執筆者:Z会進学教室 成城教室スタッフ
記事更新日:2022年06月10日
文武両道は不可能じゃない? ~部活と勉強が両立できる子の秘密~
小学校と中学校の違いは様々ありますが、一番気になるのは『部活動』ではないでしょうか。近年『ブラック部活』などの言葉の流行によりマイナスなイメージを持たれがちですが、部活動は年齢に伴い子ども自身の世界や見聞を広げていく場でもあるのです。とは言っても気になるのは『勉強との両立』。実は部活や習い事と勉強を両立できる子にはいくつかの特徴があるんです。Z会での業務である『学習』と吹奏楽の外部指導をしている『部活動』。この両方に携わっていると、部活と勉強が両立できる子の特徴が見えてきました。
中学生活で悩ましいのが「部活動や習い事と勉強の両立」。
上手くできている子には秘密がある。
部活(習い事)と勉強が両立できる子の特徴
・自分でスケジュール管理ができる
・切り替えが早い・上手い
・応用力がある
以前、部活動指導の際にミーティングで手帳にメモを取っている生徒がいたので褒めると「ちゃんと書かないと忘れちゃうから」と言い、スケジュール帳を見せてくれました。そこには休日の部活の時間や、塾の時間、宿題の期限などが色別に記入されており、感心して詳しく話を聞いてみると「提出物や宿題を忘れないために書き始めたけど、宿題をこなすためには塾の予定や部活の予定を書かないと計画を立てにくいことに気が付いた」とのこと。彼女はスケジュール帳で自分の予定を可視化することで、自分で学習や練習の計画を立てていたのです。この生徒はこの後も部活と勉強のバランスを上手く取り、第一志望校に進学しました。Z会進学教室の卒業生でもコロナ自粛の休講期間中に自分で時間割を作り、見事に第一志望の都立自校作成校に進学した生徒がいます。このように目の前のスケジュール管理ができる子は、後々受験に対する計画を自分で立てることができるのです。
また、部活と勉強の切り替えができることも両立の秘訣です。例えば部活の休憩時間やちょっとした隙間時間に単語や暗記の勉強をする生徒は切り替えが早く、部活動の際にも気持ちの切り替えができるため効率よく練習ができます。このような生徒は応用力も高く、1つのテクニックを教えるとそれを他の曲でも応用し自力でどんどん練習していきます。勉強にも同じことが言えますね。
部活(習い事)と勉強を両立するためのご家庭のサポート
・部活動や勉強への環境の整備
・ご家庭の応援もバランスよく
では、部活と勉強を両立させるために家庭ではどんなサポートができるのでしょうか。まず必要なのは環境の整備です。部活動や習い事の送り迎えや、お弁当、間食作り(成長期に入る中学生は常に腹ペコです。私と弟もよく「ごはん食べさせてるよね!?どうしていつもそんなにお腹空いてるの?」と母に言われました…。)だけでも目が回りそうですが、両立のためには勉強に集中しやすい環境づくりも必要となってきます。過去にZ会進学教室の卒業生で「リビングで勉強している」と言っている生徒がいました。その時間家族はどうしているのか聞いたところ「両親は本や新聞を読んだりしている。その時間はテレビを付けないスマホに触らないのがルール」とのことでした。家族が静かに集中している空間だから勉強が捗るのだそうです。他にも「勉強をする部屋には勉強に必要ないものは置かない」という生徒もいました。形は様々ですが「勉強に集中できる環境づくり」は勉強への気持ちの切り替えに大いに役立ちます。
そして、部活指導中に生徒から聞く保護者との悩みのほとんどが「親が部活を理解してくれない!!」というものです。もちろん土日の練習や大会のサポートをしてくれている保護者の方が部活動を理解していないはずはないのですが「部活ばっかりやってないで」「部活ばっかりしてるから」と言われてしまうと、好きなものを否定されたような気持ちになり余計に意固地になります。大人としては「その熱量を勉強に向けてくれ…」と思わなくもないですが、勉強も部活も応援されれば嬉しいものです。それが保護者の方からであればなおのこと。家庭の応援もバランスよくすることも子どもたちが「両方頑張ろう!」と思えるきっかけになるのです。
