「プログラミング教育」とはどういうものなのか、またその背景にある「STEAM(スティーム)教育」とは何なのかを、わかりやすく紹介します!

STEAM教育・プログラミング教育について、専門家の方々や社会で活躍されている方々にお話をうかがっていきます。

2021年03月24日更新

目標に向けて協働し、考え、解決していくプロセスを経験しよう

目標に向けて協働し、考え、解決していくプロセスを経験しよう

IT企業で広告宣伝の仕事に従事する佐久間さん。「文系」の仕事においても、広告戦略の立案・実行におけるプロセス(「目標を設定して、実現のための戦略や手段・手順を考え、実行する」「失敗したら、原因を見つけてつぶす」「仮説を立てて検証する」など)は、プログラミングやものづくりと共通している、とおっしゃいます。これらの力を培う重要性についてうかがいました。

[プロフィール]

佐久間俊充(さくま・としみつ)

慶應義塾大学法学部卒業。新卒で入社したIT企業にて販売代理店のコンサルティング、新規サービス企画に従事し、現在は広告宣伝業務を担当。プログラミング経験はないが、ITにかかわる仕事をする上で最低限の知識を身につけておきたいという思いから、入社2年目に基本情報技術者の資格を取得した。

※2021年3月時点

PDCAサイクルを回して目標を達成する経験は、どんな仕事にもつながってくる

私は今、自社の製品・サービスの販売増加とファン増加をめざし、お客様とのコミュニケーション戦略、とくにテレビCMやWeb広告といった媒体を活用した広告宣伝戦略を立案し、実行する仕事をしています。広告宣伝というと、かつては、お金をかけてテレビCMをたくさん打って認知度を上げたり、定性的な情報に頼った判断や効果検証を行ったりと、定量的なデータに基づいた施策が打ちづらいものでした。しかし近年では、テクノロジーの発達によってさまざまな定量データを取得できるようになり、ここ数年で、データに基づいてプロモーション戦略を立てることができるようになってきました。

例えば、ターゲット設定や媒体、手法などを検討するにあたっては、販売が伸びない原因を調査し、定量・定性両方の調査結果から製品・サービス購入のいちばんの障壁となっている要因を見定め、その障壁を崩すための戦略・方法を検討します。そして、広告を打った後は、その原因や結果が偶然ではなかったことを確かめるために再度調査を行い、効果を検証します。

このプロセスにおいては、データを分析する力はもちろん、「仮説を立てて検証する」「目標を設定して、実現のための戦略や手段・手順を考え、実行する」「失敗したら、原因を見つけてつぶす」など、適切にPDCAサイクル(「Plan:計画→Do:実行→Check:評価→Action:改善」を繰り返し、業務を改善していく手法のこと)を回して成果を出すことがより一層求められます。これはプログラミングを用いてサービスや製品を開発する場合も含めて、どんな仕事にも求められる力になってきます。テクノロジーの発達によって、広告宣伝もようやく同じ土俵に立てるようになってきたと感じています。

私自身の数字を解釈する力や、データをもとに戦略を練って実行する力は、今の会社で担当してきた販売代理店のコンサルティングや新規サービス企画、広告宣伝の仕事を通じて鍛えられてきました。ただひとつ、幼いころからの経験が土台になっていると感じるのは、小学生のときに力を入れていた算数の勉強です。毎年、長期休み中は福島県の祖父母宅に滞在していましたが、そこでは将棋をしたり、算数ドリルをしたりと、祖父がゲーム感覚で数字を扱うことや論理的に考えることを教えてくれました。それによって数字を扱うことがすごく好きになったのが大きいですね。仕事をしていて、売上額やサービス利用者数などを読み解いて次にとるべき動きを判断する、といった部分に抵抗がなかったのは、この、小学生のころに培った土台があったことが関係していると思います。

ちなみに今でもくせでやってしまうのが、車の4桁のナンバーから連想して遊ぶこと。ナンバーを目にしたときには、自然と「足したらいくつになるか?」「かけたらいくつになるか?」「こうすれば素数になる」などと考えてしまうんです。

