執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
記事更新日:2022年06月17日
自由研究、調べ学習もこれでばっちり! 課題解決のヒケツ、5つのステップとは? ~小学6年生のあなたへ~
こんにちは。Z会調布教室教室長の鈴木です。突然ですがこの記事を読んでいる皆さんは「課題」と聞いてどんなイメージを持ちますか? 「難しそう」「めんどくさい」そんなふうに感じた人もいるかもしれませんね。
では、あなたの好きなもののことを少し思い浮かべてみてください。スポーツ、楽器、ゲーム…以前できなかった難しいことができるようになったり、強い相手に勝てたりするとうれしいですよね。ここでの「難しいこと」や「強い相手」も、「課題」です。このように、人は誰もが自分の人生を豊かにするために「課題」に立ち向かっています。
とは言え、「課題」をどう解決したらよいかわからないと困りますよね。そこで今回は、とっておきの課題解決の方法を皆さんにご紹介します。これを読めば学校での課題学習や、夏休みの自由研究が一味違う素晴らしいものになること間違いなしです!
課題ってそもそも何?
皆さんは「課題」と聞いてどんな印象を持ちますか。「宿題」「やらないといけないこと」「困ったこと」「挑戦し克服するもの」…色々とありますよね。そして「課題」という言葉は、よく「解決」という言葉とセットで語られます。課題は解決するもの。
では、どのようにして課題を解決すればよいのでしょうか。解決の方法は、『課題解決のヒケツ』という本に書かれていました。皆さんと同じ、小学生のマコトが3人の友達と日常の様々な課題に立ち向かっていくストーリーです。マコトたち4人はある日、屋根裏部屋で「秘伝の書」を見つけるのですが…ほんの少し、本の中身を読んでみましょう。
ある日の夕方、「マーマレードを作るから、オレンジを1キロ買ってきてね」とお母さんから頼まれたマコト。
スーパーマーケットの果物売り場でのことです。お父さんが持ち上げたオレンジの袋を見て、マコトは声をあげました。
「あれ? どこにも重さが書いてないよ。」
「本当だ。困ったね。何が課題か、見極めよう!」
お父さんがいいました。
「課題……? 見極める……?」
マコトが首をかしげると、お父さんが言います。
「そう。なんとなく『困った!』というのではなく、困っていることは何なのかをきちんと確認しよう。」
「そっか。今、困っているのは、オレンジの袋に重さが書いてないこと。」
「なるほど。その背景は?」
「は、はいけい? どういうこと?」
マコトは目をぱちくりさせました。
「何が課題か、見極めよう!」と言われても困りますよね。お父さんは「『困った!』というのではなく、困っていることは何なのかをきちんと確認しよう。」と言っていましたが、「困っていることを確認する」というのは、たとえば調べ学習をする場合には、【「何を調べたいのか」をなるべく具体的に・明らかにしていくこと】に置き換えられそうです。
「日本の農業の課題について調べよう!」というだけでは、一体何をどう調べたら良いのかよくわかりません。「農業」の何を課題として調べたいのか…「生産量」のことなのか、「働く人」のことなのか、「輸入」のことなのか…など、具体的に、明らかにしていきましょう。
これから夏休みの自由研究を考えたい人は、マコトのように身近なものの重さを「量りを使わずに調べる方法」を考えるなど、「必要な道具がないなかでの工夫」をテーマにするのも良さそうですね!
はたして、マコトは無事にオレンジ1キロを計ることができたのでしょうか? …続きが気になった人はぜひ本を買って読んでみてくださいね。
課題解決の5ステップ
本の中ではこのほかにも様々な課題にマコトたちが立ち向かっていきます。そこで紹介されている「課題解決」の5つのステップが、以下の通りです。
一.課題を見極めよ。
二.背景を分析せよ。
三.条件を挙げよ。
四.できることを探せ。
五.心を決めて実行せよ。
ただ漠然と「困ったな」とだけ思っていても、先に進むことはできません。「困っていること」や「成しとげたいこと」、「これから起こりそうな問題」を見極めましょう。
そして、課題がはっきりしたら、その背景を分析します。背景とは「なぜそれが課題になるのか」ということです。たとえば「雨がふりそうだ」ということが課題になるとき、「雨にぬれたくない」ことが背景にあるということになります。(雨が大好きで、たくさんふってほしいと考えている人にとって「雨がふりそうだ」ということは課題にならないですよね)
それから、「できること」と「できないこと」の条件を見極めたうえで、何ができるかを見極めます。やることが決まったら、最後は心を決めて実行しましょう!
夏休みの自由研究では、思った通りに調べ学習が進まなかったり、何をどのようにまとめたらいいか、壁にぶつかったりすることもあるでしょう。そういうときに、先ほどの3ステップ目の「条件を挙げよ」という方法は役立ちそうですね。
Z会の教室でも、6年生の生徒からよく「どの調べ方が一番よいのかわからない!」と相談を受けることがあります。「こうするとよいよ」と答えを言ってしまうのは簡単ですが、「調べ方を考える」こと自体も、6年生の皆さんにとって貴重な成長機会だなと感じます。
「人に聞く」「インターネットで調べる」「図書館で本を借りる」…方法はたくさんありますが、その中で「人」=身近にいないから難しいな、「図書館」=今度の休みに行けそうだな、など条件を考えていくことで、できることやできないこと、やるべきことの優先順位がはっきりしてきそうです。
99%の小学生は気付いていない?
『課題解決のヒケツ』は、Z会から出ている「99%シリーズ」のラインナップにあります。教科書では学べない、これから生きていくために大切な力です。気になった人はぜひ、『課題解決のヒケツ』を本屋さんで買って読んでみてください。そして、このヒケツはどんなことにも使えるので、身近なことで試してみましょう。
❖書籍紹介リンク
https://www.zkai.co.jp/books/guide/id-5403/
「99%シリーズ」特設サイトURL
https://www.zkai.co.jp/books/99series/
この記事の著者
鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。