今回は、中学受験を考えている皆さまに、ぜひ押さえておいていただきたい中高一貫校のポイントを解説します。
中高一貫校
「中高一貫校」って、どんなところ?
「6年一貫」で学習する意味
すべての中高一貫校に共通していることは「中学・高校の6年間を通して一貫したカリキュラム」となっていることです。よほどのことがない限り、ほぼそのまま高校に内部進学できます。6年間のなかで効率よく、それぞれの学校で大切にしている「理念」を重視した個性豊かな教育を行っていることが、中高一貫校のいちばんの特徴です。
一口メモ:国立中学校は「中高一貫校」ではない?
国立中学校は、一部の「中等教育学校」を除き、厳密には中高一貫校ではありません。国の定める学習指導要領をベースにしながらも、公立中学校にはないような実験的で先進的な授業を取り入れているのが特徴です。
国立大学附属中学校から附属高校へは、「連絡進学」という制度で進学します。内部生向けの試験や、中学3年間の成績などが総合的に評価され、進学できるかどうかが決まります。学校によっては4~6割程度しか進学できないところもあれば、筑波大学附属駒場のように、希望者はほぼ全員が進学できる学校もあります。
中高一貫校の学習内容
次に押さえておきたいことは、中高一貫校は学校によって教育内容がまったく異なるということです。
中高一貫校の多くは、とくに数学や英語でいわゆる「先取り」方式のカリキュラムを組むことが多いです。中学3年間のうちに高校の学習内容に入り、高校3年生の1年間は大学受験に向けた演習時間を増やすことで、高い合格実績をあげています。この傾向はとくに系列大学のない進学校で強いようです。
一方で、大学附属校など、学校によっては、中学段階では「基礎・基本」を大切に、体験を重視しながらじっくり指導を行う学校もあります。また、充実した設備や特色のあるカリキュラムや行事など、生徒の興味や関心を引き出す多様な授業が多いことも、私学教育の一つの特色となっています。
さらに、キリスト教や仏教など、宗教を母体とする学校の場合には、それぞれ独自の人間教育を行っており、宗教や宗派の違いが学校の校風や教育内容にも反映されます。
一口メモ:宗教校って、どんなところ?
キリスト教や仏教など、宗教を母体とする学校の場合、それぞれの宗派の教えを基盤とした独自の人間教育を行っており、多くは「宗教」や「聖書」「道徳」といった名称で、宗教について学ぶ時間があります。さらにキリスト教系の場合、カトリックは生活指導に厳しい学校が一般的、プロテスタントはのびのびした学校が多いなど、宗派の違いが校風にもあらわれることがあります。また、宗教団体が母体であっても、宗教色がほとんどない学校もあります。
学校ごとの個性を理解することが、受験準備の第一歩
今回ご説明した内容は、これから中学受験準備の手始めとして皆さまが行っていく「志望校検討」の基礎となるものです。多くの学校では、自校のことをよく理解してもらうために、学校説明会やオープンキャンパスなど、さまざまなイベントを行っています。また、その学校が力を入れている学校行事を見学に行くことも、学校のことを知るよい機会となるでしょう。
※学校説明会・オープンキャンパスなどのイベントの開催有無や参加方法については、各学校のWebサイトでご確認ください。
次回の「受験サポート」は12月25日(木)更新予定です。