第38回 親から子への声掛けの注意事項 ~中学受験でうまくいかなかった君へ~

執筆者:小林裕人(Z会進学教室 町田教室長/数学科)
記事更新日:2022年03月01日

【連載】中学受験でうまくいかなかった君へ ~受験後も学びは続く~
 ⑥「親から子への声掛けの注意事項」

中学受験(受検)を終えた小学生の保護者さま、今回はちょっと視点を変えて、お子様に対してどんな声かけをしていけば良いか、3年後の高校受験に向けてどう準備していけばよいかということをお話させて頂ければと思います。特に、不合格になる人の方が多い公立一貫校受検を経て、その先の高校受験に向かった生徒の事例をご紹介します。


中学受検はゴールではない!のだが…

中学受検を目指している子はみんな、中学受検を1つのゴールとして今まで頑張ってきたと思います。もちろん、それが間違いだったというわけではなく、目標に向かって大変な努力をしてきたので、当然そのように感じるのだと思います。

しかし、残念な結果になってしまった場合、多くの方が地元の公立中学校に進むことになり、その瞬間に高校受験のスタートラインに立たされてしまいます。

このことは、大人の目線から見ると、決して想定外の事態ではなく、不合格であれば高校受験ということはわかっていたことだと思います。ただ、お子様にとっては、受検も不合格も初めての経験です。受かる可能性は低いと頭ではわかっていても、実際に結果を知って涙する子も多いです。

そんな大変な経験をした子供に対して、どのように声かけをしていけばよいのか…。声のかけ方次第で、3年後の高校受験の結果も変わってくる…のでしょうか?

中学受検経験者の高校受験の事例1

中学受検をしたお子様が3年後にどんな受験をすることになるのか、過去の事例をお話してみたいと思います。

中学受検をして悔しい思いをした私の担当生徒が、合格発表の日、目に涙を浮かべながら「不合格でした」と報告に来てくれました。この生徒は、通塾中の成績としては合格ラインには少し足りないくらいの実力で、大人から見れば、不合格でも仕方ない…くらいの印象でしたが、当然本人としては大変ショックを受けていました。

私も、何と声かけをしようかと思っていると、本人の方から「今すぐ入塾手続きをしたい。高校受験で絶対にリベンジします」と言ってきてくれました。

このときは、悔しさをばねにして頑張ってくれることを嬉しいと思う気持ちもありながら、この思いを3年後まで持ち続けてくれるかという心配もあったことを覚えています。

しかしその後、良い意味で予想は裏切られ、その生徒は3年間努力し続けて見事に高校受験で都立トップ高校、国立大附属高校に合格してくれました。

これは、中学受検を通して、勉強のしかたを身に付け、悔しさをばねに高校受験を成功させた良い例だと思います。

中学受検は狭き門です。特に公立中高一貫校の受検ではどうしても不合格になってしまう生徒はいます。むしろ、倍率から考えて、不合格になってしまう生徒の方が多いので、不合格になってしまっても次に生かせるような声かけをしていかなくてはなりません。

中学受検経験者の高校受験の事例2

また別の生徒さんのお話です。この子も同じく中学受検で悔しい思いをした生徒でした。小6当時は、もちろん悔しいという思いはあったと思いますが、先ほどの生徒と比べると、涙を流すわけでもなく、悲しいけれどまあ仕方ないというような心境に見えました。ただ、その後もZ会に通ってくれており、成績も最上位とは言えませんが優秀な成績で3年生をむかえました。

ところが、受験が近づくにつれて成績が徐々に伸び悩んできてしまいました…。これはどうしたことだろうかと、本人と面談を繰り返すと、「受験が怖い」ということがわかってきました。小6の時の受検と同じように、また不合格になってしまうのではないか?という恐れから勉強に身が入らないという事態になってしまっていたのです。

この生徒について言えば、この後面談を繰り返し行ったり、成績が伸びた際にしっかり褒めることで、自信を回復させ、最終的には志望校に合格することが出来ました。しかし、この事例は、中学受験がマイナスに働いてしまった例だと思います。

結果的には上手くいきましたが、こうなってしまうことはなるべくなら避けたいというのが本音です。中学受検で不合格になってしまったとき、本人はあまり気にしているように見えなくても、「失敗だった」と思わせない声かけが必要だったということを痛感しました。

ご家庭でできる声かけとは?

調布教室 新規開校 教室内では、もし受検に失敗してしまった時のことを考えて、ご家庭でどのような声かけができるでしょうか。

私の考えでは、受検後にどう声かけをするかではなく、受検中から声かけをしなければならないと思っています。

大事なのは「受検に対して当事者意識を持つこと」で、不合格になることは考えずに合格を信じて突き進むと言うと聞こえは良いですが、それをして確実に合格できるほど甘い受検ではありません。むしろ、不合格になる可能性も高いが、それでも受検する意味があることを理解しておけば、不合格は想定外の出来事ではなくなり、悔しいとは感じても、トラウマになってしまうことは少ないのではないでしょうか。

これは言い換えれば、大人の考え方をするということなので、一言声をかけてどうにかなるものではないと思います。

受検をすること自体、何故受検するのか、倍率が高い受検で合格するには相当な努力がいる、そうしたとしても必ず合格できるとは限らない、それでも受検するのか、不合格なら高校受験をすること‥など、本人も含めてしっかり常に話し合って行くことが大切です。

私は個人的に、中学受検の最大のメリットは、人間的な成長が見込めることにあると思っています。自分のことを自分で考え、目的に向かって努力することを学び、その結果を受け止める。そのような人間になるために、ご家族と一緒に進んでいって欲しいと思います。

この記事の著者

小林裕人(こばやし・ゆうと)

Z会町田教室の教室長。Z会では公立一貫校受検コース、高校受験を目指す小6コース、中学生の数学を担当。中学受験~大学受験まで幅広い年齢層への算数・数学の指導経験があり、それを生かして次学年へとつながる指導を展開している。

町田市の学習塾・個別指導塾「Z会町田教室」

 

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