開成中学入試「傾向」と「対策」

Z会中学受験コースの教材開発者、Z会中学受験学習アドバイザーが、
中学受験の全国最難関「開成」の入試問題の傾向と対策をわかりやすく解説します!

 

筑駒・開成合格のための推奨学習スケジュール
すべての中学受験生にとって、「各学習項目の完全理解」は大前提であり、しっかりとした土台を築いたのちの受験対策の柱は、志望校に応じて「問題演習の内容を段階的に、徹底的に深めていく」ということに他なりません。
入試の難度が上がれば上がるほど、この準備を本番までにどれだけ十分に、そして余裕をもって行うことができたかが、合否を左右すると言えるでしょう。

 

開成中学校 入試出題傾向と対策

難解な文章を正確に読み取る「読解力」と簡潔にまとめる「記述力」

【傾向】
開成の読解問題は2題で構成されることが一般的だが、超長文が1題という場合もある。文章のテーマは多岐に渡り、物語では小学生には理解するのが難しい複雑な心情を読み取る必要があったり、説明文では大人が読むような新書レベルの内容の読解が要求されたりすることもある。
設問の形式としては、近年は記述問題が中心で、「傍線部はどういうことですか」「なぜですか」「気持ちを説明しなさい」というシンプルなものだ。解答欄はコンパクトに1.5~3行でまとめるものが一般的であり、30~75字程度の字数指定がある場合もある。いずれも短く端的に答える必要があるため、難解な本文を正確に読み取る読解力と、深い内容を簡潔にまとめる記述力が求められる。

【対策】
入試頻出のさまざまなテーマの文章に触れて、視野を広げつつ、苦手な分野を作らないようにしてほしい。物語でも、説明文でも、随筆でも、どんな文章が出題されても、高いレベルで対応できる揺るぎない読解力と記述力を養う必要がある。開成の記述問題の特徴は、短いこと。だらだらと本文からつぎはぎしたような解答では、合格点は望めない。短くてすっきりとしていながらも、要点をおさえた解答を書く練習を積むことが大切だ。まず何を聞かれているのかをよく考え、設問の意図を把握して、解答の方向性を絞り込んで、簡潔にまとめる。そして、聞かれていることに対して、必要な要素を過不足なく盛り込むこと。しっかりと自分自身で解答を書きあげ、それを模範解答と比べたうえで、答えを書き直す練習を行おう。また、漢字や言葉の知識問題などの学習も漏らしてはいけない。開成は隙のない総合的な国語の力を問うてくる。6年生の夏までには、小学校で習う漢字や言葉の知識、敬語などについても、ひととおりおさえておきたいものだ。

☆24年度入試問題の傾向
説明文と物語の大問2題の出題であった。文字数はそれぞれ約2400字と約6000字で、限られた時間内で長文を読みこなす必要があった。漢字の書き取りが5問、記述問題が6問。書き抜きと短い記述を組み合わせた、空欄補充の問題も1問出題された。字数指定があった2021-2022年に対して、2023年は行の解答欄に記述する形式へと戻っていたが、今年は字数指定と1.5~2行の解答欄とが併用される形となった。
説明文は、「アフォーダンス」という言葉をキーワードに、障害者とアスリートの共通点について述べたもので、小学生にとってはなじみの薄いテーマであったと思われる。物語は、田舎の小学校でクラスになじめずにいる転校生二人の軋轢を描いたもので、大人になった二人が再会したことをきっかけに、当時のことを振り返るという場面であった。主な登場人物が小学校高学年の男子という点では取り組みやすかったと思われるが、心情変化を丁寧に追う必要のある問題だった。難度の高い文章を速く正確に読み取る力と、深い内容を端的にまとめる記述力が要求される難問である。

求められるのは特級の空間把握力と論理的思考力

大問3~5題で、難易度の変化、小問集合の有無などの形式面の変化ともに毎年大きい。解答用紙には図形問題で出た図形がそのまま掲載されており、考え方や式などを記述するよう求めている。速さ・相似なども出題されるが、最も大きな特徴として挙げられるのは、難度の高い立体図形(空間図形)と、超長文のルール説明のもと出題される操作や論理の問題だろう。

●立体図形…立体の切断・投影に関する出題が多い。小屋の窓から日光が入った場合の床や壁に当たる日光の様子を考えるなど、個性的な出題も目立つ。こういった問題に入試本番、初見で取り組みかつ正解を導き出すためには、立体図形に対してかなりの知識やセンスが求められる。一通り算数のカリキュラムを学習し終えた後、立体図形の扱いについては特に重点的に演習しておいたほうがよいだろう。
●長文読解と論理思考…年にもよるが、大問1題程度、超長文の出題が見られる。はじめに操作やルール説明、その後、具体的事例などを図も含め提示している。具体例があるために長文化するのだが、それだけ細かい事例を要する複雑な操作やルールを出されるということであり、内容を把握するために時間をとられる可能性が高い。その上で出題される問題は文章記述問題や該当解をすべて答える問題など高度な論理的思考力を求めるものが多く、最終問題などはルールの本質を見極めないと解ききれない内容となっている。
☆24年度入試問題の傾向
大問1(3)以外は類題に出会ったことのない受験生も多かっただろう、開成らしい、個性の強い出題セットだったといえる。
ただ、大問2・大問3は例年に比べて小問の誘導が丁寧にされており、(1)(2)の出題意図を考えながら取り組むことで、後半の小問も解きやすかったと思われる。
昨年に続き、立体で図示の問題があり、今年については「なるべく正確に」と問題文で指示がされている。
立体の学習において、問題を解く中で自分で図示しながら考えていくことはそもそも必要な技能である。その際に、辺上の点の位置を正確な比率でとる、直線・折れ線・曲線が見分けやすいようにかき分けるなど、丁寧さを意識して普段から取り組むことが求められているといえるだろう。
2024年度入試算数分析を公開!
開成中学校の算数を徹底分析!今年の入試問題の概観と、開成中ならではの問題「大問3」の詳細解説を掲載。当問題の解説だけにとどまらず、他の入試問題を解くときにも活かせる立体図形のポイントも紹介しますので、ぜひご確認ください。

