文理横断・文理融合時代の文理選択や進路選択とは?

多くの高校では、1年生で文理選択を行い、2年生からは文系、理系どちらかのコースに分かれて授業を受けます。日本の大学入試は文系学部・理系学部で試験科目の組み合わせが大きく異なるからです。
ところが、近年、大学では文理横断・文理融合の教育が指向され、文系理系を問わず、すべての入学者にデータサイエンスなどを学んでもらうカリキュラムが相次いで導入されています。
入試段階でも、伝統的な文系・理系の区別にこだわらず、求める人材像に合わせて試験科目を組み合わせる、そうした動きも生じてきました。このような変化を踏まえると、「理数系科目が苦手だからとりあえず文系」……といった消極的な選択は望ましくありません。
2021年度入学者選抜からスタートした新しい大学入試もすでに4年目。文系・理系の分断を克服しようとする動きは、さらに進んできています。

 

文理横断・文理融合が目指される理由

2023年2月、中央教育審議会大学分科会がそれまでの議論をまとめた文書(「学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策について」)を公表しました。主要な論点3つのうち、最初に挙げられているのが、ずばり文理横断・文理融合教育です。
文理横断・文理融合教育の推進が求められる背景には、社会課題の多様化・複雑化が進み、限られた専門分野の知識だけでの課題解決が難しくなっているということがあります。
たとえば、社会課題の解決に役立ちそうな革新的テクノロジー(車の自動運転やドローン、生成AI……など、いろいろ思い浮かべてみてください)を直接生み出すのは、理系の技術・知識かもしれません。しかし、新たなテクノロジーが広く使われるようになるまでには、それに合った法律や制度を整えたり、人々の生活や価値観に及ぼす影響を細かく検証したりする必要もあります。そのような側面は、伝統的に文系の学問が担ってきました。
これからの時代に求められるのは、「様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結びつけていく能力」とされます。
この能力には文系・理系どちらの視点も欠かせないのです。(文理横断・文理融合というと、「文系の学生にも情報など理系的なスキルが必要」という面が強調されがちですが、逆に「理系の学生にも文系的な視点、発想が必要」になることを忘れてはなりません。)
こうした状況を背景に、大学入試は文系科目・理系科目どちらについても基礎的学力を求める、どちらの視点も重視するといった方向に向かいつつあります。
大学入学共通テストの数学で文章読解力を要する問題が出る、逆に国語では図表やグラフを読み取らせる問題が出る、というのはその表れでしょう。
各大学、学部でもこれまでの文系・理系の枠にこだわらず、必要な科目を入試に課す(あるいは事前に履修を求める)動きが見られます。さらには、高校でも文系・理系のコース分け自体を廃止するケースが少しずつ出てきました。

 

高校生の文理選択・進路選択の基準は?

ただ、いまのところは多くの高校が文系・理系のコース分けを維持しています。受験科目の組合せも、大まかに文系・理系に分かれているのが現実です。

それでは、どのような基準でコースや志望校を選ぶべきなのでしょうか。
まず言えるのは、「数学や理科が苦手だから文系」「国語や英語がきらいだから理系」といった消極的な選択は適切ではないということ。文系科目・理系科目どちらの基礎や思考力が求められる時代です。大学入学後も見すえ、苦手も避けずに学ぶことが大切です。考えるべきは、自分がめざす将来像です。
将来やりたい仕事は何か?大学で学びたいことは何か?そのために、高校生のうちにしっかり学んでおくことは?そう考えれば、現時点でどちらのコースを選ぶか、どの科目を履修するかが決まってきます。今時点で定まっていなくとも、未来を考えての選択は、可能性を広げることにつながります。
2022年4月からの新指導要領では、学力の3要素の1つとして、「主体性・多様性・協働性」も評価されるべき学力に含まれるようになりました。詳しくは【大学入試改革の今】新しい学力観のもとで大学入試はどう変わったか?をご覧ください。
この新しい学力観のもとで行われる入試では、自分の将来を見すえて主体的に選択すること自体が重視されます。総合型選抜の入試においては、志望学部に関連する知識が問われる小論文や面接での口頭試問が行われることもあります。将来を見すえて主体的に進路を選択し、準備を始めていなければ、回答は困難です。
自らの進路を具体的にイメージして選べるように、オープンキャンパスや説明会にはぜひ早い時期から参加し、大学での学びやその後の職業生活への関心を深めておき、文理選択に活かしましょう。
すでに述べたように、最近はアドミッション・ポリシーに基づき、独自色の強い方式で入学者選抜を行っている大学も増えてきています。なので、志望校のアドミッション・ポリシーにもぜひ一度目を通してみてください。高校時代に何を重点的に学んでおくとよいか、それを判断する参考になるかもしれません。

 

苦手科目に向き合おう

将来のために学ぶべき科目とは別に、入試段階では自らの得意科目を活かした受験プランを考える。それは当然の戦略です。得意科目に頼ろうとするあまり、苦手科目を切り捨てることは危険です。
たとえば、理系の難関学部を受験する場合、受験者の多くが理系科目を得意としているため、かえって文系科目で差がつきやすいと言われます。
その点を考慮すると、苦手な文系科目の克服に力を入れることは受験では合理的な戦略になりえます。苦手科目がなければ、使える入試方式・受験科目の幅も広がります。
さらに、苦手科目に向きあうことは自分の発想の幅を広げることにもつながります。文系・理系双方の視点から複眼的に物事をとらえるトレーニングになるので、その経験が将来、いろいろな場面で活きるはずです。
苦手な教科、嫌いな教科については、なるべく早めに対策を打つように心がけましょう。
苦手意識が固まってしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまいます。「この教科は苦手だ/嫌いだ」と思いこむようになったのには、何か些細なきっかけ・原因が存在する場合も少なくありません。そこまでさかのぼって克服を図る、というのも有効な考え方です。

将来を見すえて、主体的に進路選択を行い、苦手な科目は克服をめざす。難しいことではありますが、この経験は受験だけでなく、その先の未来に渡ってもプラスになります。
文理選択をする前に、一度未来の自分を想像してみませんか。

 

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