執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
記事更新日:2021年7月5日
つい言ってしまいがちな「宿題やった?」というワード。
今回はZ会の教室で国語を教えて10年の鈴木が「つい言ってしまいがちなNGワード」についてお伝えします。
「宿題やった?」というワードは「子どもが親にもっとも言われたくない言葉 第1位」という説もあります。
なぜこの言葉がNGワードなのでしょう?そしてどうしたら、「宿題やった」と言わなくても、宿題ができるようになるのでしょうか。
「宿題やった?」がダメな理由
「注意」は同じ内容を繰り返せば繰り返すほど、1回の効力は弱まってしまいます。人は本能的に嫌なことを回避しようという性質を持っています。
さて、ここで子どもにとって「嫌なこと」とは何でしょうか?「宿題をやらないこと」→ならば「宿題をやる」という行動変容が見られますよね。
しかし実際には違います。「怒られること」が嫌なので、→ならば「怒られないようにしよう」と行動をとるようになり、残念ながら宿題を取り組むどころか「やったふりをする」「適当に片付ける」ようになってしまいます。
そもそも宿題の目的は何でしょうか。「宿題を取り組むこと」そのものが目的ではないですよね。でも、「宿題やった?」という声掛けが続くと、「宿題をやること」がゴールになってしまうのです。
手段と目的が逆転しないように
「言ってもやらないなら放っておく」という考えも、残念ながら本質的な解決にならなそうです。まして「宿題やったらご褒美」は、最悪。
ここで「ご褒美をもらうこと」が目的になってしまうと、最初はやれても徐々にご褒美をもらえることが当たり前になり、それに飽きてやらなくなる、もしくはさらに高い「ご褒美」を要求するようになってしまいます。
これでうまくいかなくなると「宿題やらなかったら懲罰」になるのが人の心理。親子関係はますます悪化してしまいます。
ルール作りが大切
では、どうすれば良いか。たとえば「学校から返ってきたらカバンの中身をリビングで出して見せること」などルール作りをして、宿題の進捗が管理できる仕組みを作りましょう。具体的な指示を出しすぎず、本人に決めてもらうことが大事です。助言は「●時からやる」とくらいにとどめましょう。
宿題をきちんと取り組めているか気になる際には、「どんな宿題が出ているの?」というヒアリングをしてみるのもお勧めです。詰問ではなく質問、対話が大事です。興味を持っているということを伝えることが大事です。ルール決めにより「宿題をやるのが当たり前」という空気感を作ることも大切ですね。
この記事の著者
鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。