Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。
Z会化学担当者からのメッセージ
京大化学は、長いリード文を正しく読解し知識を応用させて思考する必要がある、難度の高い問題が出題されます。ただ、難しい問題のみで構成されているわけではなく、平易な小問も含まれています。これらの小問をミスなく手際よく解き進める得点力も備えている必要があります。
読解力・思考力・有機化学の幅広い知識などといった、京大化学攻略に必須の力は、今後も求められることに変わりはありません。Z会の通信教育では、対策が遅れがちな天然有機化合物や高分子化合物の範囲も扱いますし、長いリード文をとおして読解力を養う問題も出題しますので、京大化学攻略に必要な力を養うのに最適です。また、京大は結果重視の採点であることが多いため、自己採点ではついつい単なる答え合わせにとどまりがちですが、Z会では添削指導をとおして結論に至る過程のミスも分析し、得点力を高めます。結果として、途中過程を問う問題が出題された場合に対応できる実力も養成できます。
今年度の入試を概観しよう
分量・難易度
(昨年度比)
- 分量:変化なし
- 難易度:変化なし
出題・解答の形式
- 例年どおりすべて記述形式で、解答用紙には各問いに対応する解答欄があった。
- 例年どおり、大問として理論・無機2題、有機2題(うち1題は天然高分子化合物の分野)が出題された。2025年度は化学問題Ⅱ、Ⅳが中問に分かれていたが、2026年度は化学問題Ⅲのみが中問に分かれていた。
2026年度入試の特記事項
- 例年、長い問題文を読み解き、高校化学の知識をフル活用して考えさせるような、思考力・応用力が必要な設問が出題されている。2026年度でもそのような設問はところどころにみられた一方、著しく解答の糸口が見つけにくい問題はみられなかった。
- 2025年度に復活した、導出過程を書かせる計算問題や、字数制限のある論述問題は出題されなかった。
合否の分かれ目はここだ!
- 解答方針が比較的立ちやすい化学問題Ⅰは、手際よく解答を進めたい。さらに他の大問に含まれる平易な設問は押さえたい。そのうえで、読解力・思考力が必要な化学問題Ⅱや、各大問・中問における後半の問題で、どれだけ正解できたかが合否の分かれ目になったであろう。
さらに詳しく見てみよう
大問別のポイント
硫化鉱物を題材に、結晶格子や電気分解に関する問題が出題された。問1と問2は基本問題なので確実に正解したい。問3の限界イオン半径比の問題は、考え方が図とともに丁寧に誘導されているため比較的取り組みやすかった。問4の密度や中心間距離を求める問題は結晶格子の定番問題ではあるが、計算ミスにだけは気をつけたい。問5は鉛蓄電池を電源とした、並列接続の電解槽(硫酸銅(Ⅱ)水溶液と水酸化ナトリウム水溶液)における電気分解の計算問題。最後の(ⅳ)も、各電極における反応を正確にかければ、立式自体は難しくない。
溶液中での「吸着平衡」と、物質Aが分解する「化学平衡」を組み合わせた、見慣れない設定の総合問題。ただし、平衡に関して誘導に沿って式を埋めていく形式は、京大化学で頻出である。問1と問2は問題文に沿って素直に立式すればよい。問3の実験3に関する問題は、吸着平衡と化学平衡をどちらも考慮したうえで立式する必要があり、この大問のポイントとなる問題であった。この実験で起きていることを正しく理解できれば、そこまでに導いた式を用いて立式できるが、高度な読解力および思考力が求められる問題であった。問4および問5は、問2までに導いた式に数値を代入すればよく、平易であった。ただし、ここで求めた値は問6でも用いることになるため、ミスが連動しないように、計算は慎重に行う必要がある。問6では、実験3における平衡移動と濃度の時間変化のグラフ選択が問われており、現象を正しくイメージできるかがカギとなった。
アセタールの生成反応と平衡移動を題材にした構造決定問題。問1、問2ともにアセタール化により起こる反応を、問題文にある(1)〜(3)の反応を参照しながら考察する必要がある。丁寧に考察すれば決して難しい問題ではないが、限られた時間の中で起こり得る反応を漏らさず検討できるかがポイントとなる。
鏡像異性体をもつ化合物のラセミ体に対して、特定の鏡像異性体のみの反応を促進する触媒(または反応速度が異なる触媒)を用いたアセチル化反応の計算問題。問3は単純な問題であるため確実に正解したい。問4は条件を正しく把握できれば立式自体は難しくないが、細かい計算が必要なため計算ミスには気をつけたい。
細胞膜の構成成分であるスフィンゴ糖脂質と、血液型物質(オリゴ糖)を題材とした問題。見慣れない題材であり、読解力と思考力が必要な問題ではあるものの、問われていることは糖や脂肪酸に関する標準的な内容が多い。問1、2は問題文と図4を照らし合わせながら検討すればよい。問3は脂肪酸に関する標準的な問題である。問4、5は糖類をヨウ化メチルでメチル化するという問題であり、入試問題として定番であるアミロペクチンの枝分かれの数を推定する問題と同じように考えればよい。図3、図4および問題文の血液型物質ごとの構造の違いから、どのヒドロキシ基がメチル化されるかを正確に検討できれば、決して難しい問題ではない。
攻略のためのアドバイス
京大化学の要求
要求① 思考力
高校で学習する内容をそのまま当てはめるだけの問題も出題はされるが、合否の決め手となるのは、高校範囲の知識を応用させて自分で考えなければならない問題である。このような問題を考える力、またそれに立ち向かおうとする姿勢がない限り、合格を手にすることはできない。
要求② 読解力
京大化学の大きな一角を占めるのが、空欄補充形式の問題である。また、受験生が目にすることの少ない題材を取り上げ、それを理解した上で解答する問題も出題される。初見の題材であっても、限られた時間の中で問題文を読みこなし、正確に内容を理解する力が要求される。
要求③ 有機化学分野の幅広い知識
京大化学では、出題の約半分を有機化学が占める。高校範囲の内容理解はもちろん必須であるが、読解や思考の前提となる幅広い知識と深い理解が必要となる。構造決定や立体配置の問題はとにかく演習をたくさん積んでおきたい。また、天然有機化合物の分野は、基本知識に穴がないように早めに対策をしておくこと。
京大化学 攻略のために
高校化学の完成
まずは、高校化学の内容を完全に理解することから始めよう。高校化学の内容で曖昧な部分があると、要求①を満たすことはできない。Z会の通信教育、Z会の教室などで、基本的な各単元の理解を確認しながら学習を進めていこう。
本番形式での演習と有機化学の補強
高校化学の内容を理解したら、次に要求①を満たすために、Z会の通信教育などで、高校範囲の内容を応用させて考える問題に取り組んでみよう。これらの問題は問題文が長いことが多いため、並行して要求②を満たしていくこともできる。また、要求③を満たすため、有機化学の補強も重点的に行っておきたい。
計算力の強化
煩雑な数値計算を要するものもあるので、計算力も必要である。そのため、普段の問題演習では、実際に手を動かして計算し、計算自体にしっかり慣れておこう。
Z会でできる京大対策・ご案内
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