「京大地理」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (時間:90分)

  • 従来は大問4題の構成であったが、2019年度以降大問5題の構成である。
  • 解答数は、単答問題は35(うち空欄補充が10)で2021年度の27より増加した。
  • 論述は、字数指定ありの問題が13で2021年度の12より増加したが、総字数は450字で2021年度の490字より減少した。また字数指定なしの問題は1で、2021年度の6より減少した。
  • 論述問題の問題数・総字数が減少し、判読が難しい資料も少なかったため、難度は2021年度に比べやや易化した。

2022年度入試の特記事項

  • 論述問題の指定字数の最大は40字で、例年より少なかった。
  • 2020年度に出題された作図問題、2020年度・2021年度と続いた画像の判読を必要とする問題は見られなかった
  • 地形図の読図問題は、2021年度同様、大問Iで出題された。
  • 例年通り、地形図の読図・自然環境・産業・社会・地誌からの出題であった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 基本的な用語を問うものが多い単答問題で、確実に解答できたか。
  • 論述問題において、短い字数でまとめる対策を十分に行えたか。
  • 問題全体を見渡し、時間配分を考えながら効率的に解答できたか。
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「幅広い知識の習得と論述力の養成」
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 大問 I 

岐阜県養老郡養老町の地形図の読図に関する大問。地形図から地形や土地利用、起こりうる災害リスクを読み取る論述問題が中心であった。

  • (2) ①では、A地点を通過する河川を横切る等高線が下流に向かって凸になっていることに気づき、「天井川」と判定したい。
  • (3) 近年頻発している豪雨災害と地形の関係を理解していることが求められる。②では、新旧地形図の比較により、B付近が旧河道であり、低地であることを読み取れるかがポイントとなる。③では、C・Dは山麓に位置していることから、崖崩れ・土石流などのリスクを想起したい。

 大問 II  

北海道の湖・火山・湿地に関する大問。基礎レベルの用語や「ラムサール条約」の目的の説明など、解答しやすい設問が多く見られた。日本の地形に関する知識があれば有利であった。

  • (2) 火山灰は「西側より東側が多い」ことに着目した上で、「気候の観点」から、偏西風の影響に気づきたい。
  • (3) 湖Dと湖Eは海に面していることから、潟湖(ラグーン)であることを想起したい。

 大問 III  

工業に関する大問。設問文から該当する国を予測しつつ、各問を解答したい。

  • (1) インドのICT産業の人材の特徴、有利な立地条件は頻出テーマである。教科書でも説明されている内容であり、解答しやすかったであろう。
  • (2) ①のインドとの比較による韓国の工業の特徴では、まずは、グラフ1で「韓国は機械の出荷額が多いこと」、グラフ2で「1980年代後半以降、韓国はインドより工業付加価値が高くなったこと」を読み取りたい。

 大問 IV  

言語に関する大問。言語別の使用人口の順位を把握していなくても、設問文がヒントになり、言語A~Eも推測できる

  • (1) ②では、言語Aが中国語と「深い関わり」を持つこと、言語人口が1億人強であることから、言語Eが日本語であることを判定できたかがカギとなる。
  • (4) ②で、「ベンガル語」からバングラデシュで信仰されている宗教=「イスラーム(イスラーム教)」と解答できる。

 大問 V 

北アメリカ地誌に関する大問。(1)の空欄補充問題、(3)の鉱産資源の分布の判定など、基本的な問題は確実に解答して得点につなげたい。

  • (2) ②の「ホームステッド法」の内容説明は詳細な知識が必要なので難しかったであろう。
  • (3) ②のNAFTAが2020年に「USMCA」に移行したことは時事的な内容であった。日頃からニュースに関心を持っていたかが問われた

 攻略のためのアドバイス

京大地理を攻略するには,次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 幅広い分野についての知識力

京大地理は、自然(地形図の読図を含む)、産業、社会(都市・人口・民族など)、地誌といった幅広い分野から出題されるのが特徴である。細かい知識について問われることは少ないが、高校地理の全分野にわたって基本的な知識を押さえておく必要がある。

●要求2● 正確な資料読解力

京大地理では、多数の資料判読を必要とする論述問題が見られるので、正確な資料読解力が求められる。2022年度の大問II・大問Vのように、分布や位置関係など、地図上での理解を必要とする問題も頻出なので、日頃から地図を用いた学習を行いたい。

要求3● 簡潔に論述する表現力

論述問題の1問あたりの指定字数は100字以内で、40字前後のものが最も多い。また、字数指定なしの論述問題に取り組む場合にも、解答欄に合わせて適切な分量を見極める必要がある(解答欄の大きさから20~60字程度と判断する)

様々な角度から解答できるよう、基礎的な知識と簡潔にまとめる表現力が必要である。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大地理担当者からのメッセージ

京大地理は基礎的な内容が問われることが多いため、平易な問題でミスをすると他の受験生の差を広げられることになってしまいます。このような出題では、しっかりとした対策と演習を行えば、高得点をねらうことができます。早めに高校地理の学習内容を押さえ、過去問を初めとする様々な演習問題に取り組むようにしましょう。

大問Iの地形図の読図問題は、京大地理の定番といえます。新旧地形図の比較を含めて、様々な地形図に触れ、図から起伏や土地利用の特徴などを読み取る練習を積んでいれば、難なく対応できたでしょう。これらは資料問題の対策においても同様です。

[本科]「難関国公立 地理」では、京大地理攻略に役立つよう、基礎知識を確認し、図表の読み取りをもとにした論述問題を、幅広い範囲から多数出題しています。京大をめざすみなさん、Z会と一緒に頑張っていきましょう!

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