早稲田大学入試から紐解く「総合型選抜」の基本情報

近年、大学入試は多様化しており、高校での成績や課外活動が重視されることもあります。今回は早稲田大学の総合型選抜の制度を具体例に、総合型選抜を使用しての大学進学を考えている高校生の皆さんに、どのような備えが大切かを解説します。
※本記事は早稲田大学より発表されている2023年度入試の情報に基づいて作成しています。最新情報は、早稲田大学の公式ホームページにてご確認ください。

早稲田大学の「総合型選抜」とは

早稲田大学の入試制度は大きく分けると、以下のラインナップになっています。

  • 一般選抜
  • 大学入学共通テスト利用入試
  • 総合型選抜
  • 英語による学位取得プログラムへの入学試験
  • 学校推薦型選抜
  • 帰国生・外国学生を対象とした入試
  • その他の入試(附属校・系属校からの進学、eスクール、社会人入試など)

多くの学生が受験する一般選抜・大学入学共通テスト利用入試については、別の記事(早稲田大学入試基本情報)で触れていますので、今回の記事では「総合型選抜」を取り上げます。
早稲田大学の公式ホームページでは、総合型選抜について以下のように説明されています。

書類審査、筆記審査、面接審査など複数の審査を組み合わせて志願者の能力を総合的に評価する方式で、制度によって学位取得に用いる言語、評価要素や組み合わせが異なるほか、出願資格もそれぞれ設定されています。

試験の詳細は学部により異なりますが、以下の点はある程度共通しています。

  • 従来の学力試験では測りにくい「志望動機」や「資質」「適性」などを評価する試験であること
  • 高校時代の学習に対する姿勢や活動実績が重視されること

つまり、「志望学部のために、高校生活でなにをしてきたか」や「高校生活に真摯に取り組んでいるかどうか」などが評価されることになります。高1・高2生の段階から、志望学部を見据えて、日々の積み重ねを続けていくことが重要です。

早稲田大学各学部の「総合型選抜」の詳細

早稲田大学には多くの「総合型選抜」があります。今回はその中からいくつかを取り上げて、受験のポイントを確認していきましょう。
※その他の選抜制度、より詳しい試験内容は、早稲田大学入学センター「総合型選抜」のページでご確認ください。

新思考入試(地域連携型)
※2024年度入試(2024年4月入学者募集)より、「地域探究・貢献入試」に名称変更

<募集学部>
法学部、商学部、文化構想学部、文学部、人間科学部、スポーツ科学部

<試験内容>
1次選考:書類審査
2次選考:論理的思考力を問う総合試験(筆記)
最終選考:共通テスト受験結果による合否判定

<入試の特徴>
地域貢献への意欲が重視される入試制度です。入学後には所属各学部での学びに加えて、地域でのワークショップや体験プログラムなどにも参加し、実際の地域社会に関わりながら学びを深めます。
すべての都道府県からの受け入れが目標とされているため、志願者が少ない都道府県の高校生は合格確率が相対的に高くなる可能性があります。

<受験のポイント>
出願の際に、A4用紙4枚分の「課題レポート」が必須です。課題レポートの内容は、地域貢献に対する課題意識や実際に行った活動、大学入学・卒業後の展望などとなっています。
日頃から地域貢献の意識を持って活動し、その経験や得た知見を文章でまとめることが必要です。

 

社会科学部 全国自己推薦入試

<募集学部>
社会科学部

<試験内容>
一次選考:書類審査
二次選考:小論文および面接試験

<入試の特徴>
高校時代の自分自身の活動についてアピールし「自分自身を推薦する」入試制度です。受験勉強に力点をおいてきた人とは一風異なった「+αの個性」を持つ人が対象です。

<受験のポイント>
「志望理由書」に加えて、高校における活動を「活動記録報告書」として提出する必要があります。活動の一例としては、クラブ活動や生徒会活動、資格取得(語学、財務、会計など)が挙げられています。ただ単に熱心に取り組むだけでなく、なんらかの成果を上げていることが必要になります。
また、「高校における全体の評定平均値が4.0以上」が出願資格の1つとされています。基本的な勉学の充実は大前提として、+αが求められている点に注意が必要です。

 

