第27回 【入試制度】愛知県公立高校篇 ~小学6年生のあなたへ~

執筆者:大堀信也(Z会進学教室 西大寺教室長)
記事更新日:2022年01月14日

【連載:高校入試を知る!】愛知県公立高校篇

入試制度シリーズとして、今回は愛知県公立高校の入試制度(複合選抜制)についてお話しましょう。公立高校といっても、都道府県によって大きな違いがあります。愛知県の入試制度は複雑ですので、1つ1つ解説していきます。

※ここで示すものは現行制度のもので、令和5(2023)年度より一部変更になります。

入学者選抜の種類と推薦選抜の概要

■入学者選抜の種類

愛知県の公立高校には3種類の選抜があります。それぞれの特徴を説明していきます。
①推薦選抜 3月上旬に実施…普通科(10~15%)、専門・総合学科(30~40%)
②一般選抜 3月上旬に実施…普通科(85~90%)、専門・総合学科(60~70%)
③二次募集 3月下旬に実施…推薦選抜・一般選抜で定員に満たなかった学科(コース)
※今回は関わりの大きい①②についてのみ取り上げて説明します。

■推薦選抜の概要

①学力推薦…調査書(内申点)が主な判定材料。
②人物推薦…運動、文化、芸術、奉仕活動などの活動実績が主な判定材料。
③環境推薦…恵まれない環境を克服し、生活態度が他の模範となる生徒が中学校に申し出る。

推薦選抜では一般選抜と同一試験日に面接等が実施されますが、推薦書(調査書)の内容及び面接の結果をもって合格者が決定されます。(学力検査を受けますが、資料としては用いられません)

一般選抜の概要

①普通科

●居住地
「居住地(尾張・三河学区)」「学校群(尾張学区のみ選択制)」「入試実施日程(A・Bグループ」をもとに最大で2校の受験校を決定します。
※学区の境界に近い地域に居住する場合は特例として学区をまたがった受験校の選択が可能です。

●学校群
尾張学区ではさらに「第1群」「第2群」に分かれます。まず第一志望校が属する群を選んだ後、同じ群の中で入試実施日程の異なる第二志望校を組み合わせる仕組みなっています。一部、「1・2群共通校」として、どちらの群の高校とも組み合わせることが可能でありますが、共通校以外の高校では群を跨いでの受験はできません。三河学区は「三河群」のみなので、群の選択はありません。

●入試実施日程
日程の異なるA・Bグループの2つのグループからそれぞれ1校を選び、どちらか一方を第1志望校、他方を第2志望とします。グループが異なれば、普通科と総合学科・専門学科の組み合わせも可能です。

②総合学科・専門学科

居住地に関わらず県内全ての高校への出願が可能です。普通科と同じく全ての学校がA・Bの2つのグループに分かれており、最大2校の受験が可能です。


■学力検査について
1教科22点(ほぼ1問1点)×5教科(国数英社理)=110点満点。TOP校を狙う生徒にとっては満点を目指してほしいです。

■調査書について
調査書は主要5教科(英数国理社)+副教科4教科(音技家体美)の合わせて9教科の5段階評価で、45点満点です。中3の内申点「5段階×9教科×2倍=90点満点」で付けられます。

■面接について
参考程度の約10点程度だと思われますが、正確には非公表です。

一般選抜における校内順位の決め方

学力検査(110点)+調査書(90点)+面接(α点)=200点に各高校設定されていますが、単に得点の髙い順に決めるわけではありません。受験者をA、Bに分け、得点調整が行われます。

A:学力検査且つ調査書が募集定員以内→得点調整なしでそのまま合格
B:どちらか一方でも定員外→下記の3パターンにしたがって得点調整が行われます。

Ⅰ(内申点と学力 同等型) ←中堅校に多い
内申点45点×2=90点 + 学力検査110点 =200点満点

Ⅱ(内申点重視型) ←専門学科に多い
内申点45点×3=135点 + 学力検査110点 =245点満点

Ⅲ(学力点重視型) ←上位校に多い
内申点45点×2=90点 + 学力検査110点×1.5=165点 =255点満点

各高校で異なる基準で調整した後、順位付けされ、定員以内にいる生徒は合格となる。この時点で定員外の生徒は不合格となります。

メッセージ

令和5(2023)年度より一部変更があります。主な変更点は以下3つです。

①一般選抜の学力検査が2回から1回に変更(2校に出願できることはこれまで通りです)
②推薦選抜はこれまでより早い時期に実施(推薦選抜では学力検査は実施しません)
③一般選抜で面接を実施するかどうかは、高校毎に決定

上記の変更がありますが、複雑な入試制度は変わらずです。しっかり早くから入試制度を理解し、対策を取っておくことが重要です。より詳細な内容は愛知県教育委員会HPをご参照ください。

何か不明点やご相談等ございましたら、遠慮なくZ会の教室までご連絡ください。

この記事の著者

大堀信也(おおほり・しんや)

奈良県生まれ、京都府南部育ち。関西圏のみならず、首都圏等での勤務を経て2020年西大寺教室開校と同時に教室長として勤務。学問の本質を追求しつつ、学ぶ楽しさを学んでほしいと思います。小手先のテクニックでは分かり得ない、本物の学力養成をお手伝いすべく、日々精進しております。ぜひ一度、Z会の教室にお越しください。

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