2024年度「京大英語」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会英語担当者からのメッセージ

2024年度の京大英語は、Ⅱで長文読解と自由英作文が一体となった2019年度型の出題が復活したことが大きなポイントでした。他にもⅠで2019年度まで出題されていた空所補充が復活するなど、Ⅰ・Ⅱがすべて和訳問題となった2023年度とは異なる傾向の出題となりました。

このように京大英語は毎年出題傾向の変化がありますが、求められている力に大きな違いはありません。文法・語法の正確な運用力はもちろんのこと、限られた時間の中で正確に文脈をおさえる読解力と、相手に正しく伝わるように自分の知っている言葉で論理的に表現する力が求められています。Z会の京大講座は毎月様々な設問形式を含んでおり、長文読解と英作文双方の演習ができるように設計されています。質の高い問題で実戦的な演習を積み、自分の解答に添った添削指導を受けることで、第三者に伝わる確かな表現力を身につけることができます。Z会での学習を通して表現力が求められる京大入試でも確実に得点できるようにし、京大合格を勝ち取りましょう!

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今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 分量:やや減少/ 難易度:標準
  • Ⅰ・Ⅱの長文読解は、あわせて100語程度減少した。英文の難易度はいずれも標準的であった。
  • Ⅲの和文英訳は例年通りで、分量・難易度とも変化はなかった。

2024年度入試の特記事項

  • Ⅰの長文読解では、和訳問題に加え、空所補充問題が出題された。空所補充の出題は2019年度以来である。
  • Ⅱの長文読解では、和訳問題に加え、本文の内容に関する自由英作文が出題された。自由英作文が読解問題に組み込まれる形式は、2019年度にも出題されている。

合否の分かれ目はここだ!

  • Ⅰの長文読解は、京大としては標準的な難易度・出題構成であったため、できるだけ速く正確に取り組み、見慣れない形式を含むⅡにかける時間を捻出することが鍵となった。2019年度以前の過去問についても演習を積んでいた受験生は、空所補充問題にも驚かずに対応できただろう。
  • Ⅱの長文読解はマーケティングに関する文章で、受験生にはあまり馴染みのないテーマだったかもしれない。本文全体の内容を理解した上で、下線部和訳では一部の訳しにくい表現を文脈に沿った自然な日本語で表現できたかどうか自由英作文では本文の内容をふまえた理由と適切な具体例を考えることができたかどうかがポイントであった。80〜100語で具体例を交えながら下線部の理由を説明するには、高度な表現力が必須である。
  • Ⅲの和文英訳では、長めの1文を適切に区切りながら、日本文の言い回しを既知の構文に適切に当てはめられたかどうかがポイントであった。

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大問別のポイント

 I【長文読解】 

  • 論説「“creativity” という言葉が表すもの」についての約690語の英文。難易度は標準的であった。
  • 和訳問題2題、空所補充問題1題の構成となり、内容説明問題は出題されなかった。
  • (1)は、難語もなく構造的にもあまり複雑なところはなかった。第3文の適切な区切りを特定するには、dealing with のつながりを見抜くのがポイント。その他、自然な日本語として表現するためには、Its first known written occurrence の名詞表現を動詞的に訳したり、as far as words go の意味を汲み取って訳すといった工夫が求められた。
  • (2)は、creativity の類語とされるものを空所に当てはめる問題。選択肢に難しい語はなく、手がかりとなる空所前後の説明も複数の表現で言い換えられているので、丁寧に文脈を追えば解答できる。ウの説明にある pedestrian は、(3) の下線部 (b) にも登場しており、互いに参照して意味を推測することもできただろう。
  • (3) の第1文は、just as 〜 の後に主節が続き、exist as simultaneously の後に対照的な形容詞のセットが4つ並んでいる。この部分は知らない語があっても、対比された語から推測が可能。第2文は constellation、connotation が難語。構造的にも、more than 〜 のかたまりや、in which 以下の関係詞節を自然な形で訳に組み込むのは難度が高かったと思われる。

