2024年度「京大化学」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会化学担当者からのメッセージ

京大化学は、長いリード文を正しく読解し知識を応用させて思考する必要がある、難度の高い問題が多く出題されます。ただ、難しい問題が多くても、平易な小問は含まれています。これらの小問をミスなく手際よく解き進める得点力も備えている必要があります。

読解力・思考力・有機化学の幅広い知識などといった、京大化学攻略に必須の力は、今後も求められることに変わりはありません。Z会の通信教育・[本科]京大講座では、対策が遅れがちな天然有機化合物や高分子化合物の範囲も扱いますし、長いリード文をとおして読解力を養う問題も出題しますので、京大化学攻略に必要な力を養うのに最適です。また、京大は結果重視の採点のため、自己採点ではついつい単なる答え合わせにとどまりがちですが、[本科]京大講座では添削指導をとおして結論に至る過程のミスも分析し、得点力を高めます。[本科]京大講座で学習を積み重ね、京大合格を勝ち取りましょう!

Z会の京大対策講座

Z会の通信教育 京大講座

多数の京大合格者を輩出し続けてきたZ会だからこその教材&指導で、皆さんを京大合格へと導きます。


無料の力試し問題集

取り組むだけで実力アップ!Z会厳選の問題で学習できる無料冊子プレゼント中!

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (理科…1科目90分、2科目180分)

  • 例年、難関大化学入試の中でもトップクラスの難度であり、相変わらず高度な設問が出題されている。2024年度は、特に理論分野の負担感が2023年度よりも大きくなり、難化した。大問間の難易度差はかなり大きいため、平易な設問では確実に得点しておく必要があった。
  • 大問4題構成であるのはこれまでと同じである。2023年度は化学問題Ⅰのみ中問に分かれていたが、2024年度は化学問題Ⅰ、Ⅲ、Ⅳが中問に分かれていた。
  • 問題ページ数は13→18に増加した。ページ数は2022年度が20、2023年度が13であったことから、2022年度以前の分量に戻ったといえる。また、中問に分かれた大問数も1→3と増加し、あわせて設問数も増加しているため、2023年度に比べて負担感は増加した。

2024年度入試の特記事項

  • 難度の高い設問は相変わらず多く、2023年度に比べて特に理論分野が難化した。
  • 長い問題文を読み解き、高校知識をフル活用して考えさせるような、思考力・応用力が必要な出題が見られた
  • 2023年度に続き、論述問題は出題されなかった。
  • 導出過程を書かせる計算問題が、2020年度以前は毎年数題出題されていたが、2021年度以降は出題されていない。計算問題は立式だけでなく、正しい答までたどりつかないと得点につながらない解答形式である。

合否の分かれ目はここだ!

  • 解答方針が比較的立ちやすい、化学問題Ⅲ、化学問題Ⅳは手際よく解答を進めたい。さらに他の大問に含まれる平易な設問は押さえたい。
  • そのうえで、読解力・思考力が必要な化学問題Ⅰ(a)や化学問題Ⅱでどれだけ正解できたかが合否の分かれ目になったであろう
  • 例年は時間に対して分量が多いため、化学問題Ⅱのように難度が高く次の設問に連動していくような問題は、ある程度のところで割り切ることも必要となる。

Z会の京大対策講座

Z会の通信教育 京大講座

さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 化学問題 I  
(a)<理論> チタンの結晶構造

  • 問1、問2は六方最密構造における出題であるが、六方最密構造の図が与えられておらず、その場で図を描きながらそれぞれの隙間を正しく数え上げることは容易ではない
  • 問3の(ⅱ)と(ⅲ)は体心立方格子における四面体隙間と八面体隙間の出題であり、与えられた図から、それぞれの隙間がどこになるかを見つけられるかがポイントとなる。

(b)<理論> パラジウムの水素吸蔵

  • 問4と問5は、操作1から容器1と容器2の体積の関係を正しく把握できるかがポイントとなる。
  • 問6は、問5で正答を導けていれば平易。

 化学問題 II  
<理論> ヘンリーの法則

  • 全体を通して、各操作および各式の意味を限られた時間で正しく理解することは容易ではない。
  • 問2は、液滴の直径と表面積および体積の関係がわかればよいが、目新しい問いであるだけに戸惑った受験生もいただろう。
  • 問5と問6は、計算自体はそこまで煩雑ではないが、ヘンリーの法則に加え、溶解したときの化学平衡を考える必要があるため、問題文の正しい理解と高度な思考力がなければ正答を導くことはできないだろう

