「京大日本史」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (時間:90分)

  • 出題構成・分量は変化なし。
    I…史料問題
    II…空欄補充型の雑題
    III…リード文形式の空欄補充・単答問題
    IV…論述問題(200字×2問)
  • 難易度は変化なし。

2022年度入試の特記事項

  • 大問Ⅳは、2問とも外交分野からの出題であった。また、4年連続で近世から1問出題された。
  • 大問ⅠCで史料が3つ提示され、史料の年代整序問題が出題された。
  • 例年出題されていた短文記述問題が、出題されなかった。
  • 2021年度で出題された正誤文選択の問題は出題されなかった。
  • 2022年度も、図版資料を提示した問題は見られなかった。

Z会の教材が的中!

2022年度の大問Ⅳ(2)は、会の通信教育[特講]「直前予想演習シリーズ」の京大日本史の第1回 大問4(2)で出題したテーマであった。Z会の教材で取り組んでいれば、入試本番では満点を狙えるテーマであった。

合否の分かれ目はここだ!

  • I~IIIでは、基本事項が中心であるが、見慣れない問い方の問題や、詳細な知識が必要となる問題も一部で見られた。基本的な知識の問題で取りこぼしをしないようにしたい。
  • ほとんどが記述問題であるため、難しい漢字が使われている歴史用語であっても、正しく書けるようにしたい。また、空欄補充問題では空欄の前後に注意して表記のケアレスミスを防ぎたい。
  • 最も差がつくのはIVの論述問題である。2022年度は「蒙古襲来後〜足利義満政権期の日中関係」「19世紀初頭〜天保年間における江戸幕府の対外政策の展開」が出題された。どちらも問われている内容は基本的なものであったため、始点・終点となる時期を手がかりに関連する事項を想起し、解答に落とし込めたかどうかがカギになった。
京大日本史で必須の
「幅広い知識の習得と論述力の養成」
ができる!



さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 大問 I 

<史料>
A:延長四年二月十三日民部省符
B:宝暦三年七月の奉公人請状
C:宣戦の詔書(①太平洋戦争 ②第一次世界大戦 ③日露戦争)

  • 史料A〜Cは出典が明記されておらず、すべての史料が未見であったと思われる。史料中の用語や注記、設問文を参考に丁寧に史料を読み取る必要があった。
  • 直接的なヒントが乏しい問題がいくつか見られ、難しかっただろう。他の設問がヒントになることもあるため、諦めずに取り組みたい。
  • 問(2)(3)(7)(9)(18)(19)では史料中の空欄補充問題が出題され、空欄の前後の内容を参考にして解答を導くことが求められた。とくに問(2)では、民部省符の対象となる土地の大きさを算出する問題が出題された。
  • また、問(8)では、下線部の情報と当時の地域による貨幣流通の違いとを結びつけて考察する出題が見られた。

 

 大問 II  

  • 古代から昭和戦後期まで、政治・社会・外交・文化と幅広く問われた。
  • 一部で難易度の高い出題が見られたため、基本的な問題で確実に得点しておきたい

 

 大問 III  

<リード文のテーマ>
A:古墳の展開
B:源頼朝の支配権拡大
C:近・現代の女性教育

  • Cで女性史が出題され、詳細な知識がいくつか問われた。しかし、ほとんどの設問が基本的な内容であったため、確実に得点しておきたい。
  • 「甲冑」「倶利伽羅峠」「姦通罪」など、漢字の書き取りをしていないと苦戦するであろう問題がいくつか見られた。

 

 大問 IV  

(1):蒙古襲来後〜足利義満政権期の日中関係(200字)

  • 蒙古襲来後〜足利義満政権期の日中関係の変遷を明らかにした上で、当時の外交が国内の政治・経済・文化に与えた影響をまとめることが求められた。
  • 見慣れない時代設定だったかもしれないが、時期ごとに日中間の交流の変遷を整理し、当時の経済・文化的特徴と結びつけてまとめられたかどうかがカギとなった。
  • 政治分野では、日中関係が転換した背景などを解答に組み込めばよいだろう。

(2):19世紀初頭〜天保年間における江戸幕府の対外政策の展開(200字)

  • 対外政策の展開が問われているため、日本の外交方針の変遷を整理した上で、イギリスの動向が政策の転換に与えた影響を、時系列に沿って述べる必要があった。
  • 頻出テーマであったことに加え、「イギリスの動向」に留意することが設問文で指定されて知識を絞りやすかったため、確実に得点したい問題であった。

 攻略のためのアドバイス

京大日本史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1●全時代・全分野にわたる知識

京大日本史では多くの単答記述問題が出題される。幅広い時代・分野から出題されるため、全時代・全分野にわたる知識と、それを正確に記述する力が必須である。

●要求2● 史料の正確な読解

京大日本史では様々な時代の史料が出題されている。未見史料も必出なので、史料中のキーワードや出典・設問文をヒントに史料文を読解する力を身につける必要がある。

要求3● 設問の要求に沿った論述

例年200字の論述問題が2問出題されている。端的な設問文から設問の意図を的確につかむ力と、知識を取捨選択して論理的に解答を組み立てる力が必要である。

また、各時代・分野の重要テーマが出題されることもあるため、論述問題で頻出のテーマは、一通り解いておくようにしたい。

基礎力の完成

まずは●要求1●を満たそう。細かな知識問題に対応するためにも、教科書の基本事項は早めに身につけておきたい。また、既習分野については論述問題の対策を始めよう。

入試形式に合わせた対策

●要求2●●要求3●を強化するためには、史料問題・論述問題の演習を繰り返そう。但し単答問題の多い京大日本史では、知識量の底上げも必要なので、バランスのよい演習をしていきたい。

実戦演習

京大日本史は時間に比して出題数が多いので、実際の入試での時間配分を考えながら演習を行う必要がある。時間を計って解くなどして、より本番に近い答案作成を行おう。

Z会で京大対策をしよう

 Z会京大日本史担当者からのメッセージ

・2022年度も試験時間90分に対して、単答70問+200字論述2問というハードさは健在でした。Ⅰ〜Ⅲは史料や設問文をよく読んで答える出題も見られますが、標準的なレベルの知識問題が中心です。そのため、“焦らず設問文を読み、手際よく答えること” を心掛けましょう。

・2022年度も、幅広い時代と分野から出題されました。京大の特徴である“全時代・全分野”に対応するため、教科書の脚注レベルも含め、知識の抜け漏れがないようにしておく必要があります。

・Iの史料問題を解く際には、史料本文の内容や注記はもちろん、出典や設問文にも気を配り、史料の時期や概要を特定する必要があります。演習を積んで、史料問題に慣れておきましょう。

・京大の論述問題は、端的な問題文の題意に即して必要な要素を取捨選択し、解答をまとめる必要があります。シンプルな問いかけであるからこそ難しい京大型の論述問題に、どれだけ取り組んできたかで差が出ます。

・京大で求められる幅広い知識、史料問題への対応力、題意に即した解答をまとめる論述力を伸ばすためには、十分な問題演習が必要です。Z会の大学受験生向けコース[本科]「京大コース」は、バランスよく知識、史料、論述の対策を行えるようになっています。また、論述力を伸ばすためには、添削指導を受けることが効果的です。Z会の通信教育で京大対応の問題で演習を行った後、解答が設問の意図に沿ったものになっているか、要素に過不足はないか…などをZ会の丁寧な添削指導を通して確認し、論述力を伸ばしていきましょう。

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