高校受験の合否に大きな影響を与える「内申点」。今回の記事では、内申点を解説するとともに、内申点を上げる方法を解説します。また、記事の後半では、Z会の会員専用の質問・相談サポート「教えてZ会!」に寄せられた、内申点に関する質問と回答を特別公開します。
内申点とは
高校受験においては、受験者が「中学のときにどのような生徒だったか」を出身中学校の校長先生から、上級の高等学校へ、申し送るための内申書(調査書)が作成されます。
内申点は、「内申書(調査書)」に記載された各教科の評定を、各都道府県が定めた計算方法で得点化したものです。調査書点と呼ばれることもあります。
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内申点はなぜ大切?
公立高校入試(一般選抜)は多くの学校で、「内申点+当日の学力検査」で合否を判定します。そのため、内申点は受験の合否に非常に大きな影響を与えるものであると言えます。
※合否判定に面接を使用する高校もあるため、志望校の入試制度はホームページで確認しておきましょう。
都道府県ごとに得点化のルールが異なる
評定をどのように得点化するかや、どの学年の評定を内申点に使用するかは、都道府県ごとにルールが異なります。1年生の評定が使用されることもあるため、受験する地域のルールは早めに確認しておきましょう。ここでは、いくつかの地域のルールをピックアップして紹介します。
東京都の場合
内申書に記載される評定:中3のみ
内申点のポイント:5教科は1倍、実技4教科は2倍で得点化される
ワンポイントアドバイス
利用されるのは中3の評定のみではありますが、成績は「積み上げ」で向上します。中1、中2から学力を積み上げていきましょう。実技4教科の評定が2倍になるため、しっかりとした対策が大切です。
神奈川県の場合
内申書に記載される評定:中2・中3
内申点のポイント:中3の評定は中2よりも高い比率(2倍)で計算される
ワンポイントアドバイス
中3の評定が重要視されます。また、3教科の範囲内で、2倍まで特定の教科を重点化する学校があるため、受験する高校の入試制度は確認しておきましょう。
大阪府の場合
内申書に記載される評定:中1・中2・中3
内申点のポイント:中1:中2:中3=2:2:6で計算される
ワンポイントアドバイス
全学年の評定が内申点に使われます。中1、中2の成績が内申点の40%を占めるため、中1からコツコツ努力を積み重ねて行くことが合格に直結します。
内申点を上げるためには
内申点を上げるためには、まず学校の成績である評定がどのように決まるのかを理解しましょう。
評定は、各教科の「観点別学習状況の評価」によって決められます。「観点別学習状況の評価」は、A,B,Cの3段階で評価され、それをもとに1~5(1~10)段階の評定が決まります。
「観点別学習状況の評価」は、以下の項目で評価されます。
■知識・技能
■思考・判断・表現
■主体的に学習に取り組む態度
つまり、内申点を上げるためには、各教科の「観点別学習状況の評価」を改善する必要があるのです。それぞれの項目を改善するためのポイントは以下です。
知識・技能
知識や技能の習得状況が評価されます。学習したことがしっかりと身についているかが問われる定期テストの点数が大きな影響を与えます。
思考・判断・表現
知識、技能を活用して課題を解決するなどのために必要である「思考力」「判断力」「表現力」が身についているかが評価されます。単に知識を暗記するのではなく、様々な知識を活用して自ら考察し、表現できるかが問われます。
評価においては、定期テストに加えて、論述やレポートの作成、発表、グループでの話し合い、作品の制作や表現などが重視されます。
主体的に学習に取り組む態度
知識・技能や思考力・判断力・表現力の習得に向けて、粘り強く、試行錯誤する姿勢が評価されます。
授業中の発言や態度、ノート提出などが評価の対象となるため、普段から意識して取り組みましょう。
【特別公開】「教えてZ会!」への質問と回答 『内申編』
「教えてZ会!」はZ会の会員専用質問・相談サポートです。Z会の教材に取り組んでいてわからないことや、学習の進め方のお悩み、入試に関する相談といった質問・相談に1件1件、プロが丁寧に回答します。会員の方やその保護者の方であれば、追加受講費なしで何回でもご相談いただけます。
※受付後3日以内(日曜・年末年始除く)までに回答。
※以下の質問・相談や回答は趣旨の変わらない範囲で要約・修正・抜粋をしています。
今回は、「教えてZ会!」に寄せられた質問の中から、内申点や内申書に関する質問と回答を特別に公開します。
内申点や内申書に関する質問と回答
Q1.2学期の成績がオール3でした。3学期ではオール4をめざしたいのですが、どうすれば良いでしょうか。
A.
