小学校でも英語の授業が開始され「授業ではどんな単語を習う?」「覚えておいた方が良い単語は何か?」など、気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では小学校の英語教育における単語の扱いを解説。また、おすすめの学習法についても紹介します。
小学校で扱う英単語は
600~700語
名詞(apple, zoo)・動詞(go, see)・形容詞(happy, delicious)・副詞(always)と幅広く扱い、過去時制で用いられる単語(was, went)も一部見られます。
扱う単語の多さに驚く方もいるかもしれませんが、注目すべき点は「受容語彙」「発信語彙」という考え方が取り入れられている点です。
受容語彙・発信語彙って?
あまり聞きなれない言葉だと思いますが、受容語彙・発信語彙とはいったい何なのでしょうか。
学習指導要領解説には以下の記載があり、これが受容語彙・発信語彙の考え方の元になっています。
小学校段階では、初めて外国語に触れるため、「聞くこと」、「話すこと」と「読むこと」、「書くこと」とでは求めるレベルが違うことを踏まえると、聞いて意味を理解できるようにする語彙と、話して表現できるようにする語彙が中心となると考えることができる
引用:小学校学習指導要領解説、太字は筆者によるもの
具体例を挙げて説明すると、“April”という単語を聞いたり、読んだりしたときに「4月のことだ」と分かるのが受容語彙であり、「“When is your birthday?”(誕生日はいつですか?)」などと尋ねられたときに「“April”(4月)」と話せる、書けるのが発信語彙です。
「受容語彙」と「発信語彙」の違い
受容語彙
聞いたとき・見たとき・読んだときに、意味を理解できる単語
発信語彙
話すこと・書くことができる単語
すべての単語を覚える必要はない?
小学校で扱う英単語は600~700語と説明しましたが、この数は受容語彙と発信語彙を合わせた数になっています。
それでは、小学校で扱う600~700語のなかに話せる・書けるを目標とする発信語彙はどの程度含まれているのでしょうか。
受容語彙・発信語彙は明確に定められているわけではないので、今回Z会は独自の分析を行いました。
「登場頻度が高い単語 = 使いこなせることが望ましい単語(発信語彙)」という考えのもと、ほぼすべての検定教科書にくわえて、英語教育の国際標準であるCEFRレベルで定義される語彙リスト※から共通して登場する単語を抽出しました。
その結果、600~700語のうち発信語彙といえる単語は約260語でした。
※作成された教科書コーパス(中国・台湾・韓国の小中高の主力教科書をCEFR基準に大まかに分類したもの)をベースに、各国・地域のCEFRレベル・テキストに取り扱われている共通語彙を抽出したもの。
引用元:『CEFR-J Wordlist Version 1.6』 東京外国語大学投野由紀夫研究室. (URL: https://www.cefr-j.org より2020年4月ダウンロード)
約260語の一部を紹介!
