執筆者:大堀信也(Z会進学教室 西大寺教室長)
記事更新日:2021年10月29日
【連載:高校入試を知る!】奈良県公立高校篇
こんにちは。Z会西大寺教室の大堀です。入試制度シリーズとして、今回は奈良県公立高校(一般選抜)の入試制度についてお話ししましょう。公立高校といっても、都道府県によって大きな違いがあります。
入学者選抜の種類
奈良県の公立高校には3種類の選抜があります。それぞれの特徴を説明していきます。
①特色選抜 2月中旬に実施…専門学科、総合学科、普通科の一部のコースで実施
②一般選抜 3月初旬に実施…募集する学科(コース)及び特色選抜で定員に満たなかった学科(コース)
③二次募集 3月下旬に実施…一般選抜で定員に満たなかった学科(コース)
※今回は関わりの大きい②についてのみ取り上げて説明します。公立高校受験ですので①→②→③の流れの中で、合格=入学になります。つまり①で合格すれば、②以降は受験できません。
一般選抜の概要
①検査成績
【全ての高校】学力検査 【一部の学科(コース)】面接または実技検査
教育委員会が作成した国語、社会、数学、理科、英語の5教科(各50点満点)の学力検査を各50分で実施します。ただし、一部の学校では学力検査の合計点に加重配点を行う場合があります。
<例>
・高田高校(普通科)
50点×5教科×1.2(加重配点)=300点満点
・奈良北高校(数理情報科)
50点×3教科(国英社)+50点×2教科(数理)×1.5(加重配点)=300点満点
②調査書成績
中2学年末、中3の1学期、中3の2学期の計3期分が使用されます。1期あたり5段階×9教科=45点満点となります。ただし、一部の学校では特定教科に加重配点を行う場合があります。
<例>
・国際高校(国際科plus、国際科)
45点×3期+15(英語:加重配点)=150点満点
・奈良北高校(数理情報科)
45点×3期+30(数学、理科:加重配点)165点満点
③合否の判定
上記①検査成績、②調査書成績及び調査書のその他記載事項を資料として、総合的に合否を判定します。
※調査書の特別な取扱い
実施する高校は、募集人員の一部について、調査書のその他記載事項の中で重視する事項を定めて点数化して調査書成績に加算します。この場合、調査書の特別な取扱いによる合格人数を除いた人数を上記③で選抜した後、まだ合格になっていない受験者を対象に実施されます。
<例>
市立一条高校(普通科)…20名枠 10点分
学力検査と調査書について
・学力検査
250点満点のうち総合平均点は21年度:164.4点、20年度:156.4点、19年度:155.0点です。つまりおよそ60%が全体の平均点になりますが、数学は21年度:27.6点、20年度25.4点:、19年度:27.2点、と他の4教科と比べて難易度が髙いです。よって数学力の向上がトップ校に合格する秘訣とも言えます。
・調査書
調査書は主要5教科(英数国理社)+副教科4教科(音技家体美)の合わせて9教科の5段階評価で、45点満点です。これが中2の学年末、中3の1学期、中3の2学期の3期分なので、45×3=135点となります。
中1の成績は入らず中3が2期分入るので、中3にウェイトが置かれていることがお分かりかと思いますが、かといって中3から挽回!という姿勢ではいけません。なぜなら中1の成績≒中3の成績になるからです。中1からしっかり成績を意識し、満点を目指すことが基本です。そのためにも中1から計画立てて学習を進めていくことが重要になります。
メッセージ
奈良県公立高校は現在学校再編の真っ只中です。毎年統廃合や移転、中高一貫化など安定していませんが、大切なことは制度や情報に流されず、今できることを精一杯取り組むことです。いつの時代も「自ら考え、解決し、表現できる力」を養うことが重要であるとZ会は考えています。いつでもZ会の教室までご相談ください。
この記事の著者
大堀信也(おおほり・しんや)
奈良県生まれ、京都府南部育ち。関西圏のみならず、首都圏等での勤務を経て2020年西大寺教室開校と同時に教室長として勤務。学問の本質を追求しつつ、学ぶ楽しさを学んでほしいと思います。小手先のテクニックでは分かり得ない、本物の学力養成をお手伝いすべく、日々精進しております。ぜひ一度、Z会の教室にお越しください。