内申点を伸ばすためには、定期テストで高得点をめざすことに加えて、積極的に授業に参加する姿勢・態度を示すことを日頃から意識してください。中には苦手教科もあるかもしれませんが、苦手教科こそ先生に積極的に質問して、授業の理解を深めるようにしましょう。テスト対策としては、以下の方針で進めていくと良いでしょう。
【テストの2週間前〜10日前】
この期間は、教科書や授業ノート、Z会の『要点』を読み返してテスト範囲の内容を思い出したり、覚えたりする期間にしましょう。このとき、覚えにくい漢字や英単語などがあったら、声に出しながらノートに書いて覚えると良いですよ。ただ教科書やノートをながめるよりも、からだ全体で覚えることができるので忘れにくくなります。この期間だけで完ぺきに覚えることはできないと思いますから、ある程度覚えたなと思ったら、次に紹介する問題演習にうつりましょう!
【テストの10日前〜テストまで】
この期間は問題演習に取り組みましょう。解く問題は、学校のワークとプリント、Z会学習アプリの「定期テスト対策」などがおすすめです。もちろん、解いて終わりにするのではなく、解き終わったら解答解説をよく読んで、自分が知らなかった知識や、思いつかなかった解法を確認しましょう。そして、学校のワークやプリントに関しては、まちがえた問題を中心に、ワークの2周目に取り組むことも重要です。「同じ問題を解いて意味があるの?」と思うかもしれませんが、ワークはくり返し解くほどに理解度がアップしていきます。定期テストは授業の理解度をはかるものですから、特に学校のワークとプリントに関しては、分からない問題が1つもなくなるまでくり返し解くようにしましょう。
Q2.内申点アップが狙える授業の受け方や、先生との接し方、ノートのとり方などを教えてください。内申点の取り方も詳しく知りたいです。(埼玉県在住)
A.
まず内申点アップが狙える授業の受け方についてですが、その教科に集中して、自主的・主体的に取り組んでいるか、ということを評価の対象とされている先生は多いです。ただ授業を受けるのではなく、頑張って授業に取り組んでいることが先生に伝われば、それが内申点アップにつながるでしょう。授業中の挙手については、挙手をすることで熱意をもって授業に参加していることが先生に伝わりやすいので、機会があれば積極的に挙手するようにするとよいでしょう。挙手しようと思って授業をしっかり聞けば、内容もしっかり理解できますし、それが定期テストの得点に結びついて、内申点アップにもつながりますよ。先生との接し方については、授業が終わった時や放課後に、分からないことがあれば積極的に質問するとよいですよ。分かりやすく説明してくださるでしょう。
なお、内申点は、授業態度だけではなく、課題の提出状況や定期テストの結果で評価されます。宿題なども丁寧に取り組むようにしましょう。課題に丁寧に取り組めば、それは先生に伝わります。次にノートの取り方についてですが、先生の板書をノートに写し、先生がおっしゃっていた重要なポイントを書き加えていくというやり方がおすすめです。スペースがあれば教科書などに書き込んでいってもよいでしょう。復習するときに、授業で教わったことをきちんと思い出せるように、わかりやすく書き留めておいてくださいね。最後に内申点についてですが、埼玉県の内申点は「5段階評定×9教科」で記載されます。また、埼玉県の公立高校入試では3年間の評定が利用されますが、3年間の評定は各高校ごとで選抜基準が異なります。志望校の情報を確認し、今のうちから内申点をとれるよう、意識しておくとよいでしょう。
Q3.東京にある、国立大学附属の高校では内申書はどれだけ反映されるのか教えてください。
A.
国立大附属高校の調査書(内申書)の扱い方は同じではなく、たとえばどの学年の成績を使うか、学力検査と調査書の配点などは高校ごとに決められています。
今回は「筑波大学附属高等学校(筑附)」と「東京学芸大学附属高等学校(学芸大附)」を例にご紹介します。現時点ではどちらも令和5年度入試の情報のみ公表されていますので、それを基にお伝えします。ご自身の受験年度のものに関しては、改めてご確認ください。
筑附と学芸大附、どちらも調査書は高校指定のものを用います。内容としては、中学3年間の学年ごとの学習の記録(5段階評定)、出欠の記録、活動の記録などです。これらがどのように得点化されるかについては、筑附は募集要項に「調査書(80点)」とあるだけでそれ以上はわかりません。学芸大附は募集要項に調査書を100点満点に換算するとあります。さらに「3年間の評定を100点に換算する際には、原則として3年間の全教科の評定の合計に135分の100を乗じます」と明記されていますので、調査書の点の対象は基本的に成績であること、学年間や教科間の傾斜はないことが推測されます。入学者の選考に当たっては、筑附は学力検査が5教科各60点満点で計300点、調査書が80点の合計380点により総合的に選考するとなっています。一方、学芸大附は学力検査が5教科各100点満点で計500点、調査書が100点を総合的に判断するとなっています。
高校により学力検査と調査書の配点が大きく異なっていますね。調査書は5段階評定をそのまま活用するとは断言できませんが、良いに越したことはありません。定期テスト対策などをしっかり行い、なるべく高い評定を取れるよう努力していきましょう。
Q4.志望校として神戸高校の総合理学科を視野に入れています。入試制度や今からでもできる対策について教えてください。(中学2年生)
A.