たくさんの失敗から、挑戦する気概が生まれる

一方で、もっと早くから経験しておけばよかったと思うのは、失敗をたくさんすることです。今はそうでもないですが、小学生から高校生くらいまでは細かい性格で、完璧を求めるところがありました。例えば、小学生のころは「テストは100点じゃないと恥ずかしい」と思っていて事前に入念に準備をしていましたし、高校受験や大学受験では、失敗した場合の周りの目が気になり、合格できると思えるところを選んで受けました。合格したのは落ちない選択をしたから、だったんです。

でも、そうやって確実に、安全に、完璧にこなそうとすればするほど失敗を怖がるようになり、それを突き詰めていくと、行動したり言葉にしたりすること自体が怖くなってしまうと思うんです。それは本当によくないことなので、プログラミングを学ぶことをとおしてでも、またそのほかからでもいいので、間違える、失敗する、目標を立てたけどできなかった、といった経験を重ねることを子どもたちにはおすすめしたいですね。

成功は失敗の積み重ねからしか生まれません。小さなころから小さな失敗を繰り返しておくことで、「次こそは成功するぞ」という気概をもてるようになったり、「失敗しないためにはどう工夫すればいいか」と考えられるようになったり、受験など人生の岐路に立つ場面においても、挑戦できる方を選択できるようになるのではないかと思います。

他の人と協働して物事を進める経験の重要性

自主的に小さな目標を立て、それを達成する手段を考えて実行することや、他の人との協働の中で物事を進める経験も早いうちから積めるといいですね。

私の場合、ちょっとした成功体験の積み重ねによって自己肯定感が育まれました。本当にちょっとしたことでいいんです。例えば、「次のテストでは〇点を取る」「明日は3人のクラスメイトに話しかけてみる」など、これまでできていないことについて目標を立てて、「そのためにはこうしてみよう」と決めてやってみる。それが達成できれば自信につながりますし、その自信が自分を次のステップに進めてくれるのではないかと思います。

プログラミングを用いた仕事をするにしても、そうではない仕事をするにしても、自分のもっている知識だけでは解決できないことはたくさんあります。何かを成し遂げるときは、仲間をつくって、それぞれの得意な分野をもち寄って協働しながら成功をめざす場合がほとんどなので、他者と協働する経験も、小学生くらいから積めるに越したことはありません

私自身は、高校生までは一匹狼タイプ。大学で入った100人規模のテニスサークルで初めて他者との協働によって物事を進める重要性を実感しました。協働する上で必要な、相手の考えを推し量ったり、相手の良さを引き出したり、自分の考えを相手に伝わるように話したりする力や態度は、試行錯誤の中でしか身についていきません。年齢を重ねてから鍛えるよりも、幼いころから考えたり、体験したりしておいたほうが、人の機微や、人との距離の取り方、人の得意なところの見つけ方などが早くにわかってくるのではないかと思います。

子どもには挑戦することのすばらしさを伝えたい

私にはまだ子どもはいませんが、もし子どもができたときに望むのは、「失敗を恐れないようになってほしい」ということです。一見、すごく難しそうで、できるわけないと思うようなことであっても、子どもが「やりたい」と言うことは止めないでいる。その結果失敗したとしても、挑戦したということを褒めてあげたいですね。

極端に言うと、失敗するよう仕向けるくらいでもいいかもしれないと思います。小学生時代の私のように、子どもがひとりでに失敗を恐れ、完璧を求めて動けなくなっている場合もありますから。「失敗したっていいんだよ、挑戦することそのものがすばらしいことなんだよ」と伝えられるといいなと思います。

佐久間さんにQ&A!

Q1.
もし今小学生だったとしたら、プログラミングを学んで挑戦してみたいことはありますか?

A1.
楽しむことでさまざまな感情や考えが育まれるようにゲームをつくりたい、と思うかもしれません。私自身、小学生のころからRPGゲームが好きで、登場人物に感情移入してプレイする中で、擬似的に人の感情や考え方を学んできました。私にとって、ゲームは自分を成長させてくれるツールだったので、そんなゲームをつくってみたいですね。

Q2.
小学生のうちから身につけておくとよいと思うことは、ほかにもありますか?

A2.
胆力ですね。度胸がなくびびっちゃうとなんにもできなくなってしまいますから(笑)。失敗を恐れずにいろんなことに挑戦するなどして、小さいうちから胆力を鍛えておくと、物事に対して恐れたり、気後れしたりせずに取り組めるようになるのではないかと思います。

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