「京大文系数学」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 難易度は昨年並み。
  • 分量も昨年並み。

2022年度入試の特記事項

  • 頻出の整数問題は、本年は出題されなかった。一方、常用対数の近似値評価(第1問)、空間内での直交条件(第5問)など、京大で頻出の題材が見られるセットでもあった。
  • 京大では、1つの大問の中で「問1」「問2」として独立した別々のテーマを扱う形式の出題もあるが、本年は見られなかった。

合否の分かれ目はここだ!

第3問と第5問を完答し、基礎点としたい。あとは、第1問、第2問、第4問のうち、得意な分野で1問分程度得点すれば安全圏だろう。

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大問別のポイント

 第1問  

  • 年度絡みの問題で、2022という数の不等式評価を行うもの。なお、2の常用対数の範囲だけが与えられているので、これ以外の常用対数の近似値は(もし覚えていたとしても)使えないと考えるべきだろう。
  • 示すのは「2022が、2の10.8乗よりも大きく、2の11乗よりも小さいこと」である。後者は 2022 < 2048 から容易にわかるが、前者が難しい。与えられた常用対数が使える形にもち込むために、2000 < 2022 に着目すればよいと気づくことがポイントだった。
  • 常用対数の評価に慣れていない人は、見通しがつかめずに苦労しただろう。京大では過去にもたびたび常用対数が出題されているので、過去問研究などを通じた類題経験の有無でも差がついたといえそうだ。

 第2問  

  • 点の移動に関する場合の数の問題で、漸化式を立てて解く典型的な設定。とはいえ、状態遷移の把握や設定の仕方など、慣れていない人には簡単ではなく、文系の出題としては少し難しいだろう。
  • 対称性から、点A、B、Cおよび点D、E、Fという2つのグループに分けて考えるのがポイント。k回目の移動後にどちらのグループにいるかという2つの状態を考え、それらの間の遷移を立式すればよいが、グループ内での移動とグループ間での移動を両方考える必要があるので、整理して考えないと混乱しそうだ。
  • 場合の数の漸化式に慣れておらず、確率漸化式のほうが考えやすい人は、k回目の移動後に点A,B,Cのいずれかにいる「確率を」pkなどとおいて漸化式を解き、an = pn × 3n から求めるという手もある。

 第3問  

  • 放物線の接線と、囲まれる面積に関する問題。
  • 問われている内容はどの参考書にも掲載されているレベルであり、手早く、確実に処理したい。そのために、文字のおき方はいろいろ考えられるが、最後に積分計算をすることを見据えると、接点のx座標をα、βなどとおいて条件を立式していく方針がベストだろう(|α – β| を求めることが目標になる)。見通しや構想の力が問われた問題といえそうだ。

 第4問  

  • 双曲線と直線の交点を結ぶ線分の中点の軌跡を求める問題。上手く処理しないと、多くの文字を含む計算になり、意外に苦戦するかもしれない
  • 線分の比に関する条件が与えられているが、同一直線上にある線分なので、交点のx座標だけに着目すればよい。中点の座標がみたす関係式を導くことを目標に、対称性なども利用しながら見通しよく文字を減らしていこう。

 第5問  

  • 四面体に関して、垂直条件、図形量の最大・最小を問う入試典型問題。
  • ベクトル表記があるので、素直にベクトルを用いるとよいだろう。計算量も大したことはなく、余計なことを考えない分早い(BP:PC=t:(1-t)などとおき、一次独立な3つのベクトルを使って立式すれば、与えられた条件から内積の値がわかる。あとは、(1)は内積が0であることから示されるし、(2)もPGの長さをtで表せば容易である)。
  • この他、図形と計量や初等幾何の知識だけで解くこともできる。その場合は、PG⊥BCのときに最小になるはずだと予想できると見通しがよい。

 攻略のためのアドバイス

京大文系数学を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 手早く正確に計算をする力

最近の京大文系数学においては、計算力さえあれば完答できる問題が出題されることも少なくない。このような問題を短時間で解くことができれば、思考力を要する他の問題に時間をかけることができる。

また、計算力が得点に直結する微分法・積分法も頻出分野である。計算力は日々の計算練習で身につくものである。問題集などを使って、毎日、計算練習をするようにしよう。

●要求2● 問題の構造を捉える力

京大文系数学において頻出の分野として、図形問題がある。図形問題には、初等幾何、ベクトル、座標幾何などいろいろな解法があり、どの解法を取ればよいのかをまず考えてから解く必要があるものが多い。どの解法を使うのか、見方を変えてほかの問題に帰着させることができないかなどを発想できる力をつけることが必要である。

発想力は、京大の過去問など発想力を鍛えられる問題を解き、考える訓練をすることで身につけられる。

●要求3● 採点者に自分の考えを伝える力

証明問題において論証力が要求されることは言うまでもないが、求値問題においても、答えに至る過程を丁寧に説明する力が要求されるものが目立つ。記述式の試験においては、自分の頭の中では分かっていてもそれを採点者に伝えることができなければ、点数に結びつかない。論理的に無理なく、より簡潔に答案を書くための論証力をつけることが必要である。

論証力は自分一人で勉強を進めても身につきにくい。この力は、Z会の通信教育で別の人に採点・添削をしてもらい、その結果を復習することで身につけられる。

対策の進め方

まずは、各分野の完成からである。京大入試では様々な考え方が必要とされるので、苦手分野があれば、遅くとも高3の夏休みまでには克服したい。Z会の通信教育では、入試に必要な考え方を幅広い分野の演習を通して身につけることができるようになっている。

高3の秋以降は、それまでに身につけた考え方を、実戦的な問題演習を通して使いこなせるようにしていこう。受験生用のZ会の講座では、微積分、図形、整数、確率といった京大頻出分野の問題を中心に、論証力も養成されるように学習を進めていく。

共通テストが終わったあとは、これまでの学習の総まとめである。京大入試に即応したZ会の問題で、入試に使える計算力・発想力・論証力を完成させよう。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大文系数学担当者からのメッセージ

文系としては難易度の高い問題を出題する京大とはいえ、解ける問題も出題されています。今年であれば第3問~第5問です。このような問題を確実に得点することが必要です。第1問(常用対数)のような盲点になりやすい所も積極的に補強しておくことも大切です。「敢えて受験生が苦手とする部分をついてくる」というのは、「数学をきちんと勉強してきたか?」を見るのが狙いで、解法の暗記や、身についてないテクニックを用いるなどのうわべだけの学習に対する警鐘ともいえます。

Z会の京大コースでは、京大数学で問われる頻出テーマや分野を網羅するだけでなく、添削指導や豊富な解説で真の理解と応用力を育むことができます。1問1問を味わい尽くすように1年間取り組むことで、1年後には想像以上の学力が身につきます。

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