入試制度について簡単に紹介すると、総合理学科は「推薦選抜」のみの募集となります。定員は40人で、内申点のほか英語・数学・国語の筆記試験と面接の3点をもって合否を判定します。通常の推薦入試と異なり、3科目の筆記試験が課せられるため、筆記試験対策が重要と言えるでしょう。ただし、具体的な配点や合格者平均点などは非公表とされています。
とはいえ県内トップレベルの高校ですから、入試に向けては筆記試験のみならず内申点、面接の全てで高得点をめざす必要があります。特に筆記試験は一般選抜よりも難解なオリジナルの問題が出題されるため、英語・国語の長文読解や数学の難問で得点することが求められます。内申点でも、いわゆる「オール5」をめざす意識で授業や定期テストでも好成績を維持していきましょう。
今からできる対策としては、まず学年末テストに向けて全教科の学習を抜かりなく進めることが最重要で、今のうちから学年トップをめざすつもりで取り組むことが大切です。特に、筆記試験で問われる3科目は、中2までの範囲に不安や苦手分野を残さないように、今のうちから「どんな問題でも解ける」状態をめざして仕上げていきましょう。予習など先取りを進めることよりも、これまでに習った内容の「完成」をめざして仕上げることが大切です。
Q5.部活の退部は内申書などに影響しますか。(神奈川県在住)
A.
現在お住まいの神奈川県の高校入試制度を前提にお伝えします。
部活動などの課外活動については調査書に「特別活動等の記録」として記載されますが、内申点としては点数化されません。調査書では、評定(中2・中3の5教科の内申点)のみを点数化して選考に利用しますから、部活動の状況は内申点には影響しないと考えて問題ありません。
ただ、選考で面接を実施する高校の場合、「諸活動の記録や所見欄等に記載されている内容については、面接の際の参考資料とします。」とされています。そのため、面接の際に退部の理由を問われる可能性があります。しかし、部活動以外での活動や努力したことをアピールできれば、マイナスにはたらくことはないでしょう。退部の理由もしっかりと説明できれば、特に問題ないと考えられます。面接の有無については、各校の選考基準をよく確認しておきましょう。
部活動がすべてではないため、退部したことで学校生活や学業に影響が出てしまうことのないよう、勉強や課外活動で今できることを続けていきましょう。
Q6.私立高校の入試では、内申は関係ありませんか?
A.
私立高校の入試について内申点などがあまり関係ない学校もありますが、学校や受験方式によりますので、受験を考えている高校のホームページなどで確認してくださいね。ただし、入試でボーダーラインの成績だった場合は、成績だけではなく、遅刻が多かったり、出席日数が少なかったりすることがマイナスの評価につながる場合があります。大丈夫だとは思いますが、夜遅くまで勉強して寝坊してしまう、なんてことはないように気をつけましょう。
内申点対策はZ会にお任せください。
Z会の通信教育 中学生タブレットコースでは、内申点に大きな影響を与える定期テスト対策をはじめ、様々なサービスで内申点対策をサポートします。
定期テスト対策教材は、英数国理社の5教科だけでなく、実技4教科も対応した教材をご用意しています。
難関高校合格へ、ぜひZ会をご検討ください。
Point1:万全の個別定期テスト対策
テスト範囲のわかっていない箇所を自動で出題
普段の学習状況から、テスト範囲の単元の到達度をAIが診断。優先して取り組むべき単元が明確になります。さらに、選択した単元から一人ひとりの習熟度に合わせてAIが問題を選出。膨大な問題数から、学力向上のために必要な問題を自動で出題します。
Point2:安心の質問相談サポート
記事の中でも一部の質問・相談を紹介しましたが、Z会の「教えてZ会!」には、Z会の教材に取り組んでいてわからないことがあった時や、学習の進め方のお悩み、入試に関する相談などを、追加受講費なしで何回でもご相談いただけます。質問・相談には1件1件、プロが丁寧に回答。内申点対策や、定期テスト対策、高校入試対策のお悩みを1つ1つ丁寧に解消します。
Point3:充実の高校受験情報
Z会中学生向けコースは、株式会社イード(https://www.iid.co.jp/)が主催するイード・アワード2023「通信教育」中学生の部において総合満足度最優秀賞、ならびに「受験・進学情報の充実している通信教育」など各部門賞を受賞しました。
各都道府県の入試制度や傾向と対策を分析し紹介する「47都道府県別高校受験情報」や、全国の高校の「合格体験記」など、中学1年生~中学3年生の各学年に役立つ情報を提供します。
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