国際教養学部 AO入試

<募集学部>
国際教養学部

<試験内容>
書類審査および筆記審査
※「書類審査」のみの選考は行わず、出願者全員が「筆記審査」の対象となります。

<入試の特徴>
学力・知識のみならず、問題解決や思考力・表現力、行動力なども評価対象とする試験です。学力面を評価の中心に据えつつ、高校での国際体験や志望動機などが評価対象とされます。

<受験のポイント>
「中学卒業以降の国際体験」や「中学卒業以降に一番力を入れて取り組んだこと」を出願書類に記載する必要があります。それぞれ500字、300字と比較的少ない文字数でまとめる必要があり、端的にわかりやすい文章を書く力が必須です。
また、筆記審査では、与えられた資料を理解し分析したうえで自分の考えを表現する「Critical Writing」が課されます。読解力と表現力を高めておくことも重要です。

 

先進理工学部 特別選抜入試

<募集学部>
先進理工学部

<試験内容>
一次選考:書類選考
二次選考:面接試験

<入試の特徴>
「数学オリンピック」「化学グランプリ」「情報オリンピック」「高校生・高専生科学技術チャレンジ」「日本学生科学賞」「日本生物学オリンピック」「物理チャレンジ」での実績を有する高校生を対象とした入試です。

<受験のポイント>
上記の各大会での実績があれば、書類選考と面接試験のみで合格できる可能性があります。また、大会参加実績は他の総合型選抜でもアピール材料になるほか、大学卒業後の就職活動でも通用する貴重な経験となるので、チャンスがあればぜひ参加しましょう。

 

人間科学部 FACT選抜入試

<募集学部>
人間科学部

<試験内容>
一次選考:書類審査
二次選考:論述試験、面接試験

<入試の特徴>
「対話」「論理」「表現」「分析」「省察」の5つの力をキーワードとして、事前課題による書類審査や論述試験、面接試験で総合的に評価されます。高校における評定平均値も出願資格の1つとなっており、中でも理科と国語に関しては4.1以上の評定平均値が求められます。

<受験のポイント>
FACT選抜入試は、2023年度より入試区分が学校推薦型選抜から総合型選抜に変更され、学校長からの推薦・推薦状が不要となり、出願の可能性が広がりました。裏を返せば、自己アピールの重要性が高まることになります。
また、二次選考の論述試験では「数量的データの分析・論考・表現」が課されるため、データ処理に関する対策も必要です。早稲田大学人間科学部の「入学試験情報」ページでは、過去の事前課題・論述試験などが公開されているので、確認しておきましょう。

※その他の選抜制度、より詳しい試験内容は、早稲田大学入学センター「総合型選抜」のページでご確認ください。

「総合型選抜」のために高校生がやるべきこと

ここまで早稲田大学の入試制度の情報を整理してきました。
大学・学部の特色はありますが、総合型選抜試験の対策として、共通して大切なことも見えてきました。
最後に、高校生のみなさんが今なにをすべきかをまとめておきましょう。

  1. 高校での日々の勉強にしっかりと取り組む。
    総合型選抜では、「高校での全体の評定平均値」を出願条件とするものも多く、日々の勉強にしっかりと取り組み、学校で好成績をとることは大前提となっています。高校での履修科目は入試で使わない科目も含めてバランスよく学習を進めておきましょう。
  2. 記述力を高める。
    多くの総合型選抜では、レポートや論文試験が課されます。限られた文字数・限られた時間で、自分の経験や考えが伝わる文章を書くためには、高校の早い段階から記述対策を積んでおくことが必要です。学校の提出課題やZ会の添削指導などを活用して記述力を高めておくことは、一般選抜にも大いに役立ちます。
  3. 興味のある事柄について自分なりの意見を持ち、行動する。
    授業や日常生活で興味をもった事柄については、積極的に探究活動に取り組んでみましょう。文献やインターネットで情報を集めたうえで、「こうしたらよりよくなる」や「自分ならこうする」など自分なりの意見をもつことで、思考力が身につきます。そして、考えたことを実際の行動に移すことができれば、入試でのアピール材料にもなりますし、その後の人生においても貴重な経験を積むことができるはずです。

これらの基本的対策は、学習習慣や学習姿勢の面において、総合型選抜だけでなく、一般入試に対しても有効です。
総合型選抜は各大学・各学部で特色のあるものが設定されます。基本的な対策に加え、オープンキャンパスに参加する、興味のある学問分野を調べるなどの進路活動も、早期より取り組むと良いでしょう。

 

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