みやかわ・たけお)


1955年東京生まれ。立教大学文学部日本文学科卒。同大学院修了。現在、武蔵野大学名誉教授。大阪国際児童文学振興財団理事長。『現代児童文学の語るもの』(NHKブックス)、『子どもの本のはるなつあきふゆ』(岩崎書店)、『小学生のための文章レッスン みんなに知らせる』(玉川大学出版部)ほか、著書・編著多数。

 

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