合格を勝ち取る併願校選び(1)準備編

6年生前半までに行っていただきたい受験パターンの検討と併願校選びのポイントを、(1)準備編、(2)実践編の2回に分けて解説します。
連載「模試活用のABC」でも毎月模試についてご紹介していますが、6年生の4~6月は「志望校選定」を視野に入れた模試が各地で行われるなど、志望校をより具体的に選定していく時期になります。もう併願校まで考えないといけないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、6年生にとっては夏までが学校をじっくりと検討できるラストチャンスです。

 

「志望校選定シート」を使って志望校を整理しましょう!

まず行っていただきたいのは、今、志望校として考えている学校すべてをリストアップし、比較をすることです。そこで今回は「受験準備に役立つツール」にある「志望校選定シート」を使ってみましょう。
このシートでは、性別や宗教・系列大学の有無・試験内容・偏差値など、さまざまな切り口で学校を比較・検討できるようになっています。まずは今の段階で検討している学校の詳細をひととおり書き出してみましょう。一つのシートに学校を並べてみると、ご家庭ごとの外せないポイントなどが見えてくるものです。
早速以下の記入方法を見ながら実際に書き込んでみましょう。
(記入シート【PDF版】【エクセル版】

 

「志望校選定シート」の記入方法

※学校案内・入試要項は、ほとんどの学校がWebサイトで公開しています。項目によっては今年度のものが発表されていないこともありますが、そのなかでも必ず最新のものをチェックしましょう。

1.気になる学校・検討中の学校名を記入する
2.別学or共学、宗教、系列大学などを「学校案内」で調べて記入する
3.試験教科・試験回を「入試要項」で調べて記入する
4.学校ごとの「偏差値」を大手塾や模試主催団体が公表している偏差値表で調べて記入する
5.保護者の方のイメージでよいので、お子さまの入りたい希望を示す順番を記入する
6.「偏差値」と過去の模試の結果などをもとに、受験におけるその学校の位置づけを記入する
7.記入した内容をもとに、比較検討の判断材料になりそうなことを「備考」に記入する

 

ひととおり学校を書き出したら、次の「志望校・受験パターンチェックリスト」にあてはまるものがないか、確認してみましょう。

今の志望校でだいじょうぶ?
志望校・受験パターンチェックリスト (6年生版)

「難関校」ばかりを選んでいる、偏差値が偏っていないか
例:名前を知っている学校を中心に偏差値が65~70の学校ばかりを選んでいる、など。 偏差値は幅広くとって検討しましょう(±10~15くらい)。

入試日程が重複していないか
(※現段階では前年度の日程を参考に考えてみましょう)
同じ都道府県の難関校は入試日程が重複していることがよくあります。今後のお子さまの成績の推移なども参考に、どちらを選ぶか引き続き考えていきましょう。

通学時間が長すぎないか
長時間の通学は負担です。片道1時間30分程度までを一つの目安にしましょう。 学校によっては、通学区域に制限を設け、遠方からの通学を認めないところがあるので、注意が必要です。

学校説明会に参加したことがない、もしくはパンフレットも見たことがない学校が含まれていないか
シートをみながら、お子さまの進学先としてどんな条件を優先したいか、ご家庭の方針を決めていきましょう。まだ情報収集が不十分な学校については、検討した条件と照らし合わせながら、候補として加えるかどうかを検討していくとよいでしょう。

子どもの意見を聞いていない学校が含まれていないか
お子さま自身の気持ちを聞いておくことが大切です。一緒に資料を見たり、学校に足を運んだりして、お子さま自身の感触を聞いておきましょう。 相談の結果は、「志望校選定シート」の「子どもの評価」に反映させておきます。

 

後悔しない「志望校選び」のために……

周囲の評判やイメージで学校をピックアップすると、どうしても最初は「難関校」ばかりを選んでしまいがちです。しかし、難関校どうしは入試日程が重複していることが多く、併願すること自体が難しい場合があります。さらに、今後の成績やお子さまの気持ちしだいで志望校を変更する可能性もありますから、お子さまの成績を見て合格圏内と思われる「第2志望」「第3志望」校を考えておくことが大切です。少し厳しい話になりますが、実際の入試結果を見ると、この「第2志望」「第3志望」に進学する生徒は少なくないのです。併願校だからとおろそかにせず、お子さまを通わせるに足る学校かどうか、しっかり検討して選んでいただきたいと思います。

 

中学受験の世界では、公開模試などの結果による偏差値のプラスマイナス10前後の学校が受験対象になるといわれています。もし、お子さまの現在の偏差値が志望校に届いていたら、安心して学習を進めつつ、チャレンジ校としてもうワンランク上の学校の受験も検討しましょう。お子さまの現在の偏差値と志望校との間に、大きな開きがある状態でも、今後の頑張り次第でぐっと成績が伸びる可能性があるため、今はまだ第1志望を変更する必要はありません。高い目標に向けてチャレンジしていきましょう。とはいえ、第1志望の合格が確実でない場合は、第2、第3志望校を堅実路線で考えるといったことも検討する必要があるでしょう。

「安全校」と思っていた学校が実は第1志望校と偏差値が3~4くらいしか変わらなくなっていた、ということもありますから、模試などでもらう予想偏差値表なども参考にしながらバランスよく考えたいものです。また、知名度にかかわらず見ていくと、偏差値が多少低くても丁寧な指導で実績を上げているよい学校はたくさんあります。固定のイメージから離れて、難易度と通学圏を基準に学校を選び、そのなかで校風や指導方針などがご家庭の考え方にあてはまる学校がないか、探してみましょう。

早速、志望校をもう一度検討してみましょう。

  • 今まで調べた学校を「志望校選定シート」に書き出して比較検討
  • 書き出した学校が難関校ばかりになっていないかなど、チェックリストで確認する
  • 第2・第3志望校として、合格圏内の学校を考える

偏差値は大手塾・模試主催団体のホームページから見ることができます。
四谷大塚偏差値一覧

次回の「受験サポート」は、3月27日(木)更新予定です。
また、「合格を勝ち取る併願校選び(2)実践編」は4月24日(木)更新予定です。

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