第37回 特別インタビュー:ウルフルケイスケさん(ミュージシャン)

執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
写真:ossie
記事更新日:2022年02月25日

【インタビュー企画】ウルフルケイスケさん(ミュージシャン)

Z会の教室による小学6年生の学びを助けるフリーマガジン「親子で始める、中学準備」は、小学校卒業までの日々を有意義に過ごしたいという皆さんに向けて、勉強のアドバイスをお伝えする連載です。

30年以上にわたり、難関高校を目指す中学生の指導を続けているZ会進学教室や、大学受験までを見据えて中高生を指導しているZ会東大進学教室、Z会個別指導教室だからこそお伝えできる「効率良い勉強のコツ」「難関校に合格する子が続けている学習習慣」「最新の受験情報」など、小学6年生の児童の皆さんはもちろんのこと、小学6年生のお子様を持つ保護者の皆様にもご家庭での指導など役立てていただける情報を随時発信していきます。

今回は「親子で始める、中学準備」の特別企画!国民的人気バンド・ウルフルズのギタリストとして紅白歌合戦にも出場した、ミュージシャン・ウルフルケイスケさんのインタビューをお届けします!実は2児の父でもあるウルフルケイスケさんに、子育てのことや「夢を持ち、目標に向かって頑張ること」など、お話を伺いました。

ウルフルケイスケ

1965年5月23日生まれ。大阪府高槻市出身。
「ミスタースマイル」の愛称でお馴染みの笑うギタリスト。
ウルフルズのギタリストとして、1992年デビュー。
多数アーティストのレコーディングやイベントにも参加。
2018年2月、ソロ活動に専念するためウルフルズとしての活動を休止することを発表。
不思議でステキな出会い=マジカル・チェインをテーマに日本全国津々浦々を弾き巡る。
そのスタイルは弾き語りからバンドまで多岐にわたり、自由でシンプルなスタンスでご機嫌なロックンロールを展開中!

https://www.ulfulkeisuke.com/

2児の父として「自由な感じで接した」

――ウルフルケイスケさんはお子さんが二人いらっしゃると聞きましたが、今どのくらいの年齢になるのですか?

ケイスケ:そうです。一人は社会人で、もう一人は大学生。二人とも男の子です。

――これまで「お父さん」として子どもたちと接するときに意識していたことはありますか?

ケイスケ:特別何も言わなかったですね。言ったのは「靴をそろえろ」とか「お箸はちゃんと使え」とかね(笑)。僕が仕事ですごく忙しい時期があって、家にあまりいないとか、家にいても、朝方まで仕事して帰ってきて昼間寝てる…というように時間帯が違ったので。

――お子さんとあまり接点がなかった?

ケイスケ:しばらくいないと思ったらずーっといたりとか、普通の親御さんが仕事しているような時間に家にいてギターを弾いてて、かと思ってテレビをつけたら自分の父親が映ってたり…なので「変わった人やな」と思われてたと思うんですよ。だから、特に何も言わないし、子どもの方も特に反抗するとかもなかったですね。

――反抗期みたいなのはなかったんですね。

ケイスケ:母親に対してはありましたけどね。父親である僕は割と自由な感じで子どもと接していました。

――逆に「将来はミュージシャンに育てたい」といったことはなかったのでしょうか。

ケイスケ:そうですね。息子たちは音楽業界の方に進むことはなかったですけど、音楽は家でいつも流していたので、僕が好きな古いロックとかブルース、ソウル、レゲエなどは興味を持ってくれたみたいです。一度自分の部屋で子どもにエレキギターの音をめっちゃでっかくして聴かせましたね。ガーンって弾いて、「これがエレキやから」って。びっくりしてましたけどね(笑)。

――それはすごい英才教育ですね(笑)。そこからのめりこんで一緒にギターを弾いたりとかは…

ケイスケ:いや、全然。でも二人とも変わった音楽は好きで、たぶん僕の影響ですね。

――二人のお子さんに対して「父の背中を見せる」といったことはされていたのでしょうか。

ケイスケ:僕自身も実家が商売人だったんです。1階がお好み焼き屋さんで2階が家という環境で、週末が休みというわけでもなくて、自由な感じ。そこは息子たちと一緒ですね。小学生の頃は店に顔を出して、お客さんにかわいがってもらったりもしましたし、食材の仕入れについていったこともありましたね。だから、自分の子どもたちも、小さい頃はライブに連れて行って、リハーサルの様子から見せたりしてました。「背中を見ろ」なんてそんないいものじゃないですけど(笑)

――いやーでもお父さんが大きなステージでギターを弾いていたら最高にかっこいいですよね!

