2023年度「京大物理」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2023年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化(理科…2科目180分)

  • 分量は2022年度並で、大きな変化はない。
  • 難易度についてはどの問題もほぼ同程度で、全体を通して2022年度と同等であった。

2023年度入試の特記事項

  • 京大受験生にとっては、各問題ともに標準的な難易度であった。
  • グラフ選択や作図問題の数が4問で、例年1〜2問であるのに比べて多かった。
  • 問題のページ数および解答数は、例年に比べて多かったが、負担感に大きな変化はない。

合否の分かれ目はここだ!

  • 京大物理は、問題文の情報量の多さ、問うている状況の目新しさやイメージのしにくさ、近似をはじめとする計算量の多さや煩雑さが、その特徴である。いかに問題文をすばやく読み、必要な情報を抽出して整理し、正確かつ迅速に計算ができるかが合否の分かれ目と言えるだろう。
  • 2023年度は、全体で6割程度は得点したい試験であった。
各大問のポイント
  • 問題Ⅰは、(1)は問1を除いて完答したい。(2)、(3)の考察は同じであるので、(2)が解答できれば、(3)も解答できる。空欄「ク」は、vを用いずに表すことに注意したい。
  • 問題Ⅱは、(1)〜(4)の球形コンデンサーの容量の導出までについては、京大受験生ならどこかで見たことがあるだろう。演習経験を思い出して、ミスなく解答したい。(6)の光電効果についての問2は、グラフの意味を理解するのに手間取るようなら、後回しにしてよい。
  • 問題Ⅲは、題意を正確に把握できれば、(1)、(2)は回答可能である。(3)も前問までの流れから解答可能であり、空欄「き」〜「こ」は基本的であるので、時間的な余裕がなくても埋めておきたい
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 物理問題 I  力学[標準]
ケプラー問題、円軌道の半径方向の変化

  • (1)は宇宙船の楕円軌道上でのエネルギーを考察する。面積速度を用いて立式する点が通常とは異なる。問1のグラフは後の設問へ影響しないので、余裕がなければ後回しにするのも手である。
  • (2)、(3)は円運動している宇宙船が、瞬間的に半径方向の速度成分を与えられた場合の、半径方向の運動について考察する。
  • (3)は、通常の万有引力ではない引力が働く場合について扱うが、(2)、(3)ともに考察すべき内容は同じで、(2)を解答できれば、(3)も解答できる。素直に誘導にしたがって、正しく近似計算をすれば、解答は得られる

 物理問題 II  電磁気、原子 [標準]
球形コンデンサー、光電効果

  • (1)〜(3)では、点電荷の電場、電位から始まって、球形導体とそれを囲む球殻についての電場、電位を考察する。
  • (3)までの結果をもとに、(4)では、球形コンデンサーの電気容量を、(5)では、球形コンデンサーの極板間を運動する電子について考察する。球形コンデンサーの演習経験があれば、容易だったと思われる。
  • (6)は、(5)までの議論とは異なり、光電効果の問題である。教科書等では、最大の運動エネルギーをもつ光電子のみを扱うが、そうではない光電子を扱う点に戸惑う。問2のグラフ選択は、グラフの意味を解釈するのが難しい。

 物理問題 III  波動 [標準]
偏光板による光の強度変化、干渉

  • 光の偏光を扱った問題は多くなく、面食らった受験生も多かったことだろう。ただし、必要な知識は与えられており、光の電磁波としての振動がx、yの各方向成分のベクトル合成として表されることを素直に受け入れられれば、(1)、(2)は誘導に沿って解答できる。
  • (3)は、偏光方向によって屈折率が異なる物質を透過する光について扱い、各方向での光路差の違いによって光の偏光方向が変化する場合を扱う。問1は、おおよその変化の様子を表すグラフが描ければ問題ないだろう。

 攻略のためのアドバイス

京大物理を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 問題文を読解する力

京大物理は問題文が長く、問題の設定を理解することに時間がかかる場合が多い。設定をきちんと把握するためには、相当の読解力が必要である。問題文にはヒントが含まれていることも多く、この読み取りが合否を分ける

●要求2●正確かつ迅速に計算する力

京大物理では、例年、設問で与えられる記号(物理量)が多く、設問数も計算量も多い。このため、煩雑な計算をミスなく、かつ速く解く必要がある。

●要求3● 解くべき問題を見極める力

京大物理は、問題文が長く計算量も多いため、時間内にすべて解くのは厳しい。このため、試験開始直後に問題全体にざっと目を通して解くべき問題を見極め、解答に必要な時間を適切に配分することが、合格点の確保に向けて重要となる。

大問の途中で解けない設問があっても、最後の方に独立して解ける設問がある場合が多いので、諦めず全体に目を通し、「解ける設問を確実に解く」姿勢が、合格には必須である。

 

対策の進め方

まずは、●要求2●を意識して、ミスなく要領よく解答できる力をつけよう。次に、基礎力がある程度ついたら、京大レベルの問題に慣れていこう。Z会の通信教育[本科]「京大講座」では、読解力向上や重量級の計算にも対処する力の養成を念頭においた出題を行っている。

また、●要求1●●要求3●は実戦演習の中で培われる力である。京大物理は、早めに基礎を固め、徐々に長い問題文に慣れていかないと、太刀打ちできない。自分の得意不得意、問題の難易度を意識し、試験時間をめいっぱい活用して得点を最大化できるような解き方を身につけてほしい。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大物理担当者からのメッセージ

2023年度の京大物理は、きちんと対策してきた受験生にとっては、標準的な難易度の問題でした。時間の割に分量が多いのは例年通りですので、自分の得意不得意分野を考慮して、上手に時間配分して得点を積み上げることが、合格への近道であったと思います。

京大物理においては、各大問の前半部分は基本〜標準的な問題が多いため、基本〜標準問題をいかにすばやく確実に解答できるかが重要です。また、他の受験生と差がつく「やや難」レベルの問題や、目新しい題材の問題をいかに多く解けるかが、合格の鍵と言えるでしょう。

京大を目指す方にとっては、初めて問題をみたときには面食らうかもしれませんが、目新しい題材ほど誘導が親切で、解きやすいことが多いです。大切なことは2回書いてくれたり、途中で検算になるヒントを散りばめたりしてくれていますので、ヒントを見落とさず、確信をもって解き進められるようになってほしいです。

Z会の通信教育[本科]「京大講座」では、問題文から状況を正しく読み解き立式する練習を通して、難易度の高い京大物理にも対応できる力を養います。演習を繰り返すことで、京大で頻出の目新しい設定の問題に出会っても、最後まで解ききる力が身につきます。粘り強い演習を積み重ねて、京大合格を勝ち取りましょう!

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