留学を前に思考力を鍛える。近畿大学 国際学部の新たな入学前教育
近畿大学 国際学部学生センター
佐藤 一行 課長補佐
近畿大学 国際学部における入学前教育への新たな取り組み
グローバル社会で活躍できる人材育成を目指す近畿大学 国際学部では、2016年の設立以来、「1年間の留学プログラム」を卒業要件とするなど、国際的な視野を養う教育に力を入れています。2016年度入学の1期生から導入していた入学予定者向けの入学前教育について、大学での学びをよりスムーズに進められるよう、2024年度入学生から課題内容を変更しました。
抱えていたお悩み・課題
2016年4月の開設時から、年内に実施する専願制の入学試験とAO入試(現総合型選抜)の合格者を対象に、他社の入学前教育を導入し、小論文講座とオンライン英会話を実施していました。しかし、オンライン英会話サービスの終了に伴い、新たな入学前教育を検討する必要が生じました。また、一部の学生のアセスメントテストの結果から、問題解決力や思考力の向上が課題であるという認識がありました。
国際学部では留学が必須であり、学生が留学先で遭遇するであろう様々な問題に主体的に対応できるよう、問題解決能力を育成するコンテンツの導入を検討し、「課題発見解決能力テスト」の採用に至りました。
小論文ライティング講座、課題発見・解決能力テスト導入の背景・きっかけ
以前の入学前教育では、小論文とオンライン英会話に重点を置いていましたが、入学後の前期は留学準備のための語学学習が中心となるカリキュラムです。そこで、より大学生として重要な「論理的思考力」と「文章構成力」を育成したいという考えから、入学前教育の内容を見直すことになりました。問題解決力や思考力のトレーニングにつながる教材を探していたところ、Z会ソリューションズの入学前講座を知り、採用を決定しました。
小論文講座の評価
- 設問の要求に応じているか
- 自分の主張は示しているか
- 適切な根拠を挙げているか
- 全体の構成が整っているか
- 適切な考察がなされているか
- 原稿用紙の使い方と文字数は適切か
- 表現に誤りがなく適切か
- 表記に誤りがなく適切か
という、8つの項目をもとに評価されます。受講者アンケートでは、分量や教材の分かりやすさは概ね好評でしたが、難易度については難しいと感じる学生もいました。しかし、これら8つの評価項目に基づいた手書きによる課題提出と丁寧な添削指導により、「文章構成や思考力の向上に役立った」「小論文を書く良い機会になった」「大学で必要なスキルを学べた」といった肯定的な意見が多く、入学後の学習への準備として有効であると考えられます。
課題発見・解決能力テストの評価
- 論点設定力、課題分析力、情報収集力
- 論理構築力、批判的考察力
- 創造的思考力、提案・提言力
- 多様性受容能力
- 読解力、記述力
という5つの能力別評価がフィードバックとして提供され、多くの学生が新たな気づきを得ていました。論文とは異なるアプローチで問題解決力を育成するこのテストに対し、「普段考えないことを考える機会になった」「視野が広がった」「問題解決力が養われた」という声がある一方で、「難しかった」「簡単だった」という様々な意見がありました。
導入後の効果
小論文ライティング講座、課題発見・解決能力テストともに2回ずつ実施しており、各々の受講者の結果を確認することができます。また入学時に実施しているアセスメントテストの結果を導入前後で比較すると、一部の学生において、批判的思考力や協働的思考力のポイントが上昇していました。今回の入学前教育で学んだ内容を、留学先での学習や経験、留学プログラム終了後の学習で生かしてほしいと考えます。
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入学前教育・初年次教育・長期休暇中の課題などに
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入学前・卒業前の成果検証、初年次教育などに
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Z会ソリューションズの講座
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