確実に点を取れる基礎力と問題文を読み解く力

開成の理科は物理・化学・生物・地学のすべての分野についてまんべんなく出題されることが多い。出題される問題は基本的または典型的な問題が多いので、理科の平均点は高くなる傾向にあるが、近年は難度の高い問題が出題されることもあった。

物理では力学、化学では水溶液と実験器具、生物は植物と動物、地学では天体の単元がよく出題される傾向にあるが、これら以外の単元も出題されることがあるので、弱点ができないように、どの分野も幅広く対策をしておこう。
知識を問うものだけではなく、実験の結果を踏まえた問題までさまざまな問題が出題される。実験や観察の結果が表やグラフで表されていることが多いため、情報を正確に読み取る力を身につけておきたい。出題形式は選択式が多いが、記述やグラフの作図の問題も出題されるので、過去問を使って様々な問題に対応できるようにしておくとよい。
平均点が高くなる傾向にあるので、70点満点中60点以上を取れるように基本的な問題の点を確実に取れる基礎力と、難しい問題もあきらめずに最後まで取り組める粘り強さを身につけることが大切である。

開成の理科は基本的な問題が多いので、他の受験生との差がつきにくい。ケアレスミスをしないことと、基本的・典型的な問題で確実に得点することを意識して問題演習をしていこう。

☆24年度入試問題の傾向
例年通り、大問4題構成で物理・化学・生物・地学の4分野から1題ずつ出題された。本年度は昨年に続き比較的易しめで基本的な問題が多かった。全体的に文章量が多く、読解に時間がかかった受験生も多かったと思われるが、考え方や計算は比較的簡単だったので、落ち着いて取り組めば得点できただろう。

スタンダードな問題をスピーディーに正確に

開成の社会は、分野としては、歴史と地理からの出題が中心で、公民(政治や国際)からの出題は少なめであるが、近年は公民からの出題が以前より多くなっている。大問数は2~4題と、年度によって異なり、1つの大問の中で複数の分野の小問が問われることも珍しくない。小問数は50~60問程度で、試験時間を考慮すると、かなりボリュームのある出題である。出題形式は、言葉を書かせたり選ばせたりするシンプルな問題や、正文や誤文を選択させる問題が中心で、文章記述問題も例年数問出題されている。近年は難しめの問題の出題も増えてはいるものの、難関校の中では、平易な問題の割合が比較的高いといえる。

開成の社会の入試問題は、偏った特徴があるわけではなく、スタンダードなタイプの問題なので、一般的な中学受験の社会の学習を着実に進めていけばよいが、6年生の夏休み以降は、入試を意識して、「〇分以内に解く」「正しい漢字で書く」といった条件を課して取り組むとよい。また、地形図の読図や気候など、各種資料を用いた問題が必出なので、そうした問題が載っている問題集や開成の過去問に積極的に取り組み,出題パターンに慣れておくとよい。そして、開成中学の位置する荒川区や東京・江戸に関連するご当地問題が例年出題されているので、教科書やテキストの東京・江戸関連の地図や関係資料に注意を払っておく必要があるが、深追い学習は禁物である。他の難関校と同様、正文や誤文の選択問題が一定数出題されるが、日ごろの問題演習の取り組みにおいて、例えば、4つの文から1つの正文を選ぶ問題の場合、残りの3つの誤文は、それぞれどこが誤っているのかを正確に指摘できるように、あいまいなままやり過ごさないようにしておくと、入試で惜しい間違いを減らすことができる。そのためにも、問題の答え合わせの際には、自身の正誤にかかわらず、解説(考え方)にもしっかり目を通す学習態度が望ましい。

☆24年度入試問題の傾向
大問4題構成で、例年通り、グラフや表の読み取りが必要な問題が多く出題された。
特記事項としては、例年出題される文章記述問題の出題がなかったことと、公民の国際分野からの出題が少なかったことがあげられる。
合格者平均と全体平均に大きな開きがないので、平易な問題で確実に得点した上で、難度の高い問題でも得点を重ねることが求められる。

Z会では、開成中学受験生向けの講座を多数開講中!


 

 

Z会で筑駒・開成対策を検討中の方へ

筑駒・開成対策の受講相談を受付中!

※「■WEBでのお問い合わせ」のお問い合わせフォームからご入力ください。
※お問い合わせ内容に「筑駒・開成対策の受講相談」であることを明記してください。

 

SNSのシェアはこちらから

Z会の各種サービスのお申し込み・資料請求はこちらから