出題校
東京都立の中高一貫校では、東京都の共同作成問題と、学校独自の問題を組み合わせて、適性検査が実施されます。
各学校の問題は、次の表の通りです。
(共同=東京都共同作成問題、独自=学校独自の問題)
※表は2025年度の問題です。
| 桜修館中等教育学校 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 大泉高等学校附属中学校 | |||||
| 小石川中等教育学校 | |||||
| 立川国際中等教育学校 | |||||
| 白鷗高等学校附属中学校 | |||||
| 富士高等学校附属中学校 | |||||
| 三鷹中等教育学校 | |||||
| 南多摩中等教育学校 | |||||
| 武蔵高等学校附属中学校 | |||||
| 両国高等学校附属中学校 |
| 桜修館中等教育学校 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 大泉高等学校附属中学校 | |||||
| 小石川中等教育学校 | |||||
| 立川国際中等教育学校 | |||||
| 白鷗高等学校附属中学校 | |||||
| 富士高等学校附属中学校 | |||||
| 三鷹中等教育学校 | |||||
| 南多摩中等教育学校 | |||||
| 武蔵高等学校附属中学校 | |||||
| 両国高等学校附属中学校 |
全体的な傾向
適性検査Ⅰ
例年通り、読解問題と作文が出題されました。作文は2つの文章から読み取った内容と自分の考えを適切に関連付けて書くことが重要でした。
問題の構成や傾向について、前年度からの大きな変化はありませんでした。
適性検査Ⅱ
例年通り大問が3つの構成で、大問1は平面図形や式と計算の問題、大問2は茶葉の収穫方法のちがいや海外の人から見た日本茶の魅力についての問題、大問3はものの落下についての実験問題が出題されました。
問題の構成や傾向について、前年度からの大きな変化はありませんでした。
問題ごとの分析
適性検査Ⅰ(45分)
共同作成問題(国語分野)
〇テーマ:
何かを追いかけたり、探し求めたりするときに必要な力
〇出典:
【文章1】赤木明登「工藝家の夢」による
【文章2】橋本幸士「物理学者のすごい思考法」による
〇内容
2つの文章とそれらをふまえた会話文の読み取り。作文(400字以上440字以内)。
◆概要
問題1
文章1の傍線部について説明した文の空欄に、文章1からぬき出した語を入れる問題です。
空欄がふくまれる文の内容、傍線部より前から、という条件、指定された字数に注意して、的確にぬき出しましょう。
問題2
文章2の傍線部について説明した文の空欄に、文章2の内容をふまえて適切な言葉を入れる問題です。
筆者がどういうことを指して「タイムマシン」と言っているのかを的確につかむ必要があります。
傍線部直後の「タイムマシンは未来にも行ける」が少し気になった人もいるかもしれませんが、ここは素直に“過去へ行ける”という特性をふまえておくのが無難でしょう。
問題3
文章1、文章2で読解した内容や、それらについて述べた会話文をふまえて、何かを追いかけたり、探し求めたりするときにはどんな力が必要かを、400~440字で作文する問題です。
あたえられた条件に沿ったわかりやすい文章を書くことが重要です。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
問題3
何かを追いかけたり、探し求めたりするときにはどんな力が必要かを、400~440字で作文する問題です。
設問文を読むと、「あおいさん、かおるさんの考え以外」で、どのような力が必要だと考えるかを書くこと、が第一の条件ですが、さらに前提として、それが「何かを追いかけたり、探し求めたりするとき」に必要なものであることを忘れないようにしましょう。
したがって、まずは文章1・文章2の中から読み取れる「何かを追いかけたり、探し求めたりするとき」に必要な力から、「あおいさん、かおるさん」が挙げた力を除いて、自分はどの力を取り上げるかを考えることになります。
第二の条件は、「その力をつけるために、学校生活をどのように過ごしていくか」を書くことです。
文章1・文章2のいずれかの内容にふれる、という条件もありますが、これは第一の条件・第二の条件のどちらかで満たせばよいでしょう。
第二の条件では「どのように」と問われていますが、こういうときはできるだけ具体的に書く必要があります。そのための440字と考えてください。
読み手があなたの取り組みを具体的にイメージできるように書くことが高得点のポイントです。
適性検査Ⅱ(45分)
共同作成問題(算数分野)
〇テーマ:
平面図形、式と計算
〇内容
折り紙を折る手順から、折り筋を想定して文字を書く位置を考えたり、ぼ金箱に入っている合計の金額が1500円以上になる場合について、各こう貨の枚数とそのときの合計金額を考えたりする問題です。
◆概要
問題1
