「京大生物」2021年度個別試験分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (理科…1科目90分、2科目180分)

分量:やや増加 / 難易度:難化

  • 各分野から出題されるが、「遺伝情報の発現」および「生態と環境」からの出題頻度が比較的高い。
  • 教科書に掲載のない、初見の題材をもとにした出題が基本となる。
  • 近年は知識問題と考察問題がバランスよく出題される。論述問題は、解答欄の範囲内で答える。

2021年度入試の特記事項

  • 2019年度以降、大問4題中2題が(A)、(B)に分かれていない。
  • 2019年度・2020年度は、多くの受験生には解答の糸口をみつけられないような設問がなかったが、2021年度は、解きやすい問題からかなりの考察力や論述力を要する問題まで、さまざまな難易度の設問があった

合否の分かれ目はここだ!

2019年度・2020年度は、手がつけられないような設問がなく、解ける設問でケアレスミスせずに確実に得点することが重要になったが、2021年度は従前のように、基本的な問題を確実に解いたうえで難易度の高い考察に挑む必要があった。時間内に解答作成をすべて終えるのは難しく、解ける設問で確実に得点できるかどうかが明暗を分ける。

  • 生物問題Ⅱ問1、生物問題Ⅲ問1・問2・問5、生物問題Ⅳ問1、また生物問題Ⅳ問2・問5のような、教科書レベルの知識で解答できる用語問題や論述問題、生物問題Ⅰ問1・問2や生物問題Ⅱ問2・問3、生物問題Ⅲ問6(1)・(2)、生物問題Ⅳ問3のような取り組みやすい考察問題は、誤字や条件の見落としなどのミスをせずに、確実に解くようにしたい
  • 一方、生物問題Ⅱの問4以降や生物問題Ⅲ問7、生物問題Ⅳ問4のような問いは、思いつかなかったら、ひとまず先に進もう。
  • 考察論述問題では、わかっていないことまで無理に踏み込まず、読み取れる内容を設問の要求に沿って簡潔に記し、無駄な失点を防ぎたい。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 生物問題 I 

光受容によって転写開始位置が変わる発現調節を受ける遺伝子についての出題。2021年度の出題の中では解きやすい大問であり、しっかり取り組みたい。

 生物問題 II  

中問に分かれていない大問で、マウスの毛色遺伝子・疾患原因遺伝子・マーカー遺伝子2種の連鎖とその組換え価を求める問題。
2020年度の遺伝の大問も手間であったが、検定交雑でない交配から組換え価を求めるため、情報を整理し直す必要があるなど、一層の手間と考察力が必要で、かつケアレスミスが起こるポイントが増えた出題であった。

     生物問題 III  

    (A)

    • 冷帯と熱帯の気温や日長と、短日植物であるイネの複数の品種の、花芽形成や、成長量に関する出題。
    • 問3は、開花しない(かもしれない)ため、推定開花時期が最も遅いものを選ぶ。
    • 問4は、設問文の「一日あたりの増加量は全品種で同一」という条件を踏まえる。

    (B)

    • 問6(1)では、神経細胞bからの興奮頻度は、aとcの2倍入力されることに注意。
    • 問6(3)は、視覚情報の側方抑制について知っていると解きやすいが、初見でも(1)、(2)を踏まえて考察を進めたい。

     生物問題 IV  

    (A)

    • 植物と、葉の食害昆虫・根の食害昆虫2種の三者関係からの出題。
    • 問4は、条件3の解釈が難しく、また、設問の要求も複雑である。

    (B)

    • 生態ピラミッドについて、基本知識を別観点からみる問題。
    • 問6・7はむやみに難しいわけではないが、一呼吸手が止まった受験生も多いのではないか。

     攻略のためのアドバイス

    京大生物を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1●関連分野と連動した知識

    ハイレベルな勝負になる京大生物では、教科書レベルの知識でカバーできる用語問題や論述問題での失点は許されない。教科書と図説を参照する習慣を身につけよう。
    教科書で太字になっている語については単純に暗記するだけでなく、関連する生命現象と合わせて、自分の言葉で説明できるようにしておくこと。

    ●要求2● 実験データの読解力

    京大生物は、初見の題材の出題が多く、見慣れない実験の手法やデータを的確に読み解く必要がある。
    そのためには、条件や結論を箇条書きにして整理する訓練が有効。
    まずは標準レベルの実験考察問題に取り組むところから始め、徐々に京大レベルに近づけていこう。

    要求3● 解くべき問題を見極める力

    論述力は自分の手を動かして答案を書き上げることが何よりも大切。実戦演習を重ねる中で、仮説→実験→結果→考察→仮説という一連の流れを自分なりに整理する癖を身につけ、論述に必要なキーワードを集めることから始めよう。
    書き上げた後は、独りよがりな答案になっていないか、添削をしてもらうとよい。

    対策の進め方
    知識力の完成

    なるべく早く●要求1●の完成を目指すこと(遅くとも高3の夏をめざそう)。とくに、「生態と環境」、「生物の進化と系統」は対策が遅れがちになるので、計画的に学習を進めよう
    Z会の本『生物 知識の焦点』は、高校生物の全範囲について、教科書だけでは学べない入試頻出事項を解説しているので、知識力の向上に最適である。

    演習量の確保

    入試形式の演習問題になるべく数多くあたり、●要求2●および●要求3●のレベルUPを図ろう。典型・頻出問題は一通りこなしておくこと。Z会の通信教育[本科]「京大コース」でも、京大の出題レベルに合わせて典型・頻出問題を出題していく。

    速読・速解の習得

    問題の分量が多いこともある京大生物では、なるべく全部の設問に手をつけられるよう、問題を解くスピードも重要になってくる。本番の入試を意識して、時間配分にも気を配った演習を積もう

    Z会で京大対策をしよう

    Z会京大生物担当者からのメッセージ

    2019・2020年度とは打って変わり、基礎的な用語問題から難易度の高い考察論述問題や計算問題まで様々な設問が課されました。解ける問題を手早く確実に解答作成した後、時間配分を意識して難易度の高い問題に挑んで得点を上積みしていく必要がありました。
    また、考察問題は、設問に沿って考察を深めていく構成のことが多く、ある設問で勘違いをするとその後も間違えてしまいます。条件の見落としがないように、要点を押さえた速読を演習時から意識しましょう。

    論述問題では、設問の要求を正しく理解したかどうか、要求に対して的確に論述できたかどうか、といったところで、差が開きます。学習時間が限られてくると、生物の問題演習では、考察論述問題も要素だけ挙げて答え合わせ・・・となりがちです。
    しかし、個別試験に向けては、実際に手を動かし、文どうしのつながりも意識して論述する演習を、一定量取り入れるようにしてほしいです。そして、それにはZ会の添削問題が最適だと、自信をもっておすすめします。

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