 II【長文読解】  

  • 論説「マーケティングにおけるセグメンテーション」についての約530語の英文。大問Ⅰと同様、内容説明問題は出題されず、和訳問題3題と自由英作文という構成。
  • (1)は第1文で、a segment を、to pursue という形容詞用法の不定詞と that we believe will most likely … という関係詞節が修飾しているという構造を見抜けたかどうかがポイント。
  • (2)は下線部全体が長い1文で、that marketers create と where people are placed … to do という2つの関係詞節が a construct を修飾しているという構造。where は制限用法だが、前から訳し下ろしてもよいだろう。based on a rough substitute … の a rough substitute は難しい表現だが、第3段落の最後の1文で We put people in boxes based on the shortcut characteristics that … とセグメンテーションを描写していることに気づくと、shortcut characteristics(近道となる特徴)に近い意味ということで内容をつかみやすかっただろう。
  • (3)は下線部の理由を英語で説明するというものだが、「本文にはない具体例を挙げながら」という指示があるので、実質的には自由英作文と言える。本文中には、最終パラグラフにミニバンに乗っている Deborah の例があるので、これも参考にしながら「実際の人間がきちんとした小さな箱(=セグメント)には当てはまらない」理由としてふさわしい例を考えればよい。80語以上100語以内という字数制限で、ある程度中身のある具体例を求められているので、書き始める前に構成をきちんと組み立てておく必要があった
  • (4)は、冒頭の Sounds about right, right? や Well, here’s the thing. という口語的な表現は見慣れないものだったかもしれないが、 Deborah の例から続く流れに沿った訳語を当てればよい。第4文の with great congnitive fluidity は専門的な表現で自然な日本語にするのが難しいが、文構造と単語の意味を正確に表現するようにしたい。

 III【和文英訳】 

  • 「学ぶということ」に関する和文英訳問題で、京大の定番の出題形式であった。例年に比べて1文1文が長いため、日本文を適宜区切って英訳すると取り組みやすい
  • 日本語特有の訳しにくい表現は例年ほど多くなかったが、「〜した分だけ…」「〜ときにこそ…」「今日の私は昨日の私よりも…」といった言い回しを、既知の構文に適切に当てはめられたかどうかが鍵となった。
  • その他、文章全体の主語の置き方や時制を判断する力「それは同時に」「逆説的だが」といったつなぎ言葉を的確に用いる力も求められた。

 攻略のためのアドバイス

京大英語を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 単語力、文法・構文力

京大入試においては、まず相応の単語力が大前提となる。純粋な語彙の量だけでなく、複数の語義やイディオムなど、1つ1つの語彙に対する深い理解が求められ、日々の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行い、日本語と英語のどちらからでも適訳を思い浮かべられるようにしよう

「文法・構文力」も同様に必須である。これも自分に合った問題集・参考書を見つけ、早めに苦手分野をなくしておくこと。また、知識の定着だけでなく、実際に読解問題に取り組む中で構文を見抜く練習や英作文に組み込む練習も並行して行いたい

●要求2● 精読力

まずは、1文ずつ英文の文構造を把握しながら正確に読む「精読力」の養成から始めよう。難関大の入試を見据えた長文読解の問題集・参考書に取り組むことが望ましい。

しばらくは時間がかかっても構わないので、問題に取り組んだ後に解答を確認するだけではなく、英文中でよく理解できなかった語句・表現は辞書を引いて意味や用法をきちんと確認するようにしよう

●要求3● 表現力

近年の京大入試は出題傾向の変化が大きいが、日本語・英語両方における的確な表現力が求められることは一貫している。長文読解においては、文脈をふまえて正確に和訳する力と、設問の解答となる該当箇所を見つけ、適切な長さでまとめる力の両方が必要だ。

和文英訳では定番の出題が続いており、日本語の難しい表現を英訳しやすい形に読み換えた上で英語に変換する練習を重ねることが大切である。自由英作文は数年前の出題が復活するなど傾向が安定していないが、どのような形式が出題されても、与えられた条件・状況を把握し、自分の意見や考え、その裏にある理由や意図が相手に確実に伝わるように的確に書く訓練をしておく必要がある。

対策の進め方

まずは、●要求1●の基礎的な部分を満たすことを目指そう。単語にしろ、文法・構文にしろ、覚えては忘れ、忘れては覚えていく地道な努力が不可欠である。また辞書を引きながら長文読解問題や英作文問題に取り組み、精読力と文法・構文を実戦で活用する力を同時に高めていこう。

次に、制限時間内での解答を意識しつつ京大レベルの問題に取り組もう。長文読解問題では、わからない単語が出てきても逐一辞書で確認せずに、英文全体の論理展開を意識して意味を推測する練習にも取り組むとよい。また和文英訳については、日本語独特の表現を含む問題に取り組み、意味内容を大きく変えることなく英訳しやすい日本語に読み換える練習を重ねよう。自由英作文は出題変化があっても対応できるよう、さまざまな形式・語数の問題演習を積んでおきたい

最後に、京大レベルの演習に精力的に取り組み、第三者の添削を受けるようにしよう。自分が意図したことが相手に伝わらないと得点にはつながらないので、常に第三者の視点を意識することが大切である。

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