必ずしも両立できることが正しいわけではない
・1つの特技をひたすら磨いて大成する子もいる(研究者やプロ選手、音楽家)
・「うちの子がそんな…」と思わずにたくさんの可能性を見て
ここまで部活動と勉強の両立について書いてきましたが、私は両立できることが必ずしも正しいとは思いません。
学習方法に向き不向きがあるように、「2つの事を同時に進めていく」ということにも向き不向きがあり、1つの事に集中するとそれ以外が疎かになるタイプの子どももいます。これは全く悪いことではありません。研究者やプロと呼ばれる方々、音楽家などはこのような『一点集中型』のタイプの方が多い傾向にあります。
吹奏楽の指導をしているとプロの音楽家と関わることが多いですが、彼らは1つのこと(音楽)にこだわり没頭しています。これは決して悪いことではなく、没頭し続けられること、そしてそれを見つけられることも才能の1つなのです。
「○○しているばかりのうちの子が両立なんてできるのかしら」と思っている保護者の方は、お子さんが「なぜこれにこだわるのか、どうしてそこまで集中できるのか」という別の角度から見ると、今まで見えなかったその子の才能が見えるかもしれません。
部活(習い事)と勉強の両立の為に今からできること
部活(習い事)と勉強の両立の為に今からできること
・夏休みの計画がスケジュール管理を身につけるチャンス?
部活(習い事)と勉強の両立の為に小学生の今からできることがあるとすれば、まずはスケジュール管理です。
そのきっかけとして「夏休みのスケジュール」を親子で立ててみるのはいかがでしょう。夏休みの宿題の計画だけではなく、家族のお手伝いや帰省、お出かけの計画等を含めた「夏休みのスケジュール」です。大切なのは『子どもが主体となってスケジュールを組み、実行する』ということです。少し無理のある計画でもスケジュールを組んでいる時には止めず、スケジュール通りに行かなくなってから「どうするか一緒に考えよう」という姿勢が子どもの自主性や成功体験に繋がります。スケジュール管理の方法は様々です。カレンダー式、付箋式(タスク式)などお子さまやご家庭にあったものを見つけてみましょう。
Z会進学教室では「夏から始める中学準備プログラム」として6V/難関高校受験コース 夏期講習をご用意しております。この講座は正しい学習習慣と自主性を身につけることを目的としており、家庭学習へのサポートも充実しています。塾通いのきっかけとしてもおすすめです。
ここまで様々な事例を取り上げ、部活(習い事)と勉強の両立について書いてきましたが、ここに書いてあることが全てではありません。お子さま一人ひとり性格が違うように、得意不得意があります。またご家庭もそれぞれ違います。情報社会である現代は教育についても様々な情報があふれています。(この記事もその一つです)どの意見が正しいのか、誰が正しいのか分からなくなる時もありますが、まずは「自分の子には何が向いているのか」を考えご家庭でベストな形を見つけてください。その中で、学習方法や学習習慣についてご不安な事やご不明な点は、最寄りのZ会進学教室のお教室までお気軽にご相談ください。
この記事の著者
Z会成城教室 教室スタッフ2016年から2年間地元中学校の生徒指導補助員として学校教育現場に携わる。2018年よりZ会祖師谷教室の教務スタッフとして勤務し、移転後は成城教室にて勤務。受付対応・電話対応や教材の準備、面談の日程組みなど教室運営全般に携わり、生徒一人ひとりが安心して授業を受けられるよう、先生方が授業・生徒指導でベストパフォーマンスを尽くせるよう、快適な教室環境づくりに貢献。縁の下で教室を支える傍ら、プライベートでは中学の部活指導に携わるなど365日教育現場に身を置く。