問題であたえられたきまりにしたがって、折り筋となる線と「ありがとう」の文字を解答らんの図に書き入れる問題です。紙を広げたときに文字がどの区画に移動するか、手順5から1まで1つずつ丁寧に追うことが大切です。
問題2
ぼ金箱に入ったこう貨の総重量から、中身の金額を考える問題です。5円玉の重さ(3.75g)に着目して枚数が偶数であることを論理的に説明した上で、合計1500円以上となるこう貨の組み合わせを、各こう貨の重さを基に計算して導き出します。
なかでも、こう貨の組み合わせを考える問題では、5円こう貨と100円こう貨の枚数を主軸に、試行錯誤して考える必要があります。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
問題2
合計1500円以上となるこう貨の組み合わせを考える際、主に5円こう貨と100円こう貨の枚数に着目して考えることがポイントです。
まず、お金が入ったぼ金箱と空のぼ金箱の重さの差から、こう貨の合計の重さが、100.5gと計算されます。
そして「表1の各こう貨の重さ」、「ぼ金箱に全種類のこう貨が入っている」という条件をふまえると、5円こう貨の枚数が奇数のとき、こう貨の合計の重さは100.5gにならないとわかります。
これより、ぼ金箱に入っている5円こう貨が2枚(最も少ない枚数)として、表1のこう貨の中で最も重量がある100円こう貨が最大で何枚あるかを考えることが、こう貨の組み合わせを最短で考える鍵になります。
「5円こう貨2枚分の重さ 3.75×2=7.5(g)」と「こう貨の合計の重さ100.5g」の小数点以下の数字(5)、「表1の各こう貨の重さ」から、10円こう貨が偶数枚で、100円こう貨の枚数が5の倍数になることに注意して、こう貨の組み合わせを探しましょう。
この問題のように、式と文章を用いて記述する問題は出題されやすいので、説明を簡潔に記述する演習を積んでおきましょう。
共同作成問題(社会分野)
〇テーマ:
茶葉の収穫方法のちがいや海外の人から見た日本茶の魅力について
〇内容
会話文や資料、図から日本における茶摘み機導入の地域的差異について考える問題や、海外の人に日本産抹茶の魅力をどのように工夫して伝えるかを考える問題です。
◆概要
問題1
地域によって茶摘み機の導入割合が異なっている理由を、資料2、資料3から読み取る問題です。問題文にもあるように、「地形」と「摘み採り方」の関連について資料から読み取る力が重要です。
問題2(1)
2010年と2024年の日本茶の生産量に対する海外への輸出量の割合を計算する問題です。図2のグラフにそれぞれの年の日本茶の生産量と輸出量の数値が書いてあるので、落ち着いて計算し、必ず正解しておきたい問題です。
問題2(2)
日本産抹茶の魅力を海外の人に伝えるには、どのように工夫するべきか、自分の考えを書く問題です。資料から読み取ったことを整理し、自分の言葉で表現する力が重要です。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
問題1
資料1にあるように、茶摘み機の導入割合は、地域によって大きく異なり、全国の割合に比べて鹿児島県、静岡県は茶摘み機の導入割合が高く、京都府は割合が低いことがわかります。また、全国より高い割合の鹿児島県と静岡県でも、差があることがわかります。
地域によって、茶摘み機の導入割合が異なる理由について、まず地形に着目して資料2を見てみます。資料2から、茶畑の面積に対する急傾斜の割合が、静岡県や京都府は約15%であるのに対して、鹿児島県は斜面がほとんどないことがわかります。ここから、急傾斜が少ない地形が茶摘み機を導入しやすいことがわかります。
つぎに、茶畑の面積に対する急傾斜の割合が高い静岡県と京都府でも、茶摘み機の導入割合にちがいがある理由を考えるため、資料3を見ます。資料3からは、京都府では茶葉を手で採る伝統的な摘み採り方が今でも行われ、高級茶である「玉露」を主に製造していることが読み取れます。
以上のことから、茶摘み機の導入割合が地域によって異なっているのは、その地域が茶摘み機の導入しやすい急傾斜が少ない地形であるかや、摘み採り方のちがいが関係していることがわかります。
共同作成問題(理科分野)
〇テーマ:
ものが地面に着地するまでの時間の長さ
〇内容
アルミニウムでできたカップやカエデの種が落下する速さについて、実験の結果から分析する。
◆概要
問題1
「上から見たときの面積が同じならば重いものが先に着地する」という太郎さんの予想について、予想どおりになる場合と予想どおりにならない場合があることを、表のア~クの中から3つだけを選び、説明する問題です。
予想どおりになる場合とならない場合の両方を3つの記録から説明する必要があるため、両方に使える記録を1つ選ぶことがポイントです。
問題2
カエデの種が回転を始めた後の落下する速さについて、種Aと種Bでどちらのほうがおそいかを考える問題です。
カエデの種AとBは、回転を始めるまでに落下したきょりが異なるので、表の数値をそのままくらべることはできないことに注意しましょう。
◆問題ピックアップ!