【動詞】
eat, play, run, study, want など
【形容詞・副詞】
fun, good, usually など
【前置詞】
at, in, to など
【名詞】
スポーツ
basketball, rugby, soccer, table tennis など
身の回りにあるもの
chair, clock, desk, pencil, notebook など
施設・建物
park, post office, station, supermarket, zoo など
名詞にはこの他にも、曜日、色や教科に関する単語が多く含まれています。
例えば、さきほど挙げた“April”(4月)の場合で考えてみます。4月生まれのお子さまにとっては自己紹介などで使用するので発信語彙となります。一方、4月生まれ以外のお子さまにとっては、他人の自己紹介を聞いたときやカレンダーを見たときに理解できればよい受容語彙となります。
小学生の間は基本的にお子さま自身に関係する単語が発信語彙となりますが、中学校以上の学習になると普遍的な話や他者の紹介などに話題が広がるため、受容語彙だった単語を発信語彙として身につけていくことになります。
おすすめの英単語学習法
小学校で扱う英単語は600~700語と説明しましたが、どのように学習していくのがよいのでしょうか。
日本語にはない英語特有の音に慣れるだけでなく、大人になってからでは聞き分けにくくなる英語の微妙な音の違いを身につけるためにも、「聞く」学習を何よりも大切にしましょう。
まずは受容語彙を増やしていく
すべての単語を「話せる・書ける」状態にしたいと考える保護者の方もいるかと思いますが、まずは「聞けば分かる、見れば分かる」状態の単語(受容語彙)を増やしていきましょう。完全に知らない単語を発信語彙として身につけるよりも、受容語彙として知っている単語を発信語彙として身につけるほうが容易だからです。
また、小学校で扱う基本的な単語は中学校の学習で出合う機会も多いため、小学生で「話せる・書ける」を見送った単語だとしても学習を続けていくなかで話せる・書けるようになる可能性は高いです。とはいえ、学年が上がったときにスムーズに身につけるためには小学生の段階でしっかりと音に慣れ親しんでおく必要があります。
「書く」だけではなく「話す」練習も
単語を発信語彙として身につけることを目指す場合は、単語をなぞる、単語をノートに書き写すといった作業を行います。
小学生の段階では「書き写す」までが目標とされていますが、中学生以降で書けるようになるためにもその単語のつづりにしっかりと慣れ親しんでおきましょう。
学習アドバイス
一文字一音の日本語と異なり、英語の単語には“knife”のkなど発音しない文字を含むものがあり、つづりの複雑なものもあるので、音を聞きつつ、つづりをしっかり確かめながら書いていくといいでしょう。
「何でこの音がこのつづりになるの?」という疑問は、英語への興味を育むきっかけにもなります。
また、発信語彙として使いこなすためには、「書く」のほかに「話す」練習も大切です。
「相手に自分のことを伝える」が小学生の英語アクティビティの中心ですので、自分のことを伝える表現の中で、その単語を実際に声に出してみるのがおすすめです。発信語彙としてよりしっかりと定着し、その単語を自分のモノにできます。
学習アドバイス
<“April”の場合>
△:“April”のみを書き写し、声に出す。
◎:「When is your birthday? ―― My birthday is April 2nd.」という表現のなかで、“April”という単語の音を聞きながら、書き写したり声に出す。
英単語学習におすすめのZ会教材(通信教育・問題集)
単語学習におすすめのZ会教材(通信教育・問題集)をご紹介します。どちらの教材も単語学習で大切な「音を聞く」ことを重視した設計で、しっかりと単語に慣れ親しむことができるので、今後の英語学習にスムーズに繋がっていきます。
Z会の通信教育
教材では、該当の単語を含む英文をストーリーの中で聞き、その後単語の学習に展開していきます。聞き取ることができない単語を書くことはできませんので、まずは音声を何度か聞いて音に慣れ、次に音と文字を一致させていくことをねらいとしています。
【STORY】
英文に新出単語を掲載。まずは、ここで語順や使い方を確認します。
【WORDS】
この部分では、以下の手順で単語の学習を進めます。
「文字をなぞる → 余白に書き写す → お手本を聞き、繰り返して言う」
音を聞いて文字にするときに、注意すべきポイントを明示。今回はwhiteのiが「アルファベットの音と同じ読み方をする」ことに注意を向け、つづりのミスを防ぎます。音声では、発話する際に注意するポイントや、英語と日本語の音の違いなどにふれ、英語で発音することへの興味を引くようにしています。
市販問題集『グレードアップ問題集』
通信教育の他にも『グレードアップ問題集』をご用意しています。特に、小学生のうちに多くの単語を発信語彙として身につけたい方におすすめです。
小学生にとって身近な場面設定で、よく使用される表現のなかで単語を学んでいきます。
Z会の通信教育教材と同様に、「聞く」を中心とした学習に取り組めます。
今回は、小学生向けおすすめの英単語学習法と、そうした学習法で単語を身につけることができるZ会教材をご紹介しました。
ぜひ、参考にしてみてください。