 化学問題 III  
(a)<有機> 脂肪族化合物の構造決定

  • 構造決定において頻出である条件に加え、炭素原子の等価性についても検証しながら構造を決めていく必要がある。
  • 炭素数も多くないので、考えられる構造を書き出して検討してもよいだろう。

(b)<有機> 有機化合物の立体配置

  • リード文の説明も丁寧であり、各設問も難しいことは問うておらず、リード文の通りに考えておけばよい。
  • 全体的に平易な問題であるため、確実に得点を積み上げたい。

 化学問題 IV  
(a)<有機> 環状ペプチド

  • 問1はやや数学的な考え方が必要となる。
  • 問2〜問5の計算問題は、実験1と実験2の内容を理解できれば決して難しくないため、確実に得点したい。

(b)<有機> アミノ酸の配列

  • 実験4と実験5は頻出であるが、この結果だけでは配列正しく決定することはできず、分子量の条件をあわせて検討できるかがポイントとなる。
  • 数少ないヒントから正答を導く必要があり、京大らしい問題である

 攻略のためのアドバイス

2024年度の京大化学は、特に理論分野において、長いリード文を正しく読解し知識を応用させて思考する必要がある、難度の高い設問が出題された。ただ、このような出題はかつての「京大化学」らしい出題であり、思考力・読解力といった力を試す内容であるという根本的な特徴は、今後も変わらないと考えられる。

京大化学を攻略するために、高校化学の内容を完全に理解したうえで、それを応用する問題に意欲的に取り組んでほしい。また、出題範囲の約半分を占める有機化学は重点的に学習し、幅広い知識とその活用力を養成してほしい

京大化学を攻略するには、次の3つの要求を満たすことをめざそう。

●要求1● 思考力

高校で学習する内容をそのまま当てはめるだけの問題も出題はされるが、合否の決め手となるのは、高校範囲の知識を応用させて自分で考えなければならない問題である。このような問題を考える力、またそれに立ち向かおうとする姿勢がない限り、合格を手にすることはできない。

●要求2● 読解力

京大化学の大きな一角を占めるのが、空欄補充形式の問題である。また、受験生が目にすることの少ない題材を取り上げ、それを理解した上で解答する問題も出題される。初見の題材であっても、限られた時間の中で問題文を読みこなし、正確に内容を理解する力が要求される。

要求3● 有機化学分野の幅広い知識と活用力

京大化学では、出題の約半分を有機化学が占める。高校範囲の内容理解はもちろん必須であるが、読解や思考の前提となる幅広い知識と深い理解が必要となる。構造決定や立体配置の問題はとにかく演習をたくさん積んでおきたい。また、天然有機化合物の分野は、基本知識に穴がないように早めに対策をしておくこと

対策の進め方

まずは、高校化学の内容を完全に理解することから始めよう。高校化学の内容で曖昧な部分があると、●要求1●を満たすことはできない。Z会の通信教育、Z会の教室などで、基本的な各単元の理解を確認しながら学習を進めていこう。

高校化学の内容を理解したら、次に●要求1●を満たすために、Z会の通信教育、Z会の本などで、高校範囲の内容を応用させて考える問題に取り組んでみよう。このタイプの問題は問題文が長いことが多いため、並行して●要求2●を満たしていくこともできる。また、●要求3●を満たすため、有機化学の補強も重点的に行っておきたい。

空欄補充形式の中には数値計算を要するものもあるので、計算力も必要である。そのため、普段の問題演習では、実際に手を動かして計算し、計算自体にしっかり慣れておこう。

Z会でできる京大対策

Z会の京大対策講座

Z会の通信教育 京大講座

Z会の大学受験生向け講座では、入試本番から逆算して合格に必要な力を段階的に身につけられる学習プログラムをご用意。
多数の京大合格者を輩出し続けてきたZ会だからこその教材&指導で、皆さんを京大合格へと導きます。

 

「Z会の通信教育」LINE公式アカウント

京大をはじめとする大学受験に役立つ情報を配信中。学習アドバイス記事やお得なキャンペーンのご案内、おすすめ講座情報などを随時お届けしています。ぜひご登録ください。

本記事を読んでいただきありがとうございます。記事をX(旧Twitter)でポストしてもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします!

 

「2024年度分析トップ」に戻る

 

CVエリア

「Z会の通信教育」では、京大受験生向けの講座を多数開講中!

無料の資料請求も受付中!