※差がついた1問や必ず得点しておきたかった問題などをご紹介します。
問題2
カエデの種が回転を始めた後の落下する速さを、実験3と実験4の種が着地するまでの時間の差から求めることが、この問題の最大のポイントです。
問題文から、どちらの実験でも回転を始めるまでに落下したきょりは同じだとわかります。
これは、実験3で180cmの高さから種をはなしたとき、はじめの100cm分については、実験4とまったく同じ動きをしているということ意味します。
つまり、実験3の時間から実験4の時間を引いた時間が、「回転した状態で80cm落下した時間」であることがわかります。
これを計算すると、種Aは0.9秒、種Bは1.1秒となり、同じ80cmを落下するのに時間がより長くかかっている種Bのほうがおそいといえます。
とくに伸ばしておきたい力
東京都立では、「5つの力」をバランスよく伸ばすことが求められますが、より伸ばしておきたい力として、情報整理・運用力、論理的思考力、課題解決力、表現力が挙げられます。
・適性検査Ⅰ
論理的思考力、表現力が必要とされる問題です。
指定された字数の中で、あたえられた文章から読み取った内容をわかりやすく伝える力と、自分の考えを伝えられる表現力を伸ばしておきましょう。
・適性検査Ⅱ
【大問1】
情報整理・運用力、論理的思考力が必要な問題です。
問題文の条件を整理して、順序立てながら考察する力をつけておきましょう。
【大問2】
表現力、情報整理・運用力が必要な問題です。
資料から読み取った情報からわかることをわかりやすく伝える力をつけておきましょう。
【大問3】
論理的思考力が必要な問題です。
実験の結果を正しく読み取り、考察できることを整理して、過不足のないように説明できる力を身につけておきましょう。
おすすめの学習法
教科知識をそのまま問う問題は出題されません。適性検査型の出題に慣れ、解き方を身につけておく必要があります。そのためには、適性検査型の問題にたくさん当たっておくことが大切です。
また、適性検査Ⅰだけでなく、適性検査Ⅱでも文章で説明することが求められます。そのため、簡潔に文章でまとめる練習、他者に伝える練習もしっかりしておくとよいでしょう。
問題ごとに、おすすめの学習法を紹介しますので、参考にしながら学習を進めていきましょう。
・適性検査Ⅰ
読み取った内容や自分の意見の中で作文に必要なポイントをまとめ、全体の構成のメモをつくる練習をしましょう。
そのメモをもとに指定の字数に合わせて作文することで、だれが読んでも論理的にわかりやすい文章を作ることができます。
Z会の公立中高一貫校作文講座の9月号では、二つの課題文をふまえて作文を書くことを学びます。
・適性検査Ⅱ
【大問1】
会話文や図などからわかる条件を使って論理的に考える練習をしましょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生11月号では問題文で示されている条件を整理して、答えの候補を書き出したり、条件に当てはまるかどうかを検証したりする問題に取り組みます。
【大問2】
複数の資料から読み取った情報をもとに、問われている内容について説明するという問題形式に慣れておく必要があります。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座6年生7月号では、同じ問題形式で練習ができます。時間を計り、スピード感をもって解く練習もできるとよいでしょう。
【大問3】
さまざまな実験・観察問題に取り組み、結果から考察する力を高めましょう。
また、身のまわりのものや現象が題材となることも多いので、普段の生活で疑問に思ったことは、積極的に調べてみるとよいでしょう。
Z会の公立中高一貫校適性検査講座5年生12月号、6年生8月号の「身のまわりの科学」の回では、身のまわりの現象がどういうしくみで起こるのか、実験を通して考える問題に挑戦します。