ケイスケ:かっこいいかもしれないけど、どう思ったんですかね?逆に聞きたいですね。

「気持ちが大事」「到達する過程も含めて楽しめるか」

――お子さんが進路を選択するにあたって、どのように助言されましたか?

ケイスケ:「自分の進路は自分で決めや」って言いました。アドバイスはしますけどね。母親は細かいことも含めて色々助言すると思うんですが、僕は自分の話も交えて「こういう気持ちでこういうことをやっている」って伝えています。どんな仕事でもどんな環境でも、根本の気持ちは一緒やと思うんです。一番大事なのは気持ちで、自分がどうしたいかを考えることが大事。たとえすぐに答えは出なくても、そこを自分の中できちんと考えたり思ったりして、それで好きなようにしたらいい。親としては反対しないよって。

――なるほど。「自分の気持ち」を大切にするように伝えたんですね。

ケイスケ:細かいことより、自分が何をしたら楽しいか。楽しいというのもその場限りのイエーイ楽しい!ということではなくて、到達する過程も含めて楽しいということ。楽しくないと良くないと思うんですよ。好きじゃないことを無理やりやったり、我慢したりするんじゃなくて、楽しいと思うことは何でもしていいよって。その代わり靴はそろえて、挨拶だけはちゃんとするように(笑)

――コロナ禍で「楽しいこと」を見つけること自体、いっそう難しくなりつつあるようにも思います。子どもたちはどうやって夢や目標を見つけていけばよいのでしょうか。

ケイスケ:小学校にライブに行くこともあって、その時によくお話しするのですが、やっぱり自分の中だけで考えてもグルグル回るだけで難しいと思うんですよ。人とのつながりの中で自分って見えてくると思います。歌も聴いてくれる人の反応を通して「こういうの喜んでくれんのや」と分かります。自分だけじゃなくて周りの人とのつながりで自分のことが分かってくることが多いんです。だから、迷うのは当然で、自分だけで抱えずに、答えはいろんな人でもいいし映画でもいいし本でもいいので、閉ざすんじゃなくて何かとつながっていく方がいいと僕は思います。

――なるほど。人とのつながり、関わりが大切なんですね。

ケイスケ:今僕は全国のライブハウスやカフェをギター1本背負って回っているのですが、「マジカルチェイン」というテーマを掲げています。マジカルチェインとは、不思議で素敵なつながり。自分のことが知りたいから、色んな所に行ったり色んな人に話したりする。その過程ではいいことだけじゃないかもしれないし、時に失敗もします。でも、失敗もいっぱいした方がいい。

「迷ったら、やる」。人とのつながりで自分のことが分かる

――失敗を恐れずに、人と関わっていった方が良いのですね。

ケイスケ:迷ったら、やる。迷ったらやめておこうじゃなくてね。やってみて失敗したら、ええか、って。どんなことにせよ、やらなかったことは後々心に残って後悔しますよね。

――失敗を恐れたり避けようとしたりする子どもが多い印象があります。

ケイスケ:多いね。泥臭くない。親が失敗を認めないのも良くないですね。自分は失敗しても子供には何も言わなかったですね。「どう思う?」って聞いて、原因について話したりもしますが、失敗してもええやんって。自分も相当失敗してますからね(笑)。でも、失敗した方がかえっていいと思いますけどね。失敗してない雰囲気の子を見ると逆に不安ですけどね。失敗してもええやん!って。

――「どう思う?」って問いかけるのですね。

ケイスケ:そうですね。どういう気持ちだった?って。細かいことより、次どういう気持ちになりたい?っていう根本のことが分かると、じゃあそこにたどり着くには何をしたらええかっていうのがわかりやすくなると思うんですよ。細かいことよりも、まず自分の気持ちとかどういうことがしたいかを考える方が意外と近道になるんちゃうかなって思いますね。

――確かに気持ちは大事ですね。大人になると理想よりも「現実的に可能かな」とつい考えてします。

ケイスケ:確かに「これで本当にできるのかな」って迷いますよね。でも迷うことがまず第一歩で、それ自体が考えてるってことだから、大事だと思うんですよ。一番大事なのは自分の気持ち。だから、まずはそこを考えることが意外と近道。今自分が何をしたらいいかわからないっていう人は、まず自分はどんなことをしたら気持ち良いか、って考えてみてほしいです。その根本の気持ちが分かると、前に進むための道筋が分かってくるような気がしますね。

この記事の著